映画「ひとよ」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|白石和彌

映画「ひとよ」

監督:白石和彌 2019年11月に日活から配給

ひとよの主要登場人物

稲村雄二(佐藤健)
本作の主人公。東京で週刊誌のライターとして働いている。母に対して憎悪の感情がある。

稲村大樹 (鈴木亮平)
子どもの頃から吃音に悩まされている。妻の実家の会社の専務。

稲村園子 (松岡茉優)
甘えん坊の末っ子。スナックで働いている。

稲村こはる (田中裕子)
夫をひき殺すが、それは子どもたちのためにやったことと罪を正当化している。

ひとよ の簡単なあらすじ

子どもたちに暴力を振う夫をひき殺した母・こはるが15年ぶりに戻ってきて、戸惑う子ども達。

しかし、こはるはすぐに家に馴染んでいきますが、次男の雄二だけは複雑な気持ちを抱いていました。

週刊誌のライターである雄二は、家の事件をネタにしていることを末っ子の園子が見つけてしまいます。

ひとよに起きた出来事を、また別のひとよに起きた出来事によって雄二は心にケリをつけるのでした。

ひとよ の起承転結

【起】ひとよ のあらすじ①

母の出所

タクシー運転手をしている母・こはるは、雨の夜に酔っ払いをひき殺します。

家で母の帰りを待っている三人の子供たちは、皆あちこちにケガをして、次男の雄二は家族の状況をレコーダーに録音し小説のネタにしようとしていました。

帰ってきたこはるは、子どもたちに父親をひき殺したことを報告し、刑務所に入りほとぼりが冷める15年後くらいに帰ってくると言い残し出頭します。

15年後、タクシー会社は親戚が引き継いで続けてくれていて、雄二の同級生の歌川や牛久も働いてくれていました。

長男・大樹は妻・二三子の実家の会社の専務になっていて、末っ子の園子はスナックで働き、雄二は、東京へ行き週刊誌の記者になり多忙な生活を送っています。

亡くなった父の命日に嫌々、お墓参りする大樹と園子ですが、雄二は連絡が付かずお墓参りに来ませんでした。

タクシー会社に中途採用で来た堂下は、お酒も飲まず真面目な中年男性で園子をスナックまで迎えに行く仕事を引き受けてくれます。

ある日、15年ぶりに突然母・こはるが帰ってきて、大樹は戸惑い、園子は喜ぶのでした。

【承】ひとよ のあらすじ②

母の罪の余波

大樹から母・こはるが帰ってきたと連絡をうけた雄二は、ひさしぶりに実家に戻ってきました。

最初は戸惑っていた大樹は、こはるに近況を話し、園子は甘えて一緒に寝たりしますが、雄二だけは、母を許さず冷たい態度を取り続けます。

そしてある日、タクシー会社に嫌がらせのビラが貼られてしまいますが、大樹と園子はこはるには黙っておこうと決めます。

しかし、これは今に始まったことではなく兄妹は母が殺人を犯したせいでいじめに遭っていました。

一方、真面目に働く堂下は、会社から10万円を前借して息子に会いに行き、久しぶりに会った息子が覚えていてくれて感激します。

最初はぎこちない息子も、一緒に焼肉を食べてバッティングセンターに行き距離を縮めるのでした。

堂下は別れ際、息子にお小遣いを渡し、幸せな気分を味わうのでした。

ある日、大樹の元を訪ねてきた妻・二三子は、こはるを見て母親が居ると聞いていないと驚き怒ります。

怒って帰る二三子にこはるは、タクシーの無線を使って大樹と二三子を話すように仕向けました。

【転】ひとよ のあらすじ③

罪を肯定する意味

ある日、雄二が風呂に入っている時に園子が雄二のパソコンを覗くと、雄二が週刊誌に自分の家の事件のことを書いていると知ってしまいます。

大樹と園子が雄二のパソコンに入っていた記事の件を問いただすと、雄二はどんな手段を使ってもライターから小説家になってやると開き直るのでした。

こはるが、雄二が誕生日にエロ本を万引きしたこと、そしてレコーダーをプレゼントした日の想い出を話すと、雄二は子どもの人生を無茶苦茶にした自覚の無いこはるに、現実を突きつけます。

大樹は二三子と結婚できなければ人生ダメになっていたこと、園子は美容師になりたくてもいじめで辞めたことをこはるに話しました。

そのことをどう思うのか雄二はレコーダーに録音しますが、こはるは無言を貫きます。

こはるは堂下に自分を貫く強さを褒められますが、そうではなく、子どもたちを迷わせないために謝らないと言うのでした。

こはるが大樹の父親を殺した事実を知った二三子が、何も話してくれない大樹に怒って会いにきますが、大樹は二三子に手を上げてしまいます。

大樹はいつしか、殺された父親と同じく妻に暴力を振うようになっていったのでした。

大樹は、父さんみたいになった自分を殺すのか?母さんは立派だと母・こはるを責めるのでした。

その後、こはるは大昔に雄二が万引きしたエロ本と同じものを万引きし、大樹に母さんは立派じゃないと言うのでした。

この事実に兄妹はうっかり笑ってしまい大樹は、母さんを憎んでいないと言いますが、雄二は過去から逃げられないと諦めていました。

ある日、堂下のタクシーに息子が乗ってきて、覚せい剤の運び屋の仕事をしていると知ります。

元ヤクザの堂下は、いい子だと思っていた息子にお前のせいでこうなったと言われ自暴自棄になり、こはるをどこかへ連れ去るのでした。

【結】ひとよ のあらすじ④

ひとよの出来事

それを見た園子は慌てて兄たちに報告し、無線でタクシーに連絡しますが、堂下は戻りません。

雄二は、大樹と園子を別のタクシーに乗せ、こはるを探しに行きますが、同じような出来事が母が父を殺害した日にありました。

まだ学生だった雄二でしたが、母が出頭した日に母を追って兄妹を乗せて母をタクシーで追いかけたことがありましたが、見つけることが出来ませんでした。

堂下は、こはるを道連れにしてタクシーごと海に転落しようとしますが、雄二がタクシーを当てて阻止しました。

雄二は堂下に向かってまるで自分の父親に向かって言うように、堂下は雄二に自分の息子に言うように自分の想いを吐露し、気持ちを整理します。

こはるは、自分にとって特別なだけで他人からしたらなんでもない夜だと言うのでした。

このことをキッカケに雄二は、パソコンに入っていた自分の家のネタをすべて消去しました。

無事だった母の髪を園子が切ってあげるため、兄妹でカットの準備をするのでした。

ひとよ を観た感想

最初は、あまりにも子どもたちのことを考えてないように見えるこはるに疑問が沸きました。

しかし、そんなはずもなく子どもたちのために自分の犯した罪を肯定しているのだと感じ始めます。

子どもたちは、ひどい父を持った運命と母がしてしまった罪において、おのおの意地があるのだと思います。

兄は、吃音に悩まされるだけでもストレスなのに事件がおきて、それでも体裁を気にする性格ゆえ母も許そうとします。

そういうところのストレスから妻に暴力を振ってしまうのだとしたら、母に殺された父も何か大きなストレスを抱えていたのかもしれません。

殺す前に隔離できなかったのかと悔やまれます。

こはるも判断を誤るほどストレスを抱えていたのだと思います。

こはるが万引きしたシーンで笑うしかない子どもたちが唯一の救いに感じました。

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