「風立ちぬ」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|宮崎駿

風立ちぬ

監督:宮崎駿 2013年7月に東宝から配給

風立ちぬの主要登場人物

堀越二郎(庵野秀明)
裕福な家庭に生まれ、性格は飄々とし、掴み所がないが正義感は強い。時間や予定に疎い。夢想家。

里見菜穂子(瀧本美織)
純粋で芯のある強くて優しい女性。健気。

本庄季郎(西島秀俊)
二郎の大学からの同期。二郎とは親友でありライバルのような関係。二郎とは違い、現実的な性格。

黒川(西村雅彦)
二郎の上司。気難しい堅物のような性格だが良き上司。

風立ちぬ の簡単なあらすじ

主人公の堀越二郎は裕福な家庭に生まれ育ちます。

正義感の強い少年で、飛行機が大好きで、将来の夢はパイロットになる事でした。

近眼だった二郎は、夢の中でドイツの飛行機技術者、カプローニと出会います。

近眼でも飛行機の設計はできますか?と聞いた二郎にカプローニは、私も飛行機を操縦できないと笑いながら二郎を勇気づけるのでした。

それから二郎は、飛行機の設計士になる事を志します。

風立ちぬ の起承転結

【起】風立ちぬ のあらすじ①

夢へと走り出す

飛行機の技師になるため、東京の大学に入学していた二郎は、電車に乗っていた所、ある少女とその女中に出会う。

少女は里見菜穂子で、風に飛ばされそうになった二郎の帽子をキャッチする。

そんな中、突然関東大地震が起こり街中を激しい地震が襲いました。

電車から降りた二郎は菜穂子と怪我をしていた女中のお絹を助け、名前も名乗らず大学へ向かいます。

関東大地震の影響がまだ残る最中、友達の本庄と勉学に励み、ニ年の月日が経った頃、お絹が二郎の元を訪ねてくるのですが、二郎の不在で入れ違いになります。

訪ねた時にお絹が置いていった荷物は、震災で怪我をしたお絹に応急処置をした時の道具でした。

大学を卒業した二郎は本庄のいる名古屋にある三菱に就職します。

そして上司の黒川に見初められた二郎は、どんどんその頭角を現していきます。

そして二郎は隼という戦闘機の試験運転に同席するが、途中で空中分解してしまいます。

二郎の心には様々な葛藤がありました。

【承】風立ちぬ のあらすじ②

追いかけ続ける葛藤

そして二郎は本庄と共に、海外の技術を学ぶためにドイツのユンカース社に視察に向かうのですが、そこでユンカース社最新の飛行機に乗せてもらいます。

日本の技術では考えられない圧倒的な技術力の高さと、優れた飛行機を目の当たりにして、日本の技術が遅れている事に気がつきます。

たとえ技術が海外に比べて遅れていても、日本らしい美しい飛行機を作れないのか。

葛藤する中、日本で美しい飛行機を作る事を諦めきれない二郎は、たとえ飛行機が戦争の道具になるという事がわかっていても、それでも夢を追いかけ続けたいと思います。

そして日本で新しい戦闘機の設計を任された二郎は、海外で学んだ技術と知識を最大限に活かし、ようやく戦闘機を完成させます。

そして試験運転したものの、戦闘機は初めは順調だったものの、途中で空中分解してしまいます。

自分が作った戦闘機がバラバラになって墜落していく姿をみた二郎は、ショックを覚え、軽井沢にて休養をとります。

【転】風立ちぬ のあらすじ③

それでも夢を諦めない

軽井沢のホテルで休養をとっていた二郎は、そこで関東大地震で助けた少女の菜穂子と偶然再会し、惹かれあいます。

大人になった菜穂子と二郎は交流を深め、菜穂子の父に認めてもらい、婚約を交わします。

菜穂子は結核を患っていたのですが、それでも二郎は菜穂子を愛していて、婚約する事を誓います。

結核が治ったら結婚する事を約束して、その後、菜穂子は実家で療養、二郎は仕事に戻り、離ればなれの暮らしが始まります。

菜穂子と二郎は手紙のやり取りでお互いの近況を報告しあっていました。

毎日仕事に追われていた二郎にある日、電報が届きます。

菜穂子が喀血したという知らせに、電車に飛び乗り二郎は急いで菜穂子のいる東京へ向かいます。

窓から菜穂子のいる部屋に入り、再会した二人は抱き合い、幸せなつかの間の時間を過ごします。

次の日も大事な仕事があった二郎は、ベッドで眠る菜穂子を残して名古屋へ戻ります。

そして菜穂子は結核を治すために高原療養所に行く事を決意します。

【結】風立ちぬ のあらすじ④

生きていくという事

仕事に精を出す二郎、高原療養所にいる菜穂子は二郎からの手紙を見て涙します。

二郎が恋しくなった菜穂子は療養所を抜け出し、二郎の元へ向かいます。

菜穂子はもう自分の結核は治らないと悟っていました。

菜穂子が療養所を抜け出した事を知った二郎は、急いで駅へ菜穂子を探しに向かいます。

菜穂子を見つけ抱き合う二人は、残された時間を一緒に過ごす事を決意します。

上司黒川の家で黒川夫妻に仲人に、二人は小さな結婚式をあげます。

夫婦となり、一日一日を大切に過ごす事を誓いました。

一日中ほとんど寝たきりの菜穂子と、いよいよ飛行機完成間近で佳境を迎え仕事に忙しくする二郎、二郎の妹であり医者の卵である加代は、菜穂子の容態が悪化している事に気付いていました。

それでも仕事をやめない二郎に、加代は菜穂子がかわいそうだと言います。

それでも菜穂子は泣き言や文句一つも言いません。

そしてようやく二郎は飛行機を完成させます。

テスト飛行へ向かう二郎を見届けた菜穂子は、置手紙を残し家を後にします。

死期が近い事をわかっていた菜穂子は、最後まで二郎に美しい所だけを見せたかったのです。

何も知らない二郎は試験飛行を見守っています。

飛行機は瞬くようなスピードで大空を舞い、分解する事もなく試験飛行は成功しました。

完成した戦闘機、零。

その後、第二次世界大戦を終えた日本は焼け野原と化します。

二郎はまた夢の中でカプローニと再会します。

カプローニは二郎が作った零を見て美しい、良い仕事だと言います。

二郎が作った美しい飛行機、零は戦争に使われ一機も戻ってきませんでした。

悲しむ二郎に、ここで待っていた人がいるとカプローニが告げます。

すると菜穂子が現れて、あなた生きてと言い残し消えていきました。

二郎は声震わせながら何度もありがとうと言います。

そして、生きなければいけない。

強く生きると心に刻んだ二郎はカプローニと夢の中の草原を歩き出したのでした。

風立ちぬ を観た感想

スタジオジブリで一番好きな作品です。

夢を追いかけ続けるという事は、美しくもあり残酷だと思いました。

それでも夢を叶えるために真っ直ぐな二郎に心を打たれます。

中でも印象に残っているシーンは、菜穂子が喀血したという電報が入り、急いで東京へ向かう電車の中で、涙を流しながらも設計図を書く手を止められなかった二郎の姿です。

どんな時でも二郎は夢を諦めないんだなと、強い意思を感じるシーンでした。

美しい所だけを見て欲しかったという菜穂子の気持ちには悲しくも女性として、共感します。

最後まで菜穂子は美しいものが大好きな二郎の夢を叶えたかったんだと涙が止まりませんでした。

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