映画「月の満ち欠け」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|廣木隆一

映画「月の満ち欠け」

監督:廣木隆一 2022年12月に松竹から配給

月の満ち欠けの主要登場人物

小山内堅(大泉洋)
本作の主人公。良妻賢母で幸せな日々を送っていましたが、ある日妻と娘を不慮の事故で亡くす。

正木瑠璃(有村架純)
雨宿りしているところ、三角と出会い恋に落ちる。人妻。

三角哲彦(目黒蓮)
瑠璃に一目惚れして、もう一度会いたくて高田馬場中を探す。

月の満ち欠け の簡単なあらすじ

妊娠中に、お腹の子どもが名前は瑠璃にして欲しいと頼んできたと妻がいい、娘の名前を瑠璃にします。

幸せは続かず、最愛の妻と娘を亡くした小山内堅は、生まれ育った青森に戻り母と暮していました。

そこへ三角哲彦という男が訪ねてきて、奇妙なことを言い出します。

三角のいうことに戸惑いその話を信じない小山内は、追い返してしまうのでした。

しかし、亡くなった娘・瑠璃の親友ゆいも同じく奇妙なことを言い出すのでした。

月の満ち欠け の起承転結

【起】月の満ち欠け のあらすじ①

娘・瑠璃の不思議な行動

時は、1980年小山内は、とても明るく優しく同じ青森出身の梢と結婚しました。

梢が出産し、子どもの名前を瑠璃と名付けます。

「瑠璃も玻璃も照らせば光る」の瑠璃にして欲しいとお腹の子が言ったと梢はいうのでした。

家族で海に出かけたりと幸せな日々を過ごしていたある日、瑠璃が原因不明の熱を出し小山内と梢は心配します。

しかし、突然熱は下がりました。

梢は、熱が下がってからの瑠璃は別人になったと小山内に相談しますが、小山内は瑠璃の変化を気にしません。

瑠璃は、ライターをいじったり大人びた歌を歌うようになったのです。

この頃瑠璃は7歳でした。

ある日、瑠璃は学校帰りに行方不明になりました。

瑠璃はアキラくんに会いに行ったのでした。

警察から連絡があった小山内は、高田馬場にあるレコード店に瑠璃を迎えにいき、一人で出かけたことを優しく叱りました。

瑠璃は、父に心配かけたことを反省しパパとママの子に生まれて幸せだと父に抱きつきます。

それからの瑠璃は、突飛な行動はもうしません。

瑠璃は18歳になり、瑠璃と梢は交通事故で命を落としてしまうのでした。

【承】月の満ち欠け のあらすじ②

謎の男・三角

瑠璃と梢を亡くした小山内は、何もかもやる気がなくなり、青森の実家に帰ります。

介護の必要な母の元には、優しいヘルパーさんが通ってきてくれています。

ヘルパーさんは妊娠していました。

ある日、三角哲彦という男が訪ねてきて小山内の亡くなった娘の瑠璃は、自分の恋人だった瑠璃の生まれ変わりだと説明します。

事故に遭った日、瑠璃と梢は自分に会いにくる途中だったというのです。

小山内と梢が結婚した頃と同時期に、三角と瑠璃は出会いました。

大学生だった三角は、高田馬場のレコード店でアルバイトをしていて、その店先で雨宿りしていた女性に一目ぼれしてしまいます。

その女性に会いたい一心で、高田馬場中を探し回ります。

すると2人は再会することができました。

女性の名前は、瑠璃。

「瑠璃も玻璃も照らせば光る」の瑠璃だと教えてくれました。

瑠璃は、年齢不詳で妖艶な女性でどこが寂し気でした。

その後、また会いたくてたまらない三角は、映画館で瑠璃と再会し三角の済むアパートで一夜を過ごします。

瑠璃は、三角のことを特別な呼び名で「アキラ」と呼ぶことにしました。

【転】月の満ち欠け のあらすじ③

重なる謎

ウキウキな気持ちで家に帰る瑠璃でしたが、夫・正木は出張を早めに切り上げて家に帰っていました。

瑠璃には夫がいたのです。

親に恵まれなかった瑠璃は、金持ちの正木と結婚しましたが、結婚生活も上手く行っていませんでした。

朝帰りがバレた瑠璃は、正木の投げた硝子で怪我をしてしまいます。

恋人になった瑠璃と三角2人でしたが、瑠璃の体に傷があるのを見つけた三角は瑠璃の境遇を察します。

もう会えないという瑠璃に、僕が連れ出すと駅で待ち合わせをする約束をしてくれました。

正木から逃げ出す準備が整った瑠璃でしたが、正木に気が付かれてしまい慌てて逃げたせいで、電車にひかれてしまうのでした。

そんな話を三角から聞かされた小山内は、怒って三角を追い返します。

その後、小山内は東京へ娘・瑠璃の親友のゆいに会いにいきます。

ゆいは、高校生の時に瑠璃の前世の記憶について聞かされていたのです。

瑠璃は、前世の恋人・アキラにいつか会いにいこうとしていました。

さらに、ゆいの娘も瑠璃という名前で、梢がお腹の中で「瑠璃も玻璃も照らせば光る」の瑠璃と名付けて欲しいと言われたことと同じことをお腹の中の娘に言われたといいます。

ゆいの娘の瑠璃は、大人びた口調でここのどら焼き好きだったよねと小山内にどら焼きをすすめるのでした。

【結】月の満ち欠け のあらすじ④

小山内の側にも

瑠璃と梢が亡くなった真相は、前世の瑠璃の夫・正木が瑠璃を見た時、自分の妻の生まれ変わりだということに気が付き、近寄ってきたのです。

三角にも危害を加えそうな正木に、この状況を伝えようと瑠璃は梢に三角のところへ連れて行ってと頼みます。

三角に会いに行く途中に、正木に車で追い込まれ事故に遭ってしまったのでした。

信じられない小山内でしたが、ゆいの娘の瑠璃にパパとママの子どもに生まれて瑠璃は幸せだったよと言われて信じます。

その言葉は、昔、瑠璃が行方不明になった時に小山内に言った言葉と同じでした。

瑠璃の生まれ変わりのゆいの娘は、今日三角に会いにいきます。

まだ子どもの瑠璃ですが、大人になった三角とやっと高田馬場で再会し抱き合いました。

小山内は、昔ゆいが遊びに来てくれたときに撮ったホームビデオをゆいから渡されて帰りの新幹線で観ます。

妻・梢は自分のことをとても愛してくれていたことを知り、涙するのでした。

青森に帰ると、ヘルパーさんとその娘・みずきが迎えにきてくれました。

みずきはやけに小山内を心配していて、どこに行ってきたのか訊ねてくるみずきに答えると「どら焼きが美味しいところね。」

とチャーミングに言いました。

小山内は、みずきは梢の生まれ変わりで、いつも側にいてくれたと気が付くのでした。

月の満ち欠け を観た感想

ちょっとややこしい話ですが、何度も見たくなる映画です。

最初の瑠璃が生まれ変わった目的は、優しい両親が欲しかったということ。

アキラに会いたいという気持ちもありましたが、それよりも小山内と梢に愛されていたかったのだと思うと泣けます。

その次に転生した瑠璃は、結局アキラに会えなかった無念と優しい両親のもとで愛されたいという両方の未練を現世で叶えて幸せです。

さらに、お腹の中にいる時から自分の側にいてくれた梢の生まれ変わりのみずき。

小山内が信じてくれるそのタイミングで自分の正体を明かすみずきは、とても聡明な女性で前世のままでした。

三角と瑠璃の1980年代の高田馬場のパートが、実際の時代よりかなりおしゃれでアンニュイな雰囲気で惹かれます。

かなり執着心の強い三角と瑠璃だから起こったファンタジーだと感じました。

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