映画「ピアノ・レッスン (The Piano)」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|ジェーン・カンピオン

映画「ピアノ・レッスン (The Piano)」

監督:ジェーン・カンピオン 1994年2月12日(日本)にフランス映画社から配給

ピアノ・レッスン (The Piano)の主要登場人物

エイダ・マクグラス(ホリー・ハンター)
ヒロイン。口がきけない。ピアノを言葉の代わりに。

ジョージ・ベインズ(ハーヴェイ・カイテル)
エイダの夫の仕事仲間で、原住民と共に暮らしている

アリスディア・スチュアート(サム・ニール)
エイダの夫

フローラ・マクグラス(アンナ・パキン)
エイダの娘

ピアノ・レッスン (The Piano) の簡単なあらすじ

エイダは娘フローラとピアノを持ちニュージーランドへ。

結婚相手のスチュアートが迎えたが重いピアノを自宅へ運ぶ事を拒み浜辺に放置。

エイダにとってピアノはかけがえのない物で何度も浜辺を訪れピアノを弾く姿に魅せられたベインズはピアノをスチュアートから買い取り「黒鍵の数だけレッスンをしたらピアノを返す」という。

ベインズを嫌うエイダだが徐々に気持ちが傾き2人の情事を知った夫は彼女を軟禁。

鍵盤に恋文をかき娘にベインズへ届けるように託すが、娘はスチュアートに渡して密告。

逆上した夫はエイダの人指し指を切断。

が、彼女の瞳にベインズへの思慕を感じ2人で島を去れと言う。

船出してまもなくエイダはピアノを海に捨てる。

ピアノ・レッスン (The Piano) の起承転結

【起】ピアノ・レッスン (The Piano) のあらすじ①

スコットランドからニュージーランドに

 1852年。

失語症の女性エイダは娘のフローラと宝物であるピアノを伴い、スコットランドから未開の地ニュージーランドに移り住みます。

エイダの父がスチュアートとの縁談を決めていたのです。

口のきけないエイダにとってピアノはなくてはならないものでした。

ニュージーランドに上陸した日は天候が悪く、エイダとフローラはピアノを海岸に放置したままテントで寝泊まりします。

翌朝、スチュワートが原住民を10人以上連れて現れ、エイダの荷物を運び出しますが、ピアノは重く湿った土地を担いで運ぶのが大変で海岸に置き去りのままでした。

エイダはフローラを通して何度もピアノを運ぶよう頼みますが聞き届けられず、二人が結婚式を挙げた後も、ピアノは放置されたままでした。

そんなある日、エイダは夫の仕事仲間で、原住民と共に暮らしているベインズという男に、ピアノのある海岸までの案内を頼みます。

一度は断ったベインズでしたが、エイダの熱心さに負けて彼女を海岸まで連れて行き、そこで哀愁を帯びた美しいメロディを奏でるエイダに心を奪われます。

【承】ピアノ・レッスン (The Piano) のあらすじ②

ピアノレッスン

 いくらエイダが頼んでもスチュワートはピアノを家に運ぶ気がありません。

それどころかベインズに、自分の土地と引き換えにエイダのピアノをくれといわれて勝手にピアノを引き渡してしまいます。

エイダは無断でエイダのピアノを売ってしまったスチュワートに怒りますが、取引の内容にはエイダがベインズの家に出向いてピアノ・レッスンをすることまでが織り込まれており、しぶしぶベインズの家に行き、レッスンを開始します。

ところがベインズは最初からピアノレッスンには興味なく、ただエイダがピアノを弾くのを魅入っているだけでした。

何度かのレッスン後、ベインズは更にエイダに1回のレッスンごとにひとつずつ鍵盤がエイダの元に戻すから黒鍵盤の数だけレッスンをしてほしいのと頼みます。

ピアノを取り戻したい一心のエイダは取引を受け入れますがやがて、ベインズは鍵盤を数個あげると言ってエイダに少しずつ服を脱ぐよう求めだし最初は怒って拒否したエイダですがだんだんと夫のスチュワートと違って彼女がピアノを大事にしていることを気づいてくれたベインズを受け入れ、二人は遂に結ばれます。

その翌日、ベインズはエイダにピアノを返すと言い出し、そのとおりエイダは家に運び込まれたピアノの鍵盤にベインズからの愛のメッセージを見つけます。

【転】ピアノ・レッスン (The Piano) のあらすじ③

発覚

 ベインズは家に来たエイダに愛を打ち明け、二人は心から激しく愛し合います。

しかし、エイダの行動を不審に思って後をつけてきた夫のスチュワートにそれをのぞき見されていました。

怒ったスチュワートはエイダを家に軟禁状態に置き、一切の外出を禁じてしまいます。

「そのうち僕を好きになるさ」と言って仕事に出かけたスチュワートを見送ったエイダはベインズのメッセージが彫られたピアノの鍵盤を取り外し、「ベインズ。

私の心はあなたのもの」と彫ってハンカチに包み、娘のフローラにベインズに渡してくれるように頼みますが、二人の情事の時にほっておかれてさみしかったフローラが向かった先はスチュワートのところでした。

鍵盤の恋文を見て激高したスチュワートはエイダをひきづり出し、薪割の斧でエイダの人差し指を切り落としてしまいます。

そしてハンカチに包んだエイダの指をフローラにベインズのところへ届けさせ、エイダと会うなら何本でも指を落とすと伝えるよう命令します。

【結】ピアノ・レッスン (The Piano) のあらすじ④

新しい旅立ち

ハンカチに包まれたエイダの指を見て激高したベインズはスチュワートを殺そうとしますが、フローラは母親の指が落とされると言って泣き叫び制止します。

指を落とされ熱でうなされるエイダを看病するスチュアートですがエイダの心が自分にないことを知りその夜、ベインズの家を訪れ、エイダと共にこの地を出ていけと告げます。

翌朝、スチュワートと離婚したエイダとフローラ、この土地での仕事や財産をすべて捨てたベインズは海岸から旅立とうとしていました。

エイダらはピアノも持っていこうとしますが、原住民のカヌーでは重いピアノは運べません。

それでもエイダがピアノを大事に思っているのを知るべインズはピアノを積み込みカヌーは出航しますが、ピアノの重みで揺れる舟を心配してエイダはピアノを海に捨てる決心をします。

ピアノが海に投げ込まれる際、エイダはピアノを結んでいたロープを足に絡ませ、ピアノごと海に沈んでいきますが、沈みゆく途中で思い直し靴をぬぎロープをほどいて浮上し、船の男たちに助けられます。

その後、ニュージーランドの北の町に辿り着いたエイダはひとさし指に義手を着け、新たなピアノでレッスンをしながら、ベインズやフローラと幸せな日々を過ごしています。

エイダは今でも、時おり海に沈んだピアノの夢を見るのでした。

ピアノ・レッスン (The Piano) を観た感想

エイダにとって命と同じくらい大事なピアノを、ピアノの素養のないのは同じな二人の男がどう思うか、どう扱うかでエイダの愛情が決まっていくところがわかるなあと思いました。

自分の土地と交換して手に入れ、ニュージーランドを離れる時も舟が沈むリスクを冒しながらもエイダが大事にしているものだからと舟に積み込むべインズ。

かたや原住民に頼む運び賃がもったいないからとエイダに何度も懇願されたのに浜辺にピアノを捨て置くスチュワート。

(湿った密林を通って自宅にいくところが描かれていました。

)エイダの気持ちがべインズにむいてしまうのは無理ないなあと思ってしまいます。

最後はエイダがピアノよりべインズを選んで海の中から生還するのかなと思います。

そのほか音楽が素晴らしく美しく、今ルイヴィトンのCMにも使われているマイケル・ナイマンの「楽しみを希う心」が有名ですがサントラのほかの曲もとても素敵です。

コメント