【ネタバレ有り】立華高校マーチングバンドへようこそ 前編 のあらすじを起承転結でネタバレ解説!
著者:武田綾乃 2016年8月に宝島社から出版
立華高校マーチングバンドへようこそ 前編の主要登場人物
佐々木梓(ささきあずさ)
立華高校吹奏楽部に憧れて入学した1年生。トロンボーン担当のしっかり者で人の世話を焼くのが好き。厳しい練習も苦に思わないストイックな性格で、この物語の主人公。
名瀬あみか(なせあみか)
立華高校吹奏楽部1年生で、楽器初心者で強豪校であることを知らずに吹奏楽部に入部してきた。気弱な性格で同じトロンボーンパートの梓を慕っている。
�P�ア未来(せざきみらい)
トロンボーンのパートリーダー。楽器初心者で入部してきたが、今や誰もが認めるトップ奏者。部員のことをよく気にかけている優しい人柄。
戸川志保(とがわしほ)
トロンボーンパートの1年生。中学からの経験者で演奏技術は高いが、運動神経はあまり良くない。自分の能力にコンプレックスを感じ始めている。
立華高校マーチングバンドへようこそ 前編 の簡単なあらすじ
京都橘高校吹奏楽部をモデルとした青春群像小説佐々木梓は念願の立華高校吹奏楽部に入部した。1年生でありながらトロンボーンでは未来に次ぐ実力を持ち合わせている。同じ1年生で初心者のあみかと仲良くなり、あみかの面倒を事細かに見、あみかも梓を頼りにしていた。徐々にあみかも上達し、2人の関係が変化していく。
立華高校マーチングバンドへようこそ 前編 の起承転結
【起】立華高校マーチングバンドへようこそ 前編 のあらすじ①
佐々木梓は中学生の時に立華高校の飛んだり跳ねたりする独特のマーチングに魅せられ、立華高校の吹奏楽部に入ることを夢見ていました。
その念願が叶って吹奏楽部推薦で立華高校に入学したのです。
その吹奏楽部に梓と同じように入部した名瀬あみかは吹奏楽部初心者で、吹奏楽のこともマーチングのことも何も知りません。
運動の苦手なあみかは中学時代にちょっとしたトラブルがあり、学校が嫌いになり、人が怖くなり、1人で逃げて何となく学校に通っているだけの生活を送ってきました。
そんな自分を京都に引っ越してきた機会に変えようとして強豪校とも知らず立華高校の吹奏楽部に入部たのでした。
梓はそんなあみかに吹奏楽のことや練習の仕方などを丁寧に教えました。
あみかもそんな梓に頼り切っているところがありました。
同じトロンボーンパートの1年生での戸川志保は経験者である自分もあみかの指導をしなくてはいけないと思っていましたが、自分の練習で精一杯で自己中だけど面倒見ることができないと梓に訴えました。
梓はあみかの面倒は全部自分がみるから志保は気にしなくて良いと伝えたのです。
そんな中、中学生を招待するコンサートで1年生のマーチングを披露することになったのです。
【承】立華高校マーチングバンドへようこそ 前編 のあらすじ②
1年生が披露するマーチングは立華高校の十八番といわれる「シング・シング・シング」です。
この曲の激しい振り付けや躍動感のある動きは立華高校のマーチングの中でも際だった物があり、これをやりたくて立華高校に来る生徒も少なからずいます。
初めての振り付け練習はドラムメジャーで3年生の神田南の指導から始まりました。
それは厳しいもので南からの叱責は果てしなく続きます。
とても楽器を吹きながら振りをつけられるとは思えないものでした。
他の1年生が恐怖を抱きながら練習する中、梓だけは楽しくて仕方なく、皆が帰った後も1人で練習を続けていました。
立華でシングを吹くことは梓の憧れで、この道を選んだのは自分、だからこそ妥協は許されなかったのです。
そんな時、3年生の高木栞から�P�ア未来の話を聞いたのです。
1年生の時、栞はトロンボーン経験者で初心者の未来の面倒をよく見ていました。
未来は人一倍練習して、2年生になって気がつけば栞より上手になっていたそうです。
今では未来の実力は誰もが認めているけど、百パー応援できるかと言ったら嘘になる、自分だってソロをやりたいとどこかで持ってしまう、初心者はいつまでも初心者じゃない、と自分の気持ちを吐露したのです。
栞は梓とあみかのことを心配して自分の経験を話したのでした。
1年生だけの練習は、ステップをほぼできるようになった梓を中心に必死に進められましたが、志保とあみかはなかなか追いつきません。
そして未来のテストを受ける日になりましたが結果は不合格、土日を挟んだ月曜日に再テストを受けることになりました
【転】立華高校マーチングバンドへようこそ 前編 のあらすじ③
テストが不合格になった後、戸川志保が部活を辞めたいと言い出しました。
志保は中学校では一番上手でソロは志保に任されていて、立華へ行っても上手な側の人間だと思っていました。
しかし、自分よりはるかに上手い梓に嫉妬し、中学時代一緒の部活だった子にも追い越され、今では初心者のあみかにも追い越されようとしている。
そんな嫉妬ばかりで音楽が嫌いになりそうだと梓に言うのでした。
確かに楽器は上手な志保ですが、運動が苦手なこともありステップでは人より後れを取っていました。
梓は自分より上手い子に嫉妬するのは当たり前で、それをきちんと認められるのなら嫌なヤツとは思わないと伝え、志保も部活を続けることになりました。
そして、ステップは2年生の橋本杏奈が指導してくることになり、その的確で熱心な指導であみかも志保も見劣りしない程上達しました。
そんな時副パートリーダーの栞が志保にバストロンボーンに移ることを頼みに来ました。
だれもが目立つ高音パートを吹きたいと思っている中で低音に移ると言うことは一見屈辱的に思えます。
しかし栞は安定して低い音が出せ、演奏のレベルが高い志保なら安心して任せられると伝えました。
初めはためらった志保ですが先輩が自分の一番輝けるところで先輩達が期待してくれていることを知り、快く引き受けました。
そして栞は志保が頑張っているところちゃんと見ているから腐ったらいかんよと伝えたのでした。
志保の悩みもきちんと分かっての提案だったのです。
そして再テストは見事合格することができ、コンサートも無事に終えることができました。
【結】立華高校マーチングバンドへようこそ 前編 のあらすじ④
夏休みに入り、校内合宿が始まりました。
校内合宿では吹奏楽コンクールのためのオーディションがあります。
立華高校では学年関係なく上手な者が選ばれることが当たり前になっていました。
その頃には梓の指導であみかも上達してきて、あみかは梓の迷惑なっていないか考えるようになっていました。
合宿の朝、梓は未来と話をする機会がありました。
未来は自分が初心者だったこと、栞が熱心に教えてくれたこと、追い抜いているときは追い抜かれる人の気持ちなんて分からなかったけど、今はよくわかること、そして今は怖いことなどを話しました。
梓には伝えておこうと思ったのです。
そして、梓はオーディションでAに選ばれました。
トロンボーンパートで選ばれたのは梓以外全員3年生で、ソロは未来です。
梓は朝早くから夜遅くまで人一倍練習をしました。
梓にとって練習はどんな辛くても苦になるものではありませんでした。
そんな中であみかの練習もみていたのです。
そこへ1年生の志保と的場太一が来て、あみかにAの梓に頼るのは辞めた方が良いと言ってきました。
あみかと梓の2人のことを思った言葉でした。
しかし梓はあみかに気にしなくて良いと言い放つのでした。
コンクールに向けた練習は厳しくなり梓も休む間もなく練習しました。
そして、コンクール当日はあみかの両親に車で会場まで送ってもらいました。
両親はあみかが変わったことをすごく喜んで梓に感謝の気持ちを伝え、あみかは手作りのミサンガを梓の手首に巻きました。
その手首を握ると不思議と緊張がほぐれるのでした。
そしてコンクールは終わり、立華高校は関西大会出場を決めました。
その帰りにあみかは、今の自分のままで良いのか悩んでいたこと、マーチングではカラーガードをやることに決めたことを梓に伝えたのです。
梓は衝撃を受け、思考が止まるのでした。
立華高校マーチングバンドへようこそ 前編 を読んだ読書感想
高校生時代というのは人間形成にとって最も重要な時期で、最も人を見る目が育つ時期なのですが、その育ち方は人によって違います。
この小説に出てくる同じ学年の梓も志保もあみかも同じ成長段階を踏んではいるものの、進み具合が違っています。
そして先輩は梓たちの上の段階を進んでいて、よく1年生を観察し理解しています。
そんな先輩達を見て、感じて憧れるのは当然なことですし、幸せなことです。
この小説の中にはそんな心の変化が上手く表現されています。
初心者と上級者、オーディションに合格する者と落ちる者、上達の早い者と遅い者、それはどこの吹奏楽部にもある日常の出来事です。
吹奏楽部だけでなくどの部活にでもと言っても過言ではないでしょう。
そんなありふれた中で生徒の変化を描いているところがこの小説の面白いところだと思います。
https://ara-suji.com/novel/2071/
コメント