映画「ねこタクシー」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|亀井亨

映画「ねこタクシー」

監督:亀井亨 2010年6月にAMGエンタテインメントから配給

ねこタクシーの主要登場人物

間瀬垣勤(カンニング竹山)
主人公。教員からタクシー運転手に転職。他人と狭い空間にいるのが苦痛。

間瀬垣真亜子(鶴田真由)
間瀬垣とは職場結婚。ネイティブ顔負けの英語力を持つ。

間瀬垣瑠璃(山下リオ)
間瀬垣の娘。高校入試を控えていてピリピリしている。

丹羽仁美(芦名星)
間瀬垣の同僚。営業成績は悪いがバイタリティーがある。

宗形誠二(内藤剛志)
保健所の職員。公共の監督機関として厳正に審査をする。

ねこタクシー の簡単なあらすじ

学校の先生を辞めてタクシー会社に再就職した間瀬垣勤でしたが、収入は激減していて妻子とも会話がありません。

いつもの公園で出会ったのは1匹の猫・御子神さん、一緒に連れて出勤してみるとみるみるうちに運気が上がっていきます。

やがては長寿を全うした御子神さん、間瀬垣は家族と向き合いつつ再び教壇に立つことを決意するのでした。

ねこタクシー の起承転結

【起】ねこタクシー のあらすじ①

ネコミミを借りてお悩み相談

3年ほど「百足交通」で隔日勤務を続けている間瀬垣でしたが、自分がこの仕事に向いているとは思えません。

1台の車に2人交代で乗務、シフトは午前4時から翌朝4時までで月12出番、都心で働く人々のベッドタウン「百足市」が縄張り。

駅から総合市民病院までのワンメーターを往復している間瀬垣の平均売上は1日2万円ほどで、丹羽仁美とワーストワンを争っていました。

息が詰まりそうになるとビルの谷あいにある三角形の空き地に停車して、ペンキの剥げた遊具に腰掛けて真亜子の愛妻弁当を広げます。

いつも見ている風景に違和感を覚えたのは、白・茶黒のフワフワとした生き物が土管の上から顔を出して「にゃあ」と鳴いた時。

窓から入ってくると助手席のクッションの上で丸くなってしまい、首輪に「MIKOGAMI」と書かれているために以前は飼い猫だったのでしょう。

嫌な客のこと、うまくいかない仕事のこと、しばらく話をしていない娘の瑠璃のこと。

誰かに打ち明けると考えがまとまるというのは本当のようで、自分が抱えている問題の落とし所が見えてきます。

【承】ねこタクシー のあらすじ②

新しいライフを受け入れる覚悟

空腹に耐えられなくなったら、あの公園を引き払ってしまったら、路頭に迷ってしまったら、車に跳ねられてしまったら… 心配事が次々と頭に浮かんできた間瀬垣は猫を抱き抱えると、3LDKのわが家に連れて帰ることに。

真亜子が寝ているうちに物置にでも避難させようかとしていると、目の前の扉が開いて現れたのはパジャマ姿の瑠璃です。

自分の部屋にかくまってくれるという瑠璃、間瀬垣がつけた「御子神さん」という名前にニコニコとしています。

しばらく娘の笑った顔を見ていなかったことに気がついた間瀬垣、思いきって真亜子にも打ち明けてみましたが賛成してくれません。

ペット不可の物件であること、動物を飼う経済的な余裕もないこと、瑠璃が今年受験であること。

すべてが正論で痛すぎるほど的確な真亜子、1番の理由は幼い頃に実家で飼っていた犬を死なせてしまったことです。

心を許した分だけいなくなった時にはつらいという真亜子、できるところまでやってみるという間瀬垣。

図書室で「すくすく猫ライフ」という飼育ガイドを借りてきた瑠璃があいだに入って、ようやく3人と1匹の生活が始まります。

【転】ねこタクシー のあらすじ③

ねこタクシーが本格発進

三毛猫がいるタクシーの話はいつの間にか広がっていき、乗ってみたいというお客さんからの依頼が増えてきました。

所長のデスクの奥には全運転手の月間売上グラフが掲示されていましたが、先月までとは打って変わって間瀬垣が第3位にランクイン。

そのとばっちりを受けて最下位に転落してしまったのが丹羽仁美、ヤンキーのような目つきでにらんできます。

そんな彼女が体を張って助けてくれたのは、間瀬垣が4人組の酔っぱらいに殴られて料金を踏み倒された時。

御子神さんを紹介してみると面白いアイデアだとほめていましたが、猫の手を借りることには否定的です。

まもなく退社して大型免許を取得した仁美、荷物の積み降ろしバイトで入ってゆくゆくはトラックドライバーになるとのこと。

その行動力に感化された間瀬垣も、愛玩動物飼養管理士の資格を取るための勉強に取り掛かりました。

試験に合格して会社としても全面的なバックアップが決まった頃、保健所で動物取扱業務を担当している宗形誠二という男性が訪ねてきます。

【結】ねこタクシー のあらすじ④

運転席から教室への帰還

法律上の手続きはすでにクリアしていましたが、宗形たちが心配しているのは世間に与える悪影響や二次的な事象です。

志がない同業他社が同じことをやろうとした場合、一時的なブームにのっかてペット業者が仕入れを増やした場合、ブームが去って大量の捨て猫が発生した場合… つねに最悪の事態を想定しているという宗形を、間瀬垣は視察という形でタクシーに乗せました。

当日は東京駅のロータリーで待ち合わせ、田舎からやって来たという宗形の母親も車内で御子神さんをなでながら喜んでくれます。

御子神さんがお昼寝の時間に静かに息を引き取ったのは、衛生面での何項目かの指導を受けつつ3カ月の期間限定での営業が許可された矢先。

かかりつけの動物病院の医師の話では15歳、人間に換算すると90歳ほどになるので大往生でしょう。

多くの人を笑顔にしてくれた御子神さん、今度は間瀬垣がお返しをする番です。

7年ぶりに教職に復帰した間瀬垣は大きく息を吸い込んで職員室を出ると、鳴り響くチャイムと生徒たちの声の中へと踏み出していくのでした。

ねこタクシー を観た感想

教科書と黒板以外は見ないようにして授業を進めていたという間瀬垣勤先生、まさかのタクシードライバーへの転身も早々に行き詰まってしまうのは当然ですね。

妻でもあり優秀な教師でもある真亜子には置いてけぼりを食らいつつ、思春期まっただ中の瑠璃からは軽く見られてと何とも威厳のない旦那さん・お父さんです。

そんなパッとしない中年男性の日常をドラマチックに変えていく御子神さんは、まさに幸運の招き猫と言えるでしょう。

とんとん拍子にキャリアアップしていくサクセスストーリーかと思いきや、後半以降の展開には人間のエゴと動物愛護についても考えさせられました。

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