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激闘の陰でもがくのは…?
茶々丸は首と胴を切断されて血を流していました。愈史郎は茶々丸を見つけ、大丈夫かと抱き上げます。茶々丸がバラバラにされても生きている事に村田達は驚き、その猫も鬼なのかと愈史郎に聞きました。愈史郎は決戦直前に鬼にできたと教えてやります。
それから愈史郎は『そんなことより何をボケっと見てる?死にかけている奴らの手当てをしろよ。本当にクズだなお前ら』と村田達に毒づきました。村田らは言われて思い出したと言わんばかりに、倒れる仲間に駆け寄ります。善逸、猪之助、カナヲに血清を打つ為、現場の治療班に指示を出しました。一方の愈史郎は左足を無くしてがれきに座り込む悲鳴嶼の意識を確認します。聞こえるかと声を掛けますが返事はありません。愈史郎は悲鳴嶼の足を見てまずいと思い、即座に処置を施します。
悲鳴嶼が仮に意識を戻したとしても、失血と平衡感覚の欠如で戦うことは不可能な状態でした。夜明けまで五十分以上残して悲鳴嶼が戦闘不能になってしまった事に、愈史郎は強い危機感を覚えます。丹治郎一人では無惨に勝つことはできません。珠世の姿が愈史郎の頭をよぎりました。『どうか丹治郎を守ってください。何とか守ってやってください。お願いします。』と愈史郎は珠世に願います。
酸欠で目がくらんだ丹治郎の窮地
その頃、丹治郎は必死に無惨に食らいつき、十二の型を繋ぐ事に注力していました。無惨の管と丹治郎の刀がぶつかり合い、轟音が空気を震わせます。丹治郎は十二の型を繋ぐだけでなく、心臓と脳に正確に狙いを定めようとしました。『もっと集中して透き通る世界に入るんだ』そう決意した瞬間、視界に影が落ちました。酸欠で前が見えない状態になってしまったのです。焦る気持ちを抑え込み、嗅覚で無惨を捉えようと努めます。『大丈夫だ絶対できる!!夜明けまで…』そう自分を鼓舞したその時、足を滑らせ身体のバランスを崩しました。
丹治郎を全力で庇った伊黒
無惨はその瞬間を見逃しません。無惨の攻撃がもろに丹治郎に降りかかりました。しかし横から蛇が割って入るように現れ、丹治郎を守ります。無惨はまたも丹治郎に止めを刺し損ねて、『…死にぞこないめ』と忌々しそうに吐き捨てました。
誰かに助けられたと知った時、次第に丹治郎の視界が戻ってきます。嗅ぎ覚えのある匂いと衣服の柄が目に入った事で伊黒だと分かりました。伊黒の腕に抱きかかえられたまま丹治郎が顔を上げると、伊黒の両眼は深い二本の切り傷で潰されていました。『伊黒さん両目が…!!俺を庇ったせいで』と丹治郎は思わず声を張り上げます。伊黒は丹治郎に構わず無惨と距離を取り、庇ったせいではなくもっと前にやられたのだと答えました。丹治郎は伊黒を援護しながら戦うと申し出ます。けれど伊黒は元から自分の右目は弱視で殆ど見えていなかったのだから、丹治郎の介添えは必要ないと答えました。自分には”鏑丸(かぶらまる)”がついていると言います。丹治郎が回復したことを確認し、伊黒は丹治郎を放します。
背後に迫ってきていた無惨が、二人の間に入って伊黒に襲い掛かります。無惨の広範囲に渡る攻撃により、近くの建物が半壊しました。丹治郎は伊黒の身を案じますが、鏑丸の働きで伊黒は無惨の攻撃を回避します。無惨は鏑丸のような”畜生”に自分の攻撃が読まれたのだと分かり怒りが込み上げました。
再度、伊黒に襲い掛かる無惨を今度は丹治郎が制しました。無惨は伊黒ほど手負いの人間さえ一瞬で殺せない自分に、老化薬の影響を思い知ります。無惨の身体はまだ老化薬を分解できず、修復に体力を費やしていました。
縁壱の残した道しるべ
丹治郎は無惨の匂いが変化している事から、みんなの攻撃が無惨を段々と弱らせていると信じます。それにも関わらず無惨の強さは圧倒的でした。丹治郎は二対一で無惨に応戦していても、酸欠を免れるのに精一杯で透明な世界に入れないでいます。何度も命を救ってくれた伊黒を今度は自分が助けなければと思い、現状を打破する為に考えを巡らしました。
丹治郎は無惨の身体の異変に気が付きました。縁壱のつけた傷です。何百年もの間、無惨の細胞を灼き続けた古傷が無惨の最も脆弱な部分でした。『縁壱さんが俺たちを導いてくれる…!!』と、丹治郎は夜の闇に照らされた道しるべをを見出します。第195話へ続きます。
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