監督:佐々部清 2011年10月に東宝から配給
ツレがうつになりまして。 の主要登場人物
ハルさん/高崎晴子(宮崎あおい)
原作となったエッセイの作者。漫画家。ツレがうつになり、ツレとうつ病と、向き合っていく。
ツレ/高崎幹男(堺雅人)
生真面目がゆえに大きなストレスを抱え、うつ病を発症した、夫。
杉浦(吹越満)
ツレが通う心療内科に通う男性。妻との離婚が原因でうつ病を発症した。
ツレがうつになりまして。 の簡単なあらすじ
同名のコミックエッセイの実写が映画化されました。
真面目なサラリーマンのツレ(高崎幹男)は、ある日仕事で溜まったストレスからうつ病を発症してしまいます。
漫画家で、自宅で仕事をこなす妻のハルさん(高崎晴子)は、夫に頼り労われていなかった過去を反省し、ツレと病気について向き合っていきます。
「甘え」だと思われがちだったうつ病の本質を、世間に広めるきっかけとなった作品です。
ツレがうつになりまして。 の起承転結
【起】ツレがうつになりまして。
のあらすじ①
ツレこと高崎幹男は、至極真面目な夫でした。
毎朝、彼は曜日ごとに綺麗にわけたチーズを丁寧に弁当箱に詰め込み、仕事に行くため同じく曜日ごとに分けたネクタイをしめ、ゴミ袋を持って家を出ていきます。
ハルさんこと高崎晴子は、漫画家をやっている幹男の妻です。
自宅で仕事をしているため、ツレとは違い、毎朝ゆっくり寝ていました。
ある日、ハルさんこと妻の晴子は、ツレが携帯を忘れていることに気づき、ツレを追いかけて家を出ます。
するとツレはゴミ置き場の前でゴミを見つめて佇んでいました。
「これって皆、要らないものなんだね…」その様子を不思議に思いながらも、そこまで気に留めていませんでした。
しかし、ツレはその後も食欲が出ないと言い、明らかに元気をなくしていきます。
そうして次の日の朝、とうとうツレはハルさんに「お弁当が作れない、頭が痛い、死にたい。」
と訴えてくるのです。
流石におかしいと思ったハルさんは、ツレに会社を休むように言いますが、風邪か何かだと思っていたツレは、こんなことで仕事は休めないと、仕事前に病院に向かいました。
しかし、病院で診断された病名は風邪ではなく、「うつ病」という心の病気でした。
完治するのに半年以上かかると言われ、ツレはショックを受けます。
【承】ツレがうつになりまして。
のあらすじ②
自分がうつ病であることにショックを受けながらも、薬で治ると言われたため、その日も真面目に会社に向かうツレ。
一方、うつ病であったと報告を受けたハルさんは、うつ病について調べ始めます。
主な原因は「幸せ物質、セロトニンの減少」でした。
なぜセロトニンが減ってしまったのだろうと、過去を振り返ります。
そうして、思えば今までもツレは身体の異常を訴えていたものの、きちんと労ってあげられていなかったことに気付いたのでした。
その後も体に鞭打って会社に向かうツレに、どうにか休んでほしいハルさんは、思い切って会社を辞めないと離婚すると切り出します。
こうして、ツレはやっとのことで仕事を辞める決意をするのです。
自分のできることだけやれば良い、しんどかったら早退していい、とハルさんから励まされ、ツレは退職日のその日まで、なんとか働き切るのでした。
一方、ハルさんも連載していた漫画は打ち切りとなり、漫画家としてなかなかうまくいかない時期でした。
ツレがうつになり、夫婦の在り方と共に、自分のやるべきことについても考える機会が多くなっていきました。
【転】ツレがうつになりまして。
のあらすじ③
ツレは仕事の引き継ぎを終え、無事退職しました。
薬が効き元気な日もあれば、何もできない自分を責め立てて落ち込む日もあります。
そんな浮き沈みを繰り返し、ほんとうに少しずつ、ツレは回復していきました。
しかし、失業保険で持ち堪えていた生活費も底が見えてきました。
仕事を求めて、ハルさんは出版社に出向きます。
持ち込みは受け入れてもらえず、思わずハルさんは「ツレがうつになりまして、仕事をください!」頭を下げました。
最初は、夫が鬱であることを心のどこかで恥ずかしいと思っていましたが、ツレと向き合ううち、いつのまにかその考えも無くなっていたのです。
ツレは休息を経て、どんどん良くなっていきます。
しかし、親からは「回復しかけたときが1番危険だから、良く注意してみてあげて」と釘を刺されます。
ハルさんは心のどこかでまあ大丈夫だろう、と思っていました。
そんなある日、仕事に集中するがあまり、ツレに冷たく当たってしまいます。
その言葉に、自分はここにいてはいけないと感じたツレは、いつのまにか風呂場へ駆け込み、自分の首を絞めようとしていました。
ハルさんは、つい以前のように冷たく接してしまったことでツレを傷つけたことを反省し、ツレを安心させるようにごめんねと抱きしめるのでした。
【結】ツレがうつになりまして。
のあらすじ④
夫の病気をきっかけに、自分の仕事についても考えるようになったハルさんは、今まで自分が書きたいものを描いていなかったことに気がつきます。
ハルさんの描きたいこと、それは自分と大切に家族についてでした。
ハルさんはツレに、私たちのことを描きたいと話します。
うつについて誤解している人が多いので、多くの人に自分たちのことを知ってほしいと考えたのでした。
そこでツレは、ハルさんに日記を託します。
中には、ハルさんの一言に救われたこと、ハルさんから褒められて喜んだこと、ハルさんへの感謝が綴ってありました。
病気でなかなか知り得なかったツレの気持ちを知り、ハルさんは嬉しさから涙を流します。
ハルさんとともに一歩ずつ回復してきたツレは、できなくなっていたことができるようになって来ました。
もちろんまだまだ、完全とは言えません。
なんなら、ツレはうつ病と付き合い続けるのかもしれません。
けれど、2人ならば乗り越えられると、前向きに進んでいくのでした。
ツレがうつになりまして。 を観た感想
このご時世、うつ病を患う人が沢山います。
私もその1人です。
現在休職しているのですが、何もしていない自分が嫌で嫌でたまらなくなります。
この映画には、何もせず休むことがいかに大変かがしっかりと描かれています。
今まで出来ていたことができなくなる絶望感を、堺さんが上手に演じてくださっています。
そして、彼に対してハルさん演じる宮崎あおいさんがかける一言一言に視聴者で私も沢山救われました。
今まで周りに迷惑をかけないようにと必死に生きていましたが、自分を大切にすることが周りのためになるのだと教えてくれた映画でした。
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