監督:フェルナンド・メイレレス 2006年5月にギャガから配給
ナイロビの蜂の主要登場人物
ジャスティン・クエイル(レイフ・ファインズ)
主人公。外交官の家柄に生まれる。ゆくゆくは在外公館のトップになると期待されている。
テッサ・クエイル(レイチェル・ワイズ)
ジャスティンの妻。人権活動家。6歳の頃から革命家に憧れていて正義感が強い。
アーサー・ハモンド(リチャード・マッケイヴ)
テッサのいとこ。愛称は「ハム」。いかなる脅しにも屈しない。弁護士としても優秀。
サンディ・ウッドロウ(ダニー・ヒューストン)
ジャスティンとテッサの友人。海外で活動するイギリス人の安全を確保する。
バーナード・ペレグリン (ビル・ナイ)
ジャスティンの上司。外務省のアフリカ担当として顔が広い。
ナイロビの蜂 の簡単なあらすじ
アフリカで人体実験を行っている製薬会社を告発しようとしたテッサ・クエイルが、殺人事件に巻き込まれます。
テッサの夫・ジャスティンが調査を引き継いでいくうちにたどり着いたのは、自らの上司でもありイギリス外務省の大物でもあるバーナード・ペレグリンです。
ジャスティンを自殺に見せかけて口を封じたペレグリンですが、証拠となる手紙が残っていたために悪事が明るみに出るのでした。
ナイロビの蜂 の起承転結
【起】ナイロビの蜂 のあらすじ①
イギリス外務省に所属する一等書記官のジャスティン・クエイルは、ケニアの首都・ナイロビに駐在していました。
ある時に妻のテッサが遺体となってトゥルカナ湖畔の南端で発見されますが、同行していたはずの医師・アーノルド・ブルームの行方は分かりません。
現地の警察の調べではふたりは不倫を続けた末に、痴情のもつれからアーノルドがテッサを殺人を犯したしたとして指名手します。
ジャスティンがテッサの遺品を調べていると見つけたのが、アーノルドが同性のパートナーと一緒に写っている1枚の写真です。
テッサとアーノルドの関係が潔白であることを確信したジャスティンは、事件の真相を独自に探り始めました。
市内を回って聞き込みをしているとジャスティンは身柄を警察に拘束され、殺し屋を雇って妻を殺害したとぬれ衣を着せた上に現金を要求してきます。
高等弁務官の事務所から所長のサンディ・ウッドロウが駆け付けてきたためにすぐに自由の身となり、ワイロを払う必要もありません。
【承】ナイロビの蜂 のあらすじ②
現地で医療ボランティアに携わっていたテッサは、スリー・ビーズという国際的な製薬会社に関する詳細なレポートを製作していました。
世界各国の政治家に圧力をかけることができるほどの巨大企業で、不正に薬品の価格を吊り上げて販売しています。
さらには発展途上国の患者に対して、政府の認可を受けずに新薬の実験台に使っているなど疑惑も多いです。
自らの身に危険が迫っていることを察知したテッサが、レポートのコピーをたくしたのはジャスティンではありません。
ふたりの共通の友人でもあり良き理解者でもあるサンディで、外交官として前途有望な夫を巻き込みたくなかったからでしょう。
ジャスティンはスリー・ビーズの代表者ケニー・カーティスに接触しますが、レポートなど知らないと相手にされません。
カーティスの根回しによってジャスティンにイギリスへの一時帰国命令が下り、空港に到着した途端に旅券法違反の疑いがあるとしてパスポートを取り上げられてしまいます。
【転】ナイロビの蜂 のあらすじ③
久しぶりに上司のサー・バーナード・ペレグリンとロンドンのクラブで食事をともにしたジャスティンは、これ以上事件を掘り返すことを止めるように忠告されました。
ケニー・カーティスは手段を選ばずに事業を拡大していますが、イギリスに多大な利益をもたらしていることも事実だからです。
会食のあとにはテッサのいとこで財産管理もしている、弁護士のハムと面会します。
監視されていたテッサはメールでハムに調査を依頼していて、スリー・ビーズの取引先であるKDHという会社の実態を掴んでいました。
KDHは結核の画期的な治療薬「タイプラクサ」の製造に成功していましたが、どんな副作用が起こるかは分かりません。
スリー・ビーズを通じてアフリカで治験を繰り返しているうちに、ケニア政府とペレグリンとの間にも癒着が生まれています。
差出人が不明の脅迫状が舞い込んできたり見知らぬ若者たちから暴行を受けますが、ジャスティンはテッサの遺志を継ぐつもりです。
【結】ナイロビの蜂 のあらすじ④
ハムに用意してもらった偽造の身分証明書と旅券を使い、小型旅客機のパイロットを雇ってジャスティンはナイロビに舞い戻りました。
ナイロビの奥地・ロキでついには、人体実験に加担した医師の証言を録音したテープを入手します。
テープを託されたパイロットが最後に見たのは、ひとりテッサが亡くなったトゥルカナ湖の岸辺へと歩いていくジャスティンの後ろ姿です。
イギリス外務省はジャスティンがテッサの後を追って自殺したと発表し、アフリカの発展のために貢献した夫婦の功績を宣伝するために国を挙げての大々的な葬儀を開催しました。
葬儀の席でペレグリンはジャスティンのために弔辞を読み上げますが、彼こそがテッサ殺害を指示した張本人です。
テッサのレポートが公表されることによってスリー・ビーズの株価が下落することを恐れていたペレグリンは、「彼女を止めろ」という手紙を部下に送っています。
証拠となる手紙を事前に入手したハムは、ペレグリンのしらじらしい弔辞が終わるのを待ってすべてを暴露するのでした。
ナイロビの蜂 を観た感想
愛する人を失ったエリート外交官が巨大な陰謀へと立ち向かっていく、社会派サスペンスとして見ごたえがありました。
舞台となるのはアフリカの大国ケニアで、首都・ナイロビの中心には高層タワーやホテルが建ち並んでいて未来都市のようです。
線路をたどって少し路地裏に入ると、トタン屋根の一軒家やバラック小屋で埋めつくされたスラム街が広がっています。
殺菌装置のない病院や移動診療所で、満足な医療を受けられない子供たちの姿には胸が痛みました。
厳然たる格差が国民を分断して搾取を生んでいるのは、アフリカでも日本でも同じなのかもしれません。
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