映画「シン・ウルトラマン」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|樋口真嗣

映画「シン・ウルトラマン」

監督:樋口真嗣 2022年5月に東宝から配給

シン・ウルトラマンの主要登場人物

神永新二(斎藤工)
本作の主人公。警視庁公安部から出向。禍特対の作戦立案担当。ウルトラマン降着による大爆風の最中、子供を庇い絶命(したと思われる)の後にウルトラマンが彼に融合する。

浅見弘子(長澤まさみ)
本作のヒロイン。公安調査庁から出向した禍特対の新メンバーで分析担当。神永のバディとなるが、彼女の言葉や助けは単独行動しか知らなかった(神永に融合した)ウルトラマンに影響を与える。

田村君男(西島秀俊)
防衛省から出向。禍特対専従班の班長。寄せ集め集団をまとめ、現場では禍特対のみならず自衛隊等にも適確な指示をくだす。

メフィラス(山本耕史)
ベーターシステムを日本政府に供与しようとするが、平和維持という目的の裏で野望を隠していた。

シン・ウルトラマン の簡単なあらすじ

突如出現するようになった敵性巨大不明生物に対処しきれなくなった人類の前に銀色の巨人が現れます。

巨人の行動に人類は彼を味方だと認識し、『ウルトラマン』と呼ぶようになります。

その後から次々と外星人が姿を見せ、彼らは日本政府に友好的条約を締結しようとするのです。

しかし、平和目的は表向きなことであり実は地球を食い物にする企みが隠されていました。

自己犠牲精神を持つ地球人に興味を抱いたウルトラマンは人類を守るべく闘い続けます。

1966年から1967年にかけてテレビ放送で高視聴率をたたき出した『空想特撮シリーズ ウルトラマン』のリブート作品です。

シン・ウルトラマン の起承転結

【起】シン・ウルトラマン のあらすじ①

銀色の巨人・ウルトラマン

日本では敵性巨大不明生物が連続出現していました。

政府はそれらを『禍威獣』(カイジュウ)と呼称し、防災庁に禍威獣特設対策室(禍特対(カトクタイ))を設立します。

官民からのエキスパートを集めた禍特対は禍威獣の脅威から日本を守り、その結果禍威獣の出現は人々にとって日常の出来事の一つに過ぎなくなります。

しかし、禍威獣第7号ネロンガの出現で状況は一変するのです。

電気を捕食、それを使用して遠距離攻撃のできるネロンガに禍特対は打つ手がなくなります。

その最中、逃げ遅れた子供を保護するべくメンバーの神永新二は単身現場へと駆けだします。

そして、宇宙から飛翔体が降着しその影響で現場の広範囲に衝撃が起こり子供を庇った神永が倒れます。

飛翔体は銀色の巨人でした。

ネロンガの放つ電撃に巨人はびくともしません。

怖れを成して逃げるネロンガに巨人は光波熱線を浴びせます。

直後、ネロンガは爆散し、巨人は宙に消えるのです。

静けさを取り戻した現場には小学生を抱きかかえた神永の姿がありました。

禍特対に新メンバー・浅見弘子が加入します。

分析担当として着任した彼女が手にしていた資料では銀色の巨人に『ウルトラマン』の仮称が付けられていました。

次に出現した禍威獣第8号のガボラは核廃棄物貯蔵施設を目指し直進を続けます。

過去に放射能を撒き散らしていたことのある敵性巨大不明生物とガボラが似ていることから深刻な被害発生が懸念されます。

そして、再びウルトラマンが登場します。

ウルトラマンが光波熱線でガボラを爆散させることによる放射能被害を誰もが予想します。

しかし、ウルトラマンはガボラの吐く放射性物質混じりの光線を受けとめつつ浄化することに徹するのです。

最終的にウルトラマンは正拳突きでガボラを沈黙させます。

爆散させることなく、更にはガボラの死体を何処かへと運び去る行動をとったウルトラマンを人類の味方だと禍特対は判断します。

【承】シン・ウルトラマン のあらすじ②

外星人たちの来訪目的

次に現れたのは禍威獣ではなく外星人でした。

突如禍特対オフィスに姿をみせた『ザラブ』と名乗る外星人は、あらゆる記憶媒体のデータを消したり復元させたり、また地球の言語も理解しています。

日本政府と平和的条約を締結したいとするザラブに、閣僚らは彼の高度な科学技術で日本が地球のリーダーになることを夢見てしまうのです。

やがて、ネット上に神永がウルトラマンに変身する映像が多数公開されます。

当の神永は行方不明になっていました。

それはザラブの仕業です。

ザラブは邪魔であるウルトラマンを人類の敵に仕立て上げるべく偽ウルトラマンとなって街を破壊していきます。

自分の行方を突き止めてくれた浅見により拘束を解かれた神永は、彼女に預けていたベーターカプセルによりウルトラマンに変身し、偽ウルトラマン・ザラブを撃破しました。

姿をくらませたままのウルトラマン・神永新二に日本だけでなく世界が注目します。

更には浅見までも数日無断欠勤していました。

そんな時、浅見発見の報がもたらされます。

何と彼女は巨大化して街を歩き、ビルを破壊します。

そこに声が響き渡りました。

浅見巨大化は自分の手によるものと言う声の後、浅見はそのまま眠るように道路に横たわるのです。

巨大化した浅見からキューティクルさえも採取できないことに困惑する禍特対メンバーの前に新たな外星人が現れました。

『メフィラス』と名乗る外星人はウルトラマンが巨大化するのと同じ技術であるベーターシステムを提供すると日本政府に申し出ます。

敵性外星人の襲来に備える為、地球の安寧の為、そうメフィラスは言葉巧みに総理らへ近づきます。

交渉は進み、ベーターシステムが日本政府に提供されることになりました。

しかし、その裏には70億にものぼる地球人を巨大化させて兵器化するというメフィラスの企みが隠れていたのです。

【転】シン・ウルトラマン のあらすじ③

ゾーフィとゼットン

ウルトラマンは浅見たちと協力し、条約締結会場を急襲してベーターシステムを奪います。

ウルトラマンは巨大化したメフィラスに対してこのままベーターシステムとともに立ち去るよう迫りますが、メフィラスはそれを拒否しました。

戦闘状態となった両者は互角のようでしたが地球上での活動制限の著しいウルトラマンの方が徐々に劣勢へと向かいます。

しかし、メフィラスはウルトラマンの後方に見えた別の外星人の姿に、地球奪取の野望をいとも簡単に諦めてベーターシステムとともに消えるのでした。

メフィラスが撤退する理由となった外星人は、ウルトラマンと姿が似た『ゾーフィ』です。

ゾーフィはウルトラマンを『リピア』と呼びます。

ゾーフィは自分が地球に現れた二つの理由を語ります。

一つはウルトラマンの処遇です。

二人の本星である『光の星』、その光の星の掟をウルトラマンは破っていました。

それは人間との融合だったのです。

このことによりベーターシステムを使えば地球人を巨大生物兵器にできることが立証され、その事実は既に宇宙に広まっていたのです。

巨大兵器となりうる生物、つまり地球人の数は70億です。

宇宙の脅威になってしまった地球人は、悪意を持つ者にとって利用価値が高いのです。

故に地球人を消し去るというのが二つ目の理由でした。

ゾーフィは天体制圧用最終兵器『ゼットン』を地球上空に展開させるのです。

ゼットンが攻撃を開始すれば地球のみならず周囲の天体も含めて滅亡となります。

各国政府は諦め、人類にその情報を公開することはしません。

禍特対メンバーにも人類の無力さを嘆く者が現れます。

ウルトラマン・神永新二は一つの記憶媒体をオフィスに残して、ゼットンに単身攻撃を仕掛けました。

しかし、ゼットンは易々とウルトラマンを返り討ちにします。

神永の姿になったウルトラマンは眠ったままとなりました。

【結】シン・ウルトラマン のあらすじ④

ウルトラマンの想い

神永が残していたのはベーターシステムに関するウルトラマンが知りうることの全てでした。

それを基にゼットンから地球を救う術を見つけろとのウルトラマンの想いが人類を動かします。

やがて、たった一つの方法が編み出されました。

それはベーターシステムを使ってゼットンを別次元に飛ばすというものでしたが、実行するにはウルトラマンの力が必要であるとともにウルトラマンの生命の保証は無いということでした。

神永は周囲の制止を振り切りウルトラマンに変身、宇宙空間で今まさに地球への最終攻撃を開始しようとするゼットンへと向かいます。

直進するウルトラマンはベーターカプセルを稼働させた直後にゼットンに突撃しました。

別次元への扉が開いてゼットンは奥に呑み込まれます。

ウルトラマンは全力で地球のある空間に留まろうとしますが、残念ながら渦巻く荒れた空間は彼とともに消え去り地球上空は静けさを取り戻すのです。

ウルトラマンの目の前にゾーフィが現れました。

ゼットンからの脅威を凌いだ地球ですが、メフィラスやザラブのような者たちが今後も地球を我が手にしようとするのは想像に容易く、ウルトラマンはそれが心配でなりません。

爆風の中で自己に構わず子供を庇った神永、その自己犠牲精神をウルトラマンは持っていませんでした。

そんな地球人に興味を持ったウルトラマンは倒れた神永と融合した、それが発端です。

何とか地球に留まりたいがその願いは叶いそうにないウルトラマンを見てゾーフィは「そんなに人間が好きになったのか、ウルトラマン」と言います。

自分の命と引き換えにせめて神永は助けたいと思うウルトラマンに、「神永と分離する」とゾーフィは伝えます。

直後、目を覚ます誰かの視野には禍特対メンバーの安堵の表情が映っていました。

シン・ウルトラマン を観た感想

オリジナルのウルトラマンを観たことのある人ならわかる『小ネタ』とか、本作で話題になったメフィラス語録が面白いといった感想は他でも見られると思うので置いておきます。

シン・ゴジラでも描かれていた「もし〇〇が現実に現れたら」が本作にもあって、悪い怪獣をやっつけるウルトラマンがいたら『神』と崇める人もいるだろうし、『これ(ウルトラマン)使えるよな」と思う人も出てくることを率直に表現しているのが最も印象深かったです。

また、素性もよくわからない外星人とよく簡単に条約締結できるよなと、ある意味感心してしまいます。

ザラブやメフィラスとのシーンの裏では「地球人でもない者と条約締結して、それはいかがなものか!」と国会やマスコミや識者が騒いでいるのだろうと想像すると可笑しくなりました。

ウルトラマンがオリジナルとは思考やら習慣やらに若干違う点もありましたが、彼が立派なヒーローであるということは本作でも同じであり、私たちもヒーローに成れずとも正しく優しくありたいなと思える作品でした。

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