わるいやつら(松本清張)の1分でわかるあらすじ&結末までのネタバレと感想

わるいやつら(松本清張)

【ネタバレ有り】わるいやつら のあらすじを起承転結でネタバレ解説!

著者:松本清張 1961年11月に新潮社から出版

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わるいやつらの主要登場人物

戸谷信一
亡き父の後を継ぎ、病院の院長をやっています。医師として名高い父と違って、医療への情熱はなく、金に執着しています。愛人から金を巻き上げ、病院の赤字補填や女遊びに充てています。美貌と資金を兼ね備えた槙村隆子との結婚を目論んでいます。

寺島トヨ
病院の看護婦長をしています。亡き父の愛人であり、戸谷とも愛人関係にあった時期があり、内心忘れられないでいます。戸谷の動向を絶えず注視しています。

横武たつ子
夫が家具店を経営しています。戸谷の愛人の一人であり、店の金を横領して、戸谷に資金を融通しています。

藤島チセ
洋品店の経営者であり、戸谷の愛人の一人です。戸谷にご執心で資金を融通しています。

槙村隆子
20代の洋品店を経営する美女で、資産もかなり持っている。戸谷からのアプローチに慎重になってはいるが、内心満更ではない様子

わるいやつら の簡単なあらすじ

亡き父の後を継ぎ、病院院長の座にいる戸谷は、愛人2人の金を貪りながら公私を支えています。体制を盤石のものにするため、次なるターゲットとして、知り合いの弁護士から紹介された、若く美しくリッチな槙村隆子との結婚を画策しています。それを実現するために障壁となった者を次々と殺害し、医者の対場を利用して、完全犯罪を目論みます。しかし、戸谷の回りで次々起きる不思議な出来事から、一抹の不安を覚え、ついには、警察に逮捕され、公私ともに滑落してしまいます。全ては信用していた弁護士の計略であったのです。

わるいやつら の起承転結

【起】わるいやつら のあらすじ①

愛人の金を貪り生きる戸谷が、次に狙う美しくリッチな女

戸谷信一は、亡き父の後を継ぎ、病院の院長をやっています。

父は、周囲からの人望が厚く、医者としての腕も評価が高いとともに、経営もうまくいっていました。

対照的に、戸谷は医療への情熱を失せており、経営は火だるま状態です。

薬品業者などからの支払いを滞納しており、愛人から金を融通してもらい、補填に充てています。

愛人としては、夫が家具店を経営している横武たつ子と、洋品店の経営者である藤島チセの2人います。

2人とも知り合いの弁護士(下見沢)を通じて紹介された中年女で、美しくはないが、彼女らの資産を狙って、愛人関係を続けています。

「金を持っていない女は無価値だ」というのが信条です。

2人との愛人関係も飽きてきたので、新たなターゲットとして、槙村隆子という、20代ながらも洋品店を経営し、美貌と資金を兼ね備えた理想の女を得たいと思って、彼女との結婚を画策しています。

しかし、隆子はそのアプローチに対して慎重な対応をとっています。

このような中、横武たつ子から悲痛な声で、夫がついに亡くなったと急報がありました。

その死に疑問を感じた親族は、警察に検死を依頼しました。

毒物による死亡の可能性があると指摘され、親族は、たつ子を疑い始め、家具店の経営からも遠ざけます。

不透明な支出があるというのです。

追い詰められたたつ子は、戸谷に一緒になって欲しいとすがります。

もう金がでてくる見込みがなくなったたつ子を戸谷は煩わしくなりました。

そんなある日、横武たつ子がすごい剣幕で病院の院長室に殴り込んできました。

他の愛人との関係を看護婦長の寺島トヨから吹聴されてきたのです。

今まで尽くしてきたのに他の愛人を囲んでいるなんて、私を捨てる気なんて許さないとヒステリックに泣き叫びます。

【承】わるいやつら のあらすじ②

戸谷は、槙村隆子との結婚に向けて完全犯罪を目論む

そんな様子を冷ややかな目で見ていた寺島トヨが、横武たつ子をなだめて病室に連れて行きます。

院長室に戻ってきたトヨは、たつ子に睡眠薬を飲ませたと、戸谷に告げ、ベッドに押し倒します。

貴方は私がいないと駄目なのと戸谷に肉体関係を迫ります。

交渉を済ませた後、トヨが邪魔者を消しましょうと提案します。

戸谷にとって、金のないたつ子はお役御免であり、槙村隆子との結婚への障壁となっていました。

二人は、たつ子が眠っている病室に行き、劇薬を注射して殺します。

死因は脳梗塞と医者が書いた診断書を、誰も疑うはずはない。

区役所で受付処理が終われば、遺体は火葬されて灰になり、完全犯罪は実現すると考えたのです。

ことは無事に進み、たつ子の遺体は親族により火葬されます。

完全犯罪を成し遂げたのです。

ほっとしている中、新たな資金の捻出先として狙っていた槙村隆子から、知り合いの弁護士(下見沢)を通じて、結婚するのなら、戸谷の財政基盤の確かさを見せて欲しいと連絡が入ります。

困った戸谷は、彼にご執心の洋品店経営者の藤島チセから何とか金を巻き上げられないかと家に出向きます。

丁度この頃、夫の存在が鬱陶しくなってきたチセに、殺人を持ちかけます。

医者が書いた死亡診断書は誰も疑わないから大丈夫だと、いなくなったら結婚を考えると誘惑し、チセと二人で、劇薬を注射し、夫を殺します。

チセの夫の死も疑われることなく、区役所で処理されました。

第2の完全犯罪の完了です。

チセからの資金の確保の見込みが立ったと機嫌をよくした戸谷は、槙村隆子をデートに誘います。

ところが、二人の関係を引き裂こうと執念を燃やしていた寺島トヨが、デートの待ち合わせ場所に突然現れました。

隆子が今にも来るかもしれないと焦った戸谷は、トヨを車に押し込み、急いで走り去ります。

人里離れた山中まで車を走らせ、そこで、関係を持つ振りをして、扼殺し、遺体を山中に捨てます。

【転】わるいやつら のあらすじ③

戸谷の回りで次々起きる不思議な出来事、一抹の不安

寺島トヨの殺人の後、戸谷の回りで不思議な出来事が起きます。

槙村隆子との電話中に、トヨに似た声が混ざったり、街中でトヨに似た女性を目撃したりします。

実は息を吹き返し生きているのではないかと不安になり、殺人現場に確認しに行きます。

驚くことに、遺棄した場所から少し離れた場所に埋められていました。

物盗りの仕業だと結論づけることにしました。

また、隆子との結婚を実現させるために必要な金の当てとして考えていた藤島チセが、忽然と家からいなくなります。

女中に聞くと、温泉旅行に出かけたということです。

旅館に電話すると、男といるとのことです。

自分にご執心のチセが他の男といることに苛立ちを覚えた戸谷は、旅館まで出向きます。

すると、別の温泉地に出かけたとのことで、更に追いかけます。

途中の仙台駅で、列車が出発した直後に、駆け込んでくるチセと男の姿を目撃しました。

東京に戻って、チセの家に行くと、馴染みの女中が一新され、夫の親族が参画した新会社が立ち上げられていました。

戸谷がチセとの面会を求めると、暫く帰ってこないと冷たい返事です。

そんな心戸惑っている中、槙村隆子との仲介役になっていた知り合いの弁護士(下見沢)から、隆子と結婚するためには急いで大金が入った預金通帳を見せなければならないと忠告を受け、やむを得ず、病院の建物を担保に高利貸しから大金を借りることになりました。

そんな中、突然、寺島トヨの死体が見つかったとの連絡が警察から入ります。

発見場所が、殺人を犯した場所とは違うので、不思議に思った戸谷は、再び殺人現場に確認しに行きます。

掘り起こして、詳しく見てみると、実は、人ではなく、牛の骨でした。

どうやら戸谷をはめようとしている人間の存在に一抹の不安を覚えます。

その時、槙村隆子から電話がありました。

【結】わるいやつら のあらすじ④

警察逮捕による戸谷の滑落、全ては信用していた弁護士の計略

槙村隆子から急ぎの金の融通を依頼された戸谷は、預金している銀行に赴き、出金を依頼しました。

すると、銀行員から、払い出しができない状態になっていると言われました。

どうやら、知り合いの弁護士(下見沢)に騙されたのです。

怒り心頭で銀行を出ようとした矢先、2人の刑事に任意同行を求められます。

警察署の取調室に入ると、横武たつ子の死亡診断書の虚偽について追求されます。

火葬され灰になったたつ子の遺体の一部がホルマリン漬けの状態で残っており、それを確認したら、劇薬が出てきたと言うのです。

警察は、藤島チセの夫の真の死因も把握済みでした。

医者が下した死亡診断に対して、裏をかかれるはずがないと思って、実行した完全犯罪にどうして綻びが生じたのか。

殺したはずの寺島トヨは生きていたのです。

彼女と藤島チセは、すべてを警察に暴露していたのです。

戸谷は逮捕されました。

裁判所に向かう途中、戸谷の病院がある場所の傍を通ると、病院は取り壊され、洋裁専門学校が新しく建てられていました。

看板には、設立者として槙村隆子の名と、知り合いの弁護士(下見沢)の名が刻まれていました。

この弁護士が、寺島トヨ、藤島チセをうまく操り、戸谷を警察送りにし、最後は槙村隆子と共同でうまくやってのけたのです。

わるいやつら を読んだ読書感想

「金を持っていない女は無価値だ」という病院院長の戸谷の信条ですが、金を持っているからといって、横武たつ子や藤島チセのような中年女と愛人関係を続ける意義に疑問を感じてしまいました。

中年女から金を巻き上がる労力を考えたら、真面目に院長として病院経営に努め、体制を盤石にして、自分自身がリッチになり、その金で、若い娘と関係を持った方が、よっぽど有意義ではないかと思った次第です。

その方が、公私ともに充実することになります。

あと、医者による死亡診断書は、何の疑問もなく区役所で処理されるという現実については、恐ろしいなと感じました。

1961年の作品ですが、今の世の中でも、医者の為すことは信用されてしまう傾向にあると感じています。

そのため、医者の悪行を見抜くためにも、また、医療ミスが誤魔化されないためにも、患者が死亡した際は、第三者機関によるチェックを義務づける制度の確立が必要だと思いました。

ヤブ医者により、救えるはずの命が、消えてしまうのを防止しなければなりません。

医者の質について、広くオープンデータ化され、患者が選択できるシステムを構築していく必要があると思いました。

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