監督:今泉力哉 2021年2月にファントム・フィルムから配給
あの頃。 の主要登場人物
劔樹人(松坂桃李)
本作の主人公。元々バンドで食べて行くことを夢見てるベーシストでしたが、あややに目覚めます。
コズミン(仲野太賀)
ケチでスケベなネット弁慶
ナカウチ(芹澤興人)
つるをトークイベントに誘ってくれたCDショップ店員。
あの頃。 の簡単なあらすじ
ベーシストとして目が出ないつるは、やる気も出ず落ち込みます。
そんなつるを見た友人が、あややこと松浦亜弥のDVDをくれました。
一気にあややにオチたつるはCDショップで、ハロプロを語るトークライブに誘われます。
そこで、出会った仲間たちともう一度青春の日々を過ごします。
しかし、仲間のコズミンが病気になり…。
あの頃。 の起承転結
【起】あの頃。
のあらすじ①
2004年の大阪の話。
仲間とバンドを組んでいるベース担当のつるは、ギタリストに「やる気あるのか」とキレられます。
落ち込みながら家でベースを弾いているつるを見た友達・佐伯が、あややこと松浦亜弥のDVDをくれました。
『桃色片想い』のMVを見たつるは、なぜか涙が流れて、居ても立っても居られずCDショップへ駆け込むのでした。
そこの店員のナカウチが、ハロプロのイベント「ハロプロあべの支部・トークライブ」のチラシをくれます。
そのトークライブに顔を出したつるは、ライブ終了後楽しかったとナカウチに話しかけ、打ち上げに誘われるのでした。
その仲間のコズミンに、自己紹介するのが遅いとつるは怒られます。
コズミンは、ネットの中だけ威張っているネット弁慶でしたが、つるにはリアルでも威張っています。
居酒屋が空いてなくて、トークライブに出演していた仲間のイトウの家で飲むことになりました。
イトウの家で楽しく過ごして、つるは同じくアイドルを推す仲間と出会ったことで、青春時代をやり直すようにワクワクするのでした。
その後つるの部屋は、もうすっかりあやや仕様になりました。
【承】あの頃。
のあらすじ②
つるも今では、トークライブに出演する側となりました。
つるが大学の後輩の靖子をトークライブに誘います。
靖子は、つるたちにハロプロのイベントを学園祭でやって欲しいと相談に来ていたのでした。
つるたちは、大学の学園祭でハロプロのイベントを任されますが、コズミンは無職のオッサンらが教育の場にくるのはマズいと言います。
さらに、張り切る他のメンバーをバカにしますが、当日は、コズミンも張り切っていました。
オタク全開で盛り上がったトークイベントを見た靖子があややのコンサートに行ってみたいとつるに言います。
女の子とあややのコンサートに行くつるに嫉妬するコズミンでしたが、靖子はあややのコンサート当日、お腹が痛いと来ませんでした。
空いた隣の席には、20年後の自分のつるが座ります。
「もう音楽をやらなくても君の人生は楽しい。
君の人生はずっとこのままだ。」
と20年後のつるがいいました。
オタ活をやめようとしたところをコズミンに見られ、コズミンはつるにシチューを作ってくれました。
そんな時、つるはあややの握手会に当選します。
あややに間近で会えたつるは、いつも逃げてばかりだった自分に卒業できたのはあややのおかげだったと思うのでした。
【転】あの頃。
のあらすじ③
つるは、恋愛研究会という名前でバンドを組もうとコズミン達仲間に持ち掛けると、快諾してくれました。
つると仲間は、モーニング娘。
の「恋ING」を披露します。
靖子は、初ライブを見に来てくれて、ほのかな期待をするつるでしたが、あややを教えてくれた友達の佐伯と靖子は付き合っていたのでした。
仲間のアールの彼女・奈緒がストーカー被害に遭っていて、奈緒を気に入っていたコズミンはストーカーを撃退しようとします。
しかし、ネットで恋愛研究会が叩かれ始め、揉めてしまうのでした。
ある時、ナカウチがライブハウスの仕事をするため、東京に行くことになりました。
コズミンは、まだストーカー騒動を引きずってイラつきつつ、奈緒とアールを引き離すことに躍起になってます。
つるは、アールの彼女を取ろうとしたことを舞台上で公開処刑され、ライブはカオスとなります。
しかしその後仲間達は、ハロプロと同じくらい大切なものを見つけ、楽しい時間に区切りをつけました。
【結】あの頃。
のあらすじ④
2008年になり、つるはナカウチと同じライブハウスで働いています。
つるは、コズミンが肺がんになったとブログで知りました。
コズミンは、入院の前に風俗に行ったり、つるが心配するほどでは無いと思っていましたが、病状は次第に悪化していきます。
コズミンは、恋愛研究会で生前葬をすることにし、幽霊の格好をして、モーニング娘。
の「恋ING」を仲間と熱唱。
つるは、昔を思い出して泣いてしまいますが、泣いてるつるがオモロイとコズミンは笑いました。
前向きに生きようとするコズミンはツイッターを始めます。
しかし、コズミンは危篤になり、けれどその状況さえツイートしました。
ナカウチとつるはツイッターでコズミンの生存を確認します。
しかし、コズミンのツイートもいつの日か途切れてしまいました。
つるは、加入したバンドでベースをしていて、今が人生で一番楽しいと思っていることを心の中でコズミンに詫びます。
コズミンは亡くなり、仲間達は、コズミンの棺の中にフィギュアをたくさん入れました。
恋愛研究会は、コズミンを偲ぶ会を開催します。
目が光るコズミン像を作り、風俗嬢のインタビューを流して、最後まで辱めを受けさせ笑いをとります。
「今が一番楽しいけれど、みんなと過ごしたあの頃を思い出します。」
と心の中でコズミンと対話をするつるです。
すると、あの頃のコズミンが現われて、つるは現代のアイドル事情を教えてあげるのでした。
コズミンは亡くなる前、もうしゃべれませんが、意思表示して看護師さんにイヤホンを耳につけてもらいます。
イヤホンから流れてきた音楽は、モーニング娘。
の「恋ING」でした。
あの頃。 を観た感想
主役はつるですが、亡くなったコズミンがメインのオタ活友情物語です。
オタ活あるあるで笑っているうちに、だんだんシリアスになっていき、コズミンの生きざまが一番のテーマだと気が付きました。
芸能人と素人の間のような恋愛研究会のメンバーのアングラな雰囲気が面白いですし、ハロプロに熱狂する反面、自分の人生について軽く焦っている様に共感が持てます。
生前葬や偲ぶ会は、とてもシュールで笑うことが供養なのだと感じます。
あやや役の山﨑夢羽さんが、あややにそっくりでCGかと思いました。
あややに人生を捧げていた人は是非見て欲しい作品です。
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