映画「猫侍」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|渡辺武

映画「猫侍」

監督:渡辺武 2014年3月にAMGエンタテインメントから配給

猫侍の主要登場人物

斑目久太郎(北村一輝)
主人公。元は加賀藩で剣術指南役をしていた。「斑鬼」の異名で恐れられる。

お梅(蓮佛美沙子)
実家が貧しいために相川家に奉公中。泣き虫だが優しい性格。

米沢三郎太(戸次重幸)
海運業で財を成した米沢一家の若頭。お酒と銭に弱い。

山田源七郎(津田寛治)
三郎太のライバル。相川一家の跡目を狙う。

猫侍 の簡単なあらすじ

剣の腕前はピカ一ながらお金に困っている斑目久太郎に目をつけて、猫斬りをの仕事を依頼してきたのは相川一家と抗争中の米沢三郎太です。

玉之丞との対面を果たした斑目は心変わりをして、相川家に仕えるお梅とまとめて引き取り一緒に暮らし始めます。

抗争勃発寸前だった両家をうまく収めた斑目は、国元に置いてきた家族とも向き合っていくのでした。

猫侍 の起承転結

【起】猫侍 のあらすじ①

猫と犬が仁義を分かつ

かつては加賀の100人斬りと恐れられていた斑目久太郎ですが、いま現在では浪人になって江戸の長屋に流れ付きました。

日中は傘張りの内職に励み、夜になると賭博場まで出向いて用心棒としてわずかな日銭を稼いでいます。

ある時に斑目の住まいを訪ねてきたのは、この辺り一帯を取り仕切る米沢一家のナンバーツー・三郎太です。

三郎太たちの親分は犬が大好きですが、対立している相川一家は猫派ということもあり何かにつけて反りが合いません。

新しくやって来た奉行が猫をかわいがっていることもあり、相川は自分たちの飼い猫・玉之丞を縁組みさせるつもりです。

縁談を邪魔するために玉之丞を斬ってほしいという三郎太からの依頼を、5両で引き受けた斑目は相川一家の屋敷に忍び込みました。

フサフサとした真っ白な毛並みにうるうるとした瞳、鈴を転がすような澄みきった鳴き声。

奥座敷にちょこんと座っているその姿をひと目みた瞬間に、心を奪われてしまった斑目は玉之丞を自宅に連れ帰ります。

【承】猫侍 のあらすじ②

ひとつ屋根の下の鬼と猫

完成した傘はツメを研ぐのに使われてビリビリ、整理整頓してあった本は引っかき回されてグチャグチャ、畳の上に敷きっぱなしにしていた布団はビショビショ… 部屋の中で好き放題に振る舞う玉之丞でしたが、追い出しても遠くに捨ててきてもすぐに戻ってきてしまいます。

仕方がないので玉之丞の面倒を見つつ紹介状を片手に仕官先を探している斑目でしたが、相変わらずどこへ行っても門前払いです。

ある門番には玉之丞にエサを与えている場面を目撃されてしまったために、「いつも猫と遊んでいる侍」だと誤解されているのでしょう。

その頃相川一家では玉之丞がいなくなったことに気がついて大騒ぎとなったため、特徴が良く似た白い猫を拾ってきて何とか切り抜けるつもりです。

ニセの玉之丞の番をさせるためにお手伝いのお梅は奥座敷に放り込まれてしまいますが、両親の借金を相川に肩代わりしてもらっているために文句は言えません。

主人も屋敷の使用人たちも寝静まった夜遅くになると、座敷に斑目が侵入してきました。

【転】猫侍 のあらすじ③

猫番の手を借りて食欲増進

刻んだきゅうり、冷ました煮干しにほぐしたサンマ、細かく刻んだきゅうりに甘い大福。

ありとあらゆる珍味を用意したり調理方法にも工夫を凝らしましたが、玉之丞は何も食べてくれません。

痩せ細った体を心配した斑目は、年端もいかないお梅に頭を下げてアドバイスを求めました。

彼女がエサ袋に詰めて手渡してくれたのは馬の肉で、栄養バランスはもちろん毛並みも良くなると異国では重宝されているそうです。

さっそく玉之丞に食べさせてあげるつもりでしたが、後を付けてきたお梅に玉之丞を匿っていたことがバレてしまいます。

猫の扱いに慣れているために玉之丞の食欲もすっかり回復したために、しばらくここに仮り住まいで世話をしてもらうことになりました。

そんな最中に米沢一家の愛犬・甚太郎が散歩中にフラりといなくなり、先日の報復だと勘違いをした三郎太たちが斑目の元を訪ねると玉之丞は元気にお梅に抱かれています。

迷子の甚太郎を保護したのは相川一家の次期親分と言われている山田源七郎、玉之丞を力ずくで連れていったのは三郎太。

両者は次の日の早くに、それぞれの「犬質」と「猫質」を交換するつもりです。

【結】猫侍 のあらすじ④

戦わずとも最強の猫侍

米沢・相川双方が気の荒い若衆を集めていて、お互いににらみ合いののしり合うばかりで一向に蹴りが付きません。

お梅から事情を聞いた斑目が全速力でその場に駆け付けた途端に、玉之丞は迷うことなくその胸元に飛び込んできました。

無双一刀流の免許皆伝まで上り詰めたこと、切腹の介錯を断ったために登城を許されぬ身となったこと、妻子を置いて国を出たこと。

サヤから抜いた刀を地中深くに突き刺したのは、これからは誰も斬るつもりはなく戦うつもりもないとの決意の表れです。

斑目の左腕ですっかり安心して眠っている姿を見た相川親分は、「かわいがってやれ」と玉之丞を託してくれます。

「撤収!」と響き渡ったのは米沢親分の鶴の一声で、血の気の多い子分たちもおとなしく引き下がるしかありません。

奉行によって「猫も犬も人も関係ない」と御触れが出たために、まもなく江戸に平和が訪れるでしょう。

その頃猫を連れて旅を続けていたひとりの侍が、妻と娘との久しぶりの再会を果たすのでした。

猫侍 を観た感想

見た目は厳ついコワモテ、中身は猫が大好きという凄腕かつアンバランスな剣客を主人公にした異色の時代劇です。

演じているのは北村一輝で、そのストイックな横顔からはいかにも野武士といった威圧感が伝わってきますよ。

国元には美しい妻とかわいらしい娘がいながら、諸事情により江戸でひとり暮らしをしていて仕官先もこれといって未定。

そんな斑目に千載一遇のチャンスを持ち込むことになる幸運の使い、1匹の白猫・玉之丞がキュートで堪りません。

武士として剣より大切なものと歩むべき道のりを見つけて、愛する人のもとへと帰るまでを見届けてあげてください。

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