ミート・ザ・ビートルズ(小林信彦)の1分でわかるあらすじ&結末までのネタバレと感想

ミート・ザ・ビートルズ

ミート・ザ・ビートルズ

【ネタバレ有り】ミート・ザ・ビートルズ のあらすじを起承転結でネタバレ解説!

著者:小林信彦 1991年9月に新潮社から出版

ミート・ザ・ビートルズの主要登場人物

桐島夏夫(きりしまなつお)
ビートルズ好きの青年。1989年現在18歳。

桐島春夫(きりしまはるお)
夏夫の父。ビデオデッキのセールスマン

桐島圭子(きりしまけいこ)
夏夫の母。旧姓池上圭子。

桐島多佳子(きりしまたかこ)
夏夫の伯母。春夫の姉。

ミート・ザ・ビートルズ の簡単なあらすじ

1989年に生きる桐島夏夫は、タイムパトロール隊から1966年に発生する予定のポール・マッカートニー殺人事件に父親・春夫が関わっていることを聞かされます。計画が遂行されて春夫が逮捕されてしまった場合には、夏夫は現代には存在しません。自分自身の存在と世界中から愛されているミュージシャンを救うため、時空を超えた冒険へと繰り出していくのでした。

ミート・ザ・ビートルズ の起承転結

【起】ミート・ザ・ビートルズ のあらすじ①

未来からの来訪者

1989年に生きる18歳の青年・桐島夏夫は、古き良き良き時代のロックミュージックに夢中でした。

中でも1番のお気に入りは、1960年代に世界中の若者たちを熱狂の渦へと巻き込んだイギリスのビートルズです。

1度でいいから1966年に日本武道館で開催された彼らのコンサートを、自分自身の目で見て体感することが夢でした。

そんなある日のこと、夏夫の前にタイム・パトロール隊と名乗る怪しげな男たちが現れます。

隊員たちの目的はポール・マッカートニーを暗殺して歴史を改変しようとしている、ひとりの男の目論見を阻止することです。

突拍子もない話に半信半疑だった夏夫でしたが、ポールの暗殺を企てている犯人の名前を明かされた途端に衝撃を受けるのでした。

【承】ミート・ザ・ビートルズ のあらすじ②

1989年から1966年へ

彼の名前は桐島春夫。

1966年当時はまだ高級品で希少価値の高かった、家庭用のビデオテープ・レコーダーのセールスを担当する33歳です。

このまま順調に進めば池上圭子という名前の女性と結婚して、1971年には夏夫が誕生する予定になります。

仮に殺人を犯して逮捕されてしまった場合には、夏夫は1989年には存在しません。

春夫自身はお人好しで人畜無害ながらも、イギリスからやって来た長髪の4人組が武道館でエレキギターを演奏することを快く思わない右寄りの政治家に操られているようです。

春夫をマインドコントロールから解放する特殊なカプセル剤を受け取りポケットに詰め込んだ夏夫は、偉大なミュージシャンを救うため時を遡っていくのでした。

【転】ミート・ザ・ビートルズ のあらすじ③

若き日の伯母と対面

夏夫がタイムスリップから目覚めると、そこは1966年の新橋の第一ホテルでした。

春夫の居所を探るため、出版社に勤務している伯母の桐島多佳子と接触します。

長らく弟とは疎遠になっているようでしたが、音楽雑誌の記者をしているだけあって業界の裏話にはやたらと詳しいです。

ビートルズの宿泊先がヒルトンホテルであることを聞きつけ赤坂へ向かいますが、4人が宿泊する10階フロアは厳重な警備体制が引かれていて容易に近づくことは出来ません。

多佳子が滞在するマスコミ用の9階フロアの客室にお邪魔していると、突如として電話のベルが鳴り響きます。

反射的に受話器を取ってしまった夏夫は強いシグナルを浴びて、ポール・マッカートニー殺害を決意するのでした。

【結】ミート・ザ・ビートルズ のあらすじ④

ハロー・グッバイ

ビートルズのマネージャーを務めるブライアン・エプスタインに多佳子のコネを使ってインタビューの約束を取り付けた夏夫は、10階の特別室へと招き入れられました。

ビートルズの4人との対面に感激する多佳子を尻目に、夏夫は隠し持っていた果物ナイフを握りしめポールへと向かっていきます。

その場に現れて夏夫を取り押さえて、ポケットの中のカプセル剤を飲ませてくれたのは春夫でした。

春夫の自宅は料金不払で電話が止められていたために、真犯人はビートルズと同じホテルに泊まっていた多佳子を利用するつもりだったようです。

見事にビートルズの危機を救った夏夫と春夫の親子に感謝の気持ちを込めて、4人は1年後に「ハロー・グッバイ」を作曲するのでした。

ミート・ザ・ビートルズ を読んだ読書感想

ビートルズの来日によって日本国内が湧き上がっていく、当時の世相が反映されている街並みが味わい深かったです。

イギリスからやって来たスーパースターに夢中になっていく若者たちと、マッシュルームカットやエレキギターのメロディーに眉をひそめるお堅い旧世代とのコントラストが面白かったです。

時の総理大臣や新聞社のオーナーが、新しいタイプの文化や芸術に拒否反応を起こして排除しようとしていたことには驚かされました。

その一方では高度経済成長期の真っ只中にあり、極端に海外メディアの反応を気にしてしまう様子が滑稽です。

単なるサブカルチャーの担い手ではなく、ひとつの国を揺るがしてしまうほどの4人のメンバーの影響力を感じました。

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