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伊黒の失敗
伊黒は赫くなる刀身を見て、視界の四方が白く弾けたのを感じ失敗したと思いました。無惨に有効な攻撃を与える為、伊黒は全ての力を握力に振ったのでした。その結果、酸欠で失神しかけてしまいます。
動きが鈍る伊黒に、無惨の攻撃が襲いかかります。不死川が危険を知らせる為、伊黒の名前を力いっぱい叫びました。一人抜けたら無惨の攻撃を分散できず他の者の負担が増える、甘露寺の分も自分が戦うと伊黒は自分を奮い立たせます。しかし手以外の感覚が飛んでしまって、やはり思うように動けませんでした。
義勇が助けに入ろうとしましたが間に合いません。しかし義勇が上を見上げると、伊黒の身体は無惨の攻撃を避け高く宙に浮いていました。無惨の両腕が目にも止まらぬ速さで、浮いた伊黒を追います。
見えない助太刀
次の瞬間、無惨の右腕は切り落とされ、歪な切断面が残りました。無惨は傷口を見つめ、険しい表情を浮かべます。その腕の切断面から、切り落した相手を探りました。悲鳴嶼の鉄球ではありません。不死川の刀とは切り口が異なります。義勇は伊黒を助けに入っていたから無惨を切る事はできないはずです。伊黒自身も刀身が届く位置にいませんでした。無惨は順に確認し、そもそも伊黒が無惨の攻撃を避けた時の軌道が奇妙だったと疑問に思います。
今度は無惨の左腕が、ビチと千切るような音を立てて切り落とされます。先ほどと同じ切り口でした。無惨はもう一度切断面を見つめ、切った刃物を想像します。ガタつきがあり、切れ味の悪い刃物でした。
無惨は目には見えない者が三名応戦している事に気がつきます。三名は珠世の鬼の術で姿を隠していましたが、土埃が舞い風邪を切る音で存在を探知されてしまいました。
無惨によって術をかけている札が切られ、善逸、カナヲ、猪之助の三人の姿が露わになります。善逸は無惨の攻撃による痛みに嘆き、カナヲはこんなにも早く気付かれるなんてと落胆します。猪之助は切られた痛みに耐えながら、無惨にこの糞虫がと罵声を浴びせました。
悲鳴嶼は突然現れた三人の無事に歓喜します。猪之助は死んでたまるかと叫びながら、予備の札を沢山ばら撒きました。
無惨が猪之助に気を取られ攻撃しようとした瞬間、背後から伊黒が赫くした刀身で無惨の右腕を落とします。新しい腕の再生速度は、明らかにこれまでの再生速度より遅れていました。その隙にカナヲと善逸も再び札を額に貼り付けて姿を消します。
『花の呼吸 肆ノ型 紅花衣(はなのこきゅう しのかた べにはなごろも)』『雷の呼吸 壱ノ型 霹靂一閃(かみなりのこきゅう いちのかた へきれきいっせん)』カナヲと善逸のみえない攻撃が無惨に降りかかります。無惨はつまらぬ小細工をするなと苛立ち、蠅供と吐き捨てます。そこに『蛇の呼吸 参ノ型 塒締め(へびのこきゅう さんのかた とぐろじめ)』と、伊黒の攻撃が続きます。
次々に刀身を赫くする柱達
伊黒の赫刀と三人の戦力が加わった事によって、悲鳴嶼は少しの余裕を得ます。日輪刀の戦斧部分と鉄球部分を、激しくぶつけ合わせました。その衝突のエネルギーで焼けるような匂いと熱を放ち、悲鳴嶼の日輪刀は赫く染まります。長くは持たないけれど、攻撃力が高まりました。悲鳴嶼の鉄球が無惨の左肩を貫きます。無惨は俯き憎悪の表情で沈黙します。
不死川も悲鳴嶼を見習いました。義勇に受けろと命じ、義勇の刀を目掛けて激しく斬り込みます。義勇は驚きながらもしっかりと不死川の刀を受け止めました。刀と刀のぶつかり合う音が鳴り響き、火花を散らして二人の刀身も赫く色づきます。かすがいがらすが夜明けまで一時間三分と告げました。不死川と義勇の二人は赫くなった刀を構えて、再度無惨に立ち向かいます。第191話へ続きます。
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