トップリーグ(相場英雄)の1分でわかるあらすじ&結末までのネタバレと感想

トップリーグ(相場英雄)

【ネタバレ有り】トップリーグ のあらすじを起承転結でネタバレ解説!

著者:相場英雄 2017年10月に角川春樹事務所から出版

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トップリーグの主要登場人物

松岡直樹(まつおかなおき)
大和新聞社の記者。急激な人手不足により経済部から政治部への転向を命じられる。

酒井祐治(さかいゆうじ)
松岡と元同期。優秀で家柄もよいサラブレット。政治部のトップだったがある時急に会社を辞めてしまう。現在は週刊新時代の記者。

阪義家(さかよしいえ)
現内閣官房長官。懇談など取材に松岡を指名するようになる。

阿久津康夫(あくつやすお)
政治部部長。部長でありながら、今も記事を書きつづける政治部の首位打者。

トップリーグ の簡単なあらすじ

オリンピック関連施設予定地の埋め立て地で発見された一億五千万の入った金庫。それは昭和の一大疑獄に関連する裏金の一部だったのです。どうして裏金は捨てられたのでしょうか。疑獄の関係者はすでに次々と死亡し人々の記憶から薄れていく中、それでも残りつづける出どころ不明の裏金。過去からの連綿と続く政治の闇を新聞記者は暴くことができるのでしょうか。

トップリーグ の起承転結

【起】トップリーグ のあらすじ①

謎の金庫

大和新聞社の経済部の記者である松岡は、電気会社の会社の会見でかつての同期酒井と再会します。

酒井は優秀で社のエリートコースでもあった政治部に配属されていましたが、周囲に理由もつけずに退職。

現在は週刊新時代の記者をしています。

そんな頃、埋立地の中から一億五千万が入った金庫が発見されたニュースが世間を騒がせます。

酒井は独自のツテで調査し、その一億五千万が聖徳太子のお札だったことを知ります。

札束に巻かれていた帯封をチェックすると、日銀と日本不動産信用銀行のものだったことがわかります。

酒井は今は亡き日本不動産信用銀行、通称日不銀について調べ始めます。

その金は昭和最大の疑獄と言われるクラスター事件に関連しているのではないかと酒井は考えます。

クラスター事件は、アメリカの航空会社クラスター社が航空機を民間航空会社や自衛隊に納入するために会社が日本の関連企業や政治家にお金を渡したのでした。

裏金が渡ったルートとして唯一解明されていないのが筒美ルートと呼ばれるルートです。

金庫の金はそれと関連しているのではと酒井は考え取材しいていきます。

一方松岡は突然人手不足だという政治部に行かされることになります。

政治部は他の部署とは空気が違います。

とりわけ政治部の部長阿久津は記者たちへの要求は厳しく、新人の松岡には冷たいものでした。

そして部長であるにもかかわらず現在も情報が正確で早い記事を書く記者としてもトップ打者だったのです。

独特な空気とルールがある政治部に馴染もうと、松岡は官邸で終日取材を続けます。

官房長官の会見に参加した際、政治部のルールを無視した質問をする松岡。

それがきっかけで松岡は官房長官である阪の懇親会に呼ばれることとなりました。

阿久津から官房長に着くよう指示をされます。

【承】トップリーグ のあらすじ②

昭和の一大疑獄

政治部に入ってすぐに官房長官番になったことで一目置かれ、他者の記者たちから嫉妬もされるようになった松岡。

阪は特に人見知りと言われ、他社の記者たちもなかなかその特別な記者たちだけが呼ばれる裏懇談にも参加するようになります。

松岡は、政治部の取材対象である政治家との距離感や、同じ裏懇談に参加する記者たちとの関係にやや戸惑います。

そしてその中でも阪は特別に松岡に目をかけているようなそぶりです。

阪から一対一でオフレコで話を聞く機会なども増え、松岡は自分の政治部らしからぬ雰囲気がうまく作用したのだと感じます。

松岡は自分の記者人生が充実してきたと感じ始めます。

一方酒井は日不銀の元総務の久保に取材をしたいと申し入れていました。

しかし久保は、西池袋で強盗殺人に巻き込まれ死亡します。

久保と一緒にいた幸田という老人も死んでしまいます。

彼は昭和40年代から平成の間活躍した政治家である森山泰三の秘書を勤めていた男でした。

酒井は二人はクラスター事件に関連していたのではないかと考えます。

二人を殺害した犯人は中国人で金の動きから暴力団に頼まれたことがわかります。

しかし依頼元の暴力団は弱小で、酒井は誰かが一枚噛んでいると考えます。

酒井は財界や暴力団に詳しい相楽に話を聞くことになります。

クラスター事件で明かされていないのは戦前から戦後にかけて暗躍したとも言われる政商筒美が噛んだルートです。

筒美は武闘派の「魂心会」という右翼系政治結社を作った男でした。

久保たちの殺害を命じた暴力団は、その「魂心会」と関係のある組だったのです。

相楽は酒井に消されると忠告します。

酒井が本気だと分かると、相楽は「闇に消えたクラスター事件」という本を渡してきます。

元民政党の事務局員から参議院議員になった野本が書いた本でした。

その本は発禁処分にもなった本でした。

【転】トップリーグ のあらすじ③

例)捨てられない過去

酒井が相楽から渡された本を読み、野本に会いに行きます。

野本も相楽同様、酒井が消されると忠告します。

引く気がない野本の様子を見て相楽は話をはじめます。

当時筒美ルートで流れた裏金は当時の首相で民政党の田巻のもとに流れたと考えられていました。

しかしその鍵を握る筒美は体調不良で証人喚問に姿を表すことなく、そのまま死亡しました。

その全容を仕組んだのが、田巻が辞任したのち総理になった四谷であり、その絵図を描いたのは当時の幹事長中垣内だと言うのです。

四谷と中垣内は弱小派閥、田巻は当時の最大派閥だったこともあり、同じ党内でも浅からぬ因縁があったのです。

中垣内がその裏金を懐におさめ、その金を使い総理にまで上り詰めたと野本は考えていました。

信憑性も当時の事情通として説得力も話に驚く酒井。

本は出版できなかったとしても、他の形で発表することはできなかったのかと聞くと家族の身の危険が及ぶ恐れがあったと言うのです。

酒井が取材を続けていると懇意にしている所轄の刑事から連絡が入ります。

議員秘書が現金で千二百万ほど来るまで持ち運びながらその秘書西牟田のことを調べていくと、彼は政治の世界の汚い仕事を引き受ける係だとわかります。

だとするとその金は裏金でしょう。

酒井は西牟田に揺さぶりをかけます。

西牟田が仕える幹事長は中垣内の派閥でした。

私生活での脅しをかけると西牟田は口を割ります。

魂心会の残党が作った街金から、そういった金を適宜運ぶことに代々の秘書たちの間で申し送りがされているようでした。

他にも議員の金庫番たちにあたり揺さぶっていくと、阪の名前が出てきます。

酒井が阪に会いにいくと松岡がサシで話をしている最中でした。

阪に探りを入れる酒井。

松岡が阪に酒井の探りの真偽を問いますが否定されます。

しかし酒井ほどの記者がなんの根拠もなく会いに来るわけがありません。

酒井は松岡に政治家との付き合い方を忠告します。

【結】トップリーグ のあらすじ④

政治と報道

優秀で育ちも良かった酒井に対して、自分は地方出身の泥臭い人間だと感じていました。

阪もまたそういうタイプで、政治の世界では少ない自分と同じような人間として共感があるのだと思っていました。

松岡は再び酒井から忠告を受けます。

酒井はクラスター事件の全容を報道すれば、内閣は倒れます。

松岡に政治家に入れ込まないように注意しますが、酒井の忠告を受け入れられないのでした。

酒井は阪と裏金の関係を野本に聞きます。

阪が仕えていた森山は清廉な政治家でした。

渡された裏金は受け取りを拒否できず、納得が出来なかったため捨てたのだろうと言います。

酒井の取材は阪の話を聞くだけとなりました。

しかし酒井は通り魔に刺され、一命を取り留めるものの予断を許さない状況となります。

松岡は、酒井と取材を進めていた記者からクラスター事件に関する資料を託されます。

それを読みすすめ、松岡は自分が阪から認められたのではなく、ぶつけた質問から松岡が何か知っているのではないかと懸念して側に呼んだのだと理解しました。

松岡は自社でその記事を発表することを決め、上司の阿久津に相談します。

阪に最後の取材を行うため、話を聞こうとセッティングされた場へ向かいます。

そこには阪、総理大臣の芦原、そして阿久津が待っていました。

芦原番だった阿久津はこれから編集局長になるのです。

芦原番の後継に松岡を指名するという阿久津。

そして、百億を投入する育児支援法案の資料が渡されます。

それは松岡が取材を通じてその法案が必要だと感じていたものです。

松岡がクラスター事件の記事を書けば内閣は野党から責任を追及され、法案どころではなくなります。

芦原内閣も解散することになるでしょう。

圧力ではなく、松岡の好きな方ようにすればいいと彼らは囲んで言うのでした。

トップリーグ を読んだ読書感想

元記者である作者の本領発揮とも言える作品です。

政治家と記者たちの姿、そして二者の距離感はあるかもしれないと思わせます。

松岡と酒井という対照的な二人の記者によって物語が進行していきます。

酒井は松岡の真面目な部分に信頼を起き続け、松岡は酒井の記者として優秀で育ちにも嫉妬してしまいます。

松岡は酒井からネタを託された時に、彼からの信頼に気がつくのでした。

政治に限らず、清廉だけでは難しい世界はたくさんあります。

記者だけでなく世論もわかっているでしょう。

それでもそれを見過ごしていいわけではありません。

とはいえ、そのために必要性の高いと感じる法案を潰してしまうのは、松岡でなくとも悩むでしょう。

記者として何を大事にするのか、それが松岡に問われていました。

阿久津はトップ打者でいることを選んだので迷いがないのでしょう。

一方酒井は、彼なりの正義と方向性があったことゆえに死んでも構わないというスタンスでいられたのでしょう。

ところが松岡は非情にもなりきれず、エゴイスティックにもなれず、かと言って正義だけを追求することもできません。

そのために死ぬことはできないのです。

酒井は松岡が、正義だけを追求できると思っていました。

酒井にはないと彼が感じていたものは、松岡が自分の泥臭さと感じていた正義感でした。

その松岡のありし日の姿があったからこそ酒井は正義を追求してこれたのです。

松岡は酒井からの評価に戸惑ってしまいます。

友情とは言えないけれど、仕事を通じて垣間見た松岡の正義に酒井は信頼を寄せていたのです。

しかし松岡は酒井の見方を受け止めることはできません。

それゆえ、松岡は酒井にも阿久津にもなれません。

真面目さはあるので、阿久津には御せると思われたのです。

だからどちらを選んだのかはっきりさせない結末だったのだと思います。

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