映画「猫侍 南の島へ行く」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|渡辺武

映画「猫侍 南の島へ行く」

監督:渡辺武 2015年9月にAMGエンタテインメントから配給

猫侍 南の島へ行くの主要登場人物

斑目久太郎(北村一輝)
主人公。現在は浪人だが日々の修練は怠らない。どこへ行くのも猫の玉之丞と一緒。

お静 (横山めぐみ)
斑目と結婚後に娘のハルを授かる。御淑やかだが意志の強い面もある。

タエ(木野花)
斑目の義理の母。何事も独断で進める。

お蓮(LiLiCo)
海賊団の一員。男勝りで情熱的。

猫侍 南の島へ行く の簡単なあらすじ

土佐に向かうはずの斑目久太郎と白猫の玉之丞が流れ着いた場所は、目的地の四国からははるかに離れた南方に位置する島です。

現地の住民たちに捕虜にされてしまいますが、神様だと勘違いされた玉之丞のおかげで何とか難を逃れます。

住民と近海を荒らし回る海賊との争いごとの平定にひと役買った斑目たちは、無事に家族の待つ江戸へ帰還するのでした。

猫侍 南の島へ行く の起承転結

【起】猫侍 南の島へ行く のあらすじ①

三者三葉のお見送り

加賀藩の城下町に帰ってきた斑目久太郎でしたが(シリーズ第1弾「猫侍」参照)、以前として仕官先が決まっていません。

そんな彼に耳寄りな話を持ち込んできたのは、妻・お静の母親にあたるタエです。

四国・土佐藩で剣術指南役を探しているようで、山内氏のお膝元で実績を積めばいずれは加賀の有力者からも声が掛かるでしょう。

家族みんなで暮らしたいというお静の希望を一蹴したタエは、推薦状を押し付けて半ば強引に斑目を送り出しました。

娘のハルは動物の毛のアレルギーを抱えていて、お静もノミ取りが苦手なために玉之丞をこの家に置いていく訳にはいきません。

お静からは物入りの際に役に立ててほしいと路銀を、ハルからは道中の無事を祈るお守りを、タエからはこれで駄目なら離縁と脅し文句を。

3人に見送られながら出発した斑目でしたが、船着き場の手前で団子とお茶でひと休みしているあいだに泥棒に荷物を奪われてしまいます。

何とか日本刀だけは取り戻しますが正規の船便に乗り遅れてしまい、小さな笹舟を借りて自分でこぎ続けていくしかありません。

【承】猫侍 南の島へ行く のあらすじ②

黒の島には白が映える

天候が急変して嵐に巻き込まれた斑目たちが4日ほど漂流していると、ようやく目の前に陸地が見えてきました。

かなりの広さがある島ですが人影は見当たらず、取り敢えずは海岸で捕まえた魚をたき火で調理して玉之丞と分け合います。

島内をくまなく探索していた斑目が、生い茂った森の奥深くで簡素な小屋を発見したのは漂着9日目のことです。

中に住んでいるのは奇抜なデザインと色合いの衣装を身にまとった男女で、褐色の肌からして異国の人間でしょう。

名前を名乗ってここまできた経緯を説明してみましたが、お互いの言葉が理解できずに意思の疎通もできません。

住人たちは様々な動物を放し飼いにしていましたが、この地域に生息する猫は毛並みが黒いために悪魔の手先と忌み嫌われていました。

白い猫は大変にめずらしく神の使いとも崇められているために、玉之丞の姿をひと目見た途端に大勢が集まってきます。

もみくちゃにされながらも輪の中から抜け出した斑目でしたが、すでに玉之丞はどこかに連れ去られた後です。

【転】猫侍 南の島へ行く のあらすじ③

女海賊の誘惑と神の思し召し

玉之丞を奪還するために斑目は大勢を相手に孤軍奮闘しましたが、隙をつかれて毒矢で眠らされてしまいました。

目が覚めると牢屋の中で刀も取り上げられてしまいましたが、ハルにもらったお守りだけは絶対に手放しません。

ここが日本から遥かに離れた南の島だということを教えてくれたのは、ひと足先に牢の中に入れられているお蓮です。

この辺り一帯を荒らし回っているという彼女から腕を見込まれた斑目は、海賊にならないかという誘われます。

酒池肉林のごちそう、よりどりみどりの美女、見たこともないような絶景… 妻と子どもがいるとキッパリとお断りをした斑目はいよいよ火あぶりの刑が下されることに。

間一髪のところで止めに入ってくれたのは、ずいぶん前に江戸にいて日本語が分かるというこの島の長です。

一方の玉之丞は「猫神様」として手厚くもてなされているために、危害を加えられることはないでしょう。

島長によって客人として認められた斑目のために宴会を開いてくれましたが、ひそかに脱走したお蓮が仲間を連れて舞い戻ってきました。

【結】猫侍 南の島へ行く のあらすじ④

それぞれの幸せが実ると信じて

海賊本隊襲来の混乱に乗じて自由の身となった斑目は、玉之丞との再会をはたして愛刀の奪還にも成功しました。

もともとならず者の集まりでしかない一味は、軽くみね打ちを食らわせただけで恐れをなして逃げていきます。

ただひとり斑目と互角に渡り合える大男・青海玄信でさえも、玉之丞の鳴き声とウルウルとした瞳には勝てません。

頼りにならない部下が次々と撤退していく中でも、お蓮はバナナの種を手に入れて大喜びです。

貴重な南国のフルーツで貿易を始めてこの島を豊かにしたいというお蓮、これまでの蛮行はすべて水に流すと島長。

ようやく島に平和が訪れたお礼に送り届けてくれるそうですが、斑目が告げた行き先は土佐ではありません。

「憎むことよりも許すことの方が大切」という島長の言葉を信じて、3日後には猫を抱いたひとりの侍が船舳先から江戸の街並みを見下ろしています。

相変わらず仕事は見つかっていませんが、きっと許してくれるだろうと信じて家路を急ぐのでした。

猫侍 南の島へ行く を観た感想

前話「猫侍」では現代で言うところの単身赴任だった斑目でしたが、美しい妻とかわいらしい娘に囲まれてリラックスした様子です。

そんな細やかな幸せをかき乱そうとするタエの襲来は、いかなる剣術の達人と言えども苦戦は必至と言えますね。

予期せぬトラブルが発生して大自然の中に放り出されての、過酷なサバイバル生活でもそれほど悲壮感はありません。

のんきに釣りをしたり相棒の玉之丞と焼き魚をシェアする姿には、バカンスのような余裕すら感じてしまいますよ。

波乱に満ちた冒険の数々をくぐり抜けた名コンビの絆が、より一層に深まったことが伝わってくるラストでした。

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