だから荒野(桐野夏生)の1分でわかるあらすじ&結末までのネタバレと感想

だから荒野(桐野夏生)

【ネタバレ有り】だから荒野 のあらすじを起承転結でネタバレ解説!

著者:桐野夏生 2016年10月に文藝春秋から出版

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だから荒野の主要登場人物

森村 朋美(もりむら ともみ)
本作の主人公。自分のことをないがしろにする家族に嫌気がさして家出をする。優しくておおらかな性格だが、大胆な行動が多い。

森村 浩光(もりむら ひろみつ)
朋美の夫。ゴルフとレストラン巡りが趣味。無神経な発言から朋美をいつも怒らせてしまう。

森村 健太(もりむら けんた)
森村家の長男。大学生。彼女の家に入り浸りがち。

森村 優太(もりむら ゆうた)
森村家の次男。高校生。ネットゲームにはまり、ほとんどひきこもりのような生活をしている。

だから荒野 の簡単なあらすじ

自分の誕生日なのに、無神経な発言で神経を逆なでする夫と二人の息子に、主婦の朋美は限界を迎える。愛車と身一つで高速道路に飛び乗り、九州を目指すのだ。車に積んだままのゴルフバッグの心配ばかりをする夫をよそに、爽快感を感じながら旅を続ける。そこで待ち受ける数々の事件。東京に残された息子たちの思いとは。家族の在り方を考えさせられるストーリーが描かれる。

だから荒野 の起承転結

【起】だから荒野 のあらすじ①

最低の誕生日

46歳の朋美の誕生日。

家族はいるのに、誰も祝ってくれない。

次男はゲームに夢中で部屋から出ようともしない。

仕方なく自分でレストランを予約して支度をしていると、化粧が派手だの服がダサいだのと、家族全員から馬鹿にされる始末だ。

それでも夫の浩光と長男の健太と共にレストランに向かおうとするも、家族は電車は嫌だ、運転するのも嫌だと駄々をこね、結局朋美が運転をしてレストランに向かう。

レストランに着いても浩光は料理に文句をつけ、長男は朋美の料理の下手さを馬鹿にして笑う。

朋美がきちんとした料理をしないのには理由がある。

長男の健太も次男の優太も、好き嫌いが激しいのだ。

どんなに工夫をして料理をしても必ず残す。

そして、ジャンクフードやスナック菓子ばかりを食べるのだ。

ならばもう料理はしないと決意したのだ。

それなのに、浩光も健太も、朋美がただ料理が下手なだけだ、お母さんのお弁当はとても恥ずかしかったと言う。

限界を迎えた朋美は啖呵を切ってレストランを飛び出す。

もう家には帰らないと誓いながら。

【承】だから荒野 のあらすじ②

46歳の旅路

レストランを勢いよく飛び出したものの、朋美に行く当てはなかった。

とりあえず旧友の知佐子に連絡を取り、家を出たことを話すと、驚きながらも応援してくれた。

知佐子と会話をする中で、朋美は九州に行くことを決意する。

長崎に以前付き合っていた人がいるからだ。

結婚の話が出なかったので別れた相手だが、もし別れなかったら、今よりもっと幸せな生活が送れたのかもしれないと想像をする。

その後朋美は二、三日は東京に留まるも、孤独な仲間だと思っていた知佐子に婚約者を紹介されたことがきっかけとなり、朋美は高速道路に飛び乗る。

途中、サービスエリアで寝泊まりしていると、コーヒーを差し入れしてくれる優しい中年男性が現れる。

同じ九州方面に向かうその男性と会話をするようになり、サービスエリアで寝るのは危険だろうということでホテルも紹介してもらう。

しかし、その男性は朋美のことを身を売っている女だと勘違いし、朋美の値段を聞く。

その場は誤解を解き、男性とは離れることができたが、一人で旅をすることの恐ろしさを感じる事件となった。

【転】だから荒野 のあらすじ③

車を返して

サービスエリアに立ち寄った朋美は、裸足で寒そうにしている女性、桜田に出会う。

なんと、夫と口論して車から降ろされたのだという。

かわいそうに思った朋美は、実家の下関まで行きたいという桜田を車に乗せ、靴や上着を貸した。

今まで一人で旅をしてきた朋美は、旅の共ができて嬉しかった。

しかし、桜田は嘘をついていた。

途中、宮島の景色を見に二人で車から降りた時、桜田は忘れ物をしたと言って車に戻り、そのまま車を運転してどこかへ去っていった。

残された朋美はヒッチハイクをするしかなかった。

長時間誰も拾ってくれない時間が過ぎたが、やっと現れたのは、亀田という大学院生と、山岡先生という、原爆についての語り部をしている老人だった。

九州に住んでいるという二人は朋美の家出に驚きながらも、温かく迎えてくれる。

そして九州に到着し、朋美の仕事が見つかるまで山岡先生の家に下宿をさせてもらうことになった。

山岡先生は原爆の話となると熱くなったが、朋美のことを「猛々しい人」と呼び、まるで家族のようだった。

【結】だから荒野 のあらすじ④

本当の家族

山岡先生との暮らしが続く最中、朋美のもとに次男の優太からメールが届く。

朋美がいなくなって、秩序が乱れる家に嫌気がさした優太は、朋美のもとで暮らしたいという。

家出をしたというのに、家族からはあまり心配されていないように感じていた朋美は二つ返事で、優太を呼び寄せる。

そんな時、盗まれた朋美の車が大阪で見つかったという連絡が家に入り、浩光と朋美は大阪の警察で落ち合うことになる。

朋美の勝手な家出にメンツを潰されて腹を立てる浩光に、朋美はもう家には帰らないと宣言する。

九州に帰った朋美に、次男の優太は、九州の高校に再入学したいと告げる。

保護者である以上浩光にも相談するが、そんなものは甘えだと浩光に一蹴される。

朋美はやり直したいという次男の思いに共感してしまい、浩光に再入学を懇願するが、そうこうしているうちに優太が以前のように自堕落な生活を送るようになってしまう。

場所を変えるだけでは駄目なんだと改めて朋美は実感する。

山岡先生に痴呆の症状が出てきたことからも、九州での生活に限界を感じた朋美は、東京に戻り、家族の立て直しを東京でやり直すことを決意する。

だから荒野 を読んだ読書感想

家族に対して、朋美のようなもやもやを抱えている人は多いのではないか。

ここまで思い切ったことはできなくても、夫や息子の無神経な言動に苛々したり、自分の頑張りが認められないと感じる瞬間は誰にでもあるだろう。

この小説は、そんな一般庶民の気持ちを最大限に引き出して、最大限にすっきりする形で展開づけてくれる冒険物語だ。

途中、優しい人や冷たい人、怖い人、たくさんのキャラクターがスパイスとして登場する。

最後は山岡先生のもとで、ゆっくりと頭を冷やして今までのことや今後のことを考えるのだが、これが一番大切なことだと思う。

たくさん考えて、そして覚悟を持って家族のもとに帰った朋美は、もう家出はしないんじゃないだろうか。

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