監督:和島香太郎 2021年11月にハピネットファントム・スタジオから配給
梅切らぬバカの主要登場人物
山田珠子(加賀まりこ)
本作の主人公。占いで生計立て忠さんを一人で育てています。夫は出て行きましたが、忠さんには亡くなって梅の木になったと嘘をついています。
山田忠男(塚地武雅)
珠子の子ども。自閉症。珠子にとても愛されています。
里村茂(渡辺いっけい)
珠子と忠さんのお隣に引っ越してきました。一見威張って見えますが、本当はいい人。
梅切らぬバカ の簡単なあらすじ
自閉症の息子・忠さんと暮す母・珠子は、息子に振り回されながらも幸せに暮らしていました。
忠さんは、規則正しく朝起きて、夕飯の時間も正確です。
馬が大好きで、近所の乗馬クラブの前を通って工場に働きに行きます。
ある日、お隣に夫婦と小学生の子どもが引っ越してきて、珠子の庭の梅の枝が邪魔だと言われてしまい剪定することになりました。
珠子が邪魔になるまで梅の枝を切らなかったのには理由があったのでした。
梅切らぬバカ の起承転結
【起】梅切らぬバカ のあらすじ①
自閉症の息子・忠さんこと忠男が、母・珠子に庭で髪を切ってもらっていると、おとなりさんが引っ越しをしてきます。
忠さんの家の庭には、梅の木の枝が伸びていて、引っ越しの人の頭があたり荷物を落としてしまいます。
お隣の里村さん夫妻は、梅の木を邪魔に思うのでした。
忠さんは、毎朝同じ時間に起きて、同じ時間にご飯を食べて仕事に行きます。
一方、お隣の里村家の息子・草太はボールが無くなったとクヨクヨしていました。
草太の父、茂は草太に厳しい父でした。
忠さんは、馬が大好きで通勤途中にある乗馬クラブを覗くと、馬がこわがるという理由でオーナーは忠さんのことを毛嫌いしていました。
里村家の妻・英子が珠子のところに引っ越しの挨拶にいくと行列が出来ています。
珠子は、人気のある占い師だったのです。
英子のことを占いの客だと勘違いした珠子は、英子に夫と妥協して結婚したと見抜きます。
挨拶ついでに、梅の木がはみ出していて危ないと英子は珠子に伝えるのでした。
【承】梅切らぬバカ のあらすじ②
珠子は、忠さんの勤め先からグループホームに入所することを勧められます。
気が進まない球子でしたが、腰を痛めた忠さんを支え切れずに、共倒れになる前にグループホームの入所を決めるのでした。
忠さんが入居する部屋が空いた理由を聞くと、地域の人といろいろあって退去したというのです。
グループホームは、地域の人の理解が必要でした。
珠子は、グループホームで開かれた説明会に出席します。
そこには、乗馬クラブのオーナーがいて、グループホームに施錠して勝手に出られないようにして欲しいと発言します。
しかし、珠子は「あんたの馬をこの町から追い出さないからお互い様でしょう」と諭すのでした。
家に帰ると忠さんが、里村家の主人・茂に不法侵入だと家から追い出されていました。
珠子は謝りますが、忠さんは、無くなった草太のボールを返しに来ただけでした。
英子と草太はそのことに気が付きます。
友達のいない草太は、梅の実を拾って珠子に渡し、そのまま珠子の家で一緒に腹痛に効く梅エキスを作ります。
珠子は、梅の枝を剪定することを両親に伝えてと草太にいいます。
梅の木は剪定した方がいい実がつくのに、剪定しない人を「梅切らぬバカ」ということを草太に説明するのでした。
そして、忠さんが引っ越すことを話すのでした。
【転】梅切らぬバカ のあらすじ③
忠さんは、梅の木を切るところを見届けます。
植木屋は、少しづつ剪定することを頼まれますが、隣の英子に「日が暮れる」と言われ、バッサリ剪定しようとすると忠さんはパニックを起こしてしまうのでした。
忠さんがグループホームへ引っ越ししました。
忠さんは、グループホームでも珠子と暮していた生活リズムでしか動くことが出来ずに、他の入居者と揉めます。
一人になった珠子も忠さんと暮していた生活リズムのまま寂しく生活していました。
忠さんがいない寂しさから、占いの仕事も断ってしまうのでした。
珠子は、英子に忠さんには父親は死んだことにしていて、梅の木が父親の代わりに見ていると言い聞かせて育てたことを話します。
だから忠さんはいい子に育ったという珠子に英子は、お母さんのおかげで忠さんはいい子に育ったのだとと言ってくれました。
忠さんの風呂上がりのジュースを正雄が飲んでしまったせいで、夜にホームを抜けて自販機に行く忠さん。
すると、塾帰りの草太に会います。
草太は、珠子から忠さんは馬が好きだと聞いていたので、忠さんと乗馬クラブに忍び込みました。
しかし、乗馬クラブの厩務員に見つかり草太だけ逃げてしまうのでした。
【結】梅切らぬバカ のあらすじ④
馬が逃げ出し、遭遇した自治会長が怪我をしてしまいます。
そのことで忠さんが、乗馬クラブに忍び込んだことが大問題になってしまいました。
草太は、黙って逃げたことで胸を痛めていました。
茂が、馬が逃げた話をすると草太は泣き出し、自分のせいで馬が逃げたと自供します。
茂は、草太に黙っとけといいます。
自治会長は、グループホーム退去の署名を始めます。
珠子と工場長は、役所に協力を求めますが、役所は中立の立場だと親身になってもらえません。
ホームの撤去について近隣住民が騒ぎ立て、ホームの人達が忠さんを責め始めます。
結局、忠さんはホームにいられなくなってしまうのでした。
忠さんを心配する珠子が、自分が死んだら忠さんは一人ぼっちだと言うと「かまいません」と忠さん。
それは、「壊れていてもかまいません」の廃品回収車のマネでした。
そんな忠さんを見て、珠子は忠さんがいてくれるだけで嬉しいと思い「ありがとう」と忠さんを抱きしめるのでした。
茂は、会社帰りに珠子の家に寄り詫びようとしますが、そこには妻も草太もいるのでした。
珠子は、草太は友達だからと許してくれて、そのまま忠さんのおかえりパーティーが始まります。
以前は支配的で神経質に見えた茂でしたが、忠さんに寄り添ってくれました。
そして、酔った勢いでこの家をホームにすればいいと言います。
珠子と忠さんに今までと同じ日常が戻ってきました。
梅切らぬバカ を観た感想
梅を切らない珠子は、忠さんに振り回されていて疲れていて、年齢のこともあるのでそれで梅を切らないのかと思っていました。
しかし、梅を切らない理由がのちほどわかります。
しかも、自閉症という特性のせいなのかなと思っていましたが、さらにきちんとした理由がわかりその深い部分は少し親しいくらいではわからないことだと思います。
みな個人の事情というものを抱えてい生きています。
ほんの少しだけでも他者の気持ちに寄り添うことができればいいのにと思わされる映画です。
そして、このお話には、結論はありません。
忠さんと珠子の現状は変わらないし、それでも暮らしは続いていきます。
けれど、気難しく思っていたお隣の茂が最後は忠さんと仲良くなってくれたりと希望が感じられました。
忠さんと珠子のこれからを応援したくなる映画です。
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