【ネタバレ有り】ジュージュー のあらすじを起承転結でネタバレ解説!
著者:よしもとばなな 2011年7月に文藝春秋から出版
ジュージューの主要登場人物
美津子(みつこ)
ステーキ屋のひとり娘。
ママ
美津子の母親。心臓発作で亡くなる。
パパ
美津子の父親。ステーキ屋のマスター。
進一(しんいち)
美津子の家の養子。シェフとして働く。美津子の昔の恋人。
ジュージュー の簡単なあらすじ
美津子はステーキ屋さんの一人娘。母を心臓発作で亡くし、父と、遠い親戚の進一と一緒にステーキ屋「ジュージュー」を営んでいる。美津子と進一は、家族同然でありながらも昔は恋人同士で、美津子は進一の子どもを流産したことがありました。今はすっかり関係も修復され、進一は結婚して、ほとんど外出できない儚い女性である夕子さんと暮らしています。
ジュージュー の起承転結
【起】ジュージュー のあらすじ①
美津子はステーキ屋さんの一人娘として生まれ、父と一緒にステーキ屋「ジュージュー」を営んでいます。
お店の名前は、心臓発作で亡くなった母が好きだったマンガ「地獄のサラミちゃん」の主人公、サラミちゃんがバイトしていたステーキ屋さんからとりました。
美津子の母はとても陽気で、きれい好きで、まとめることが好きでした。
亡くなる時も、「もっと働きたかったけれど店で倒れられてよかった」という言葉を遺して、しっかり人生をまとめてから亡くなりました。
しばらくは世界がグレーに見えていた美津子でしたが、少しずつ色を感じられるようになりました。
それには、遠い親戚であり、現在は店を手伝ってくれて入り進一の存在も関係しています。
進一と美津子は、昔付き合っており、美津子は進一の子どもを流産したことがあります。
それをきっかけに二人は別れ、進一ははなれの小屋で暮らしながら自分の人生をつくっていきました。
そして、結婚をし、少しずつ美津子との関係を修復しながら、ついにはお店で働くようになりました。
美津子はそのことに安心し、嬉しく思っています。
【承】ジュージュー のあらすじ②
ある日、美津子は進一の奥さんである夕子さんを訪ねました。
夕子さんは昔の病気の影響で歩くのが大変で、また、儚く美しすぎるために進一があまり外に出したがらないのです。
夕子さんは美津子に、「これから恋をしそうな人のにおいがする」と言います。
ふたりは少し会話をし、美津子は店に出ました。
いつも通り接客していると、見慣れない男の人に気付きました。
すると、その人はおいおい泣き出したのです。
話を聞くと、近所で本屋を営んでいた宮坂さん夫妻の息子さんで、お母さんが亡くなったとのことでした。
泣いている彼に美津子がティッシュを差し出した時の「花束かと思った」という言葉に心をつかまれ、美津子は恋に落ちました。
美津子が大好きな人のひとりである さんから聞くところによると、宮坂さんは昔結婚して長野に住んでいたが、あまりにも本が好きでずっと本を読んでいるため、奥さんに浮気をされて離婚をすることになり、こっちに戻ってきたとのことでした。
美津子は、宮坂さんが現在独身だという事実に嬉しくなります。
【転】ジュージュー のあらすじ③
美津子は宮坂さんのお店にお供えの花を持って行き、そこから少しずつ交流が始まりました。
1日10分会って話す、その時間が美津子にとってはとても大事でかけがえのないものでした。
そんな日々にも慣れてきたある日、夕子さんから「一緒に病院に行って欲しい」とお願いされます。
妊娠しないと思っていた矢先、検査薬で調べたところ、間違いないとのことでした。
夕子は自分が昔進一の子どもを堕した産婦人科へ、夕子と向かいます。
様々な思い出が蘇って複雑な気持ちでしたが、夕子さんの妊娠の知らせには素直に喜ぶことができました。
ある日、美津子は宮坂さんと一緒に国立大学を散歩していました。
「一緒に大学に通えたらよかった」と口を開いた美津子は、自分が大学に行かなかった理由、進一に大学に行って欲しかったという気持ち、また、どうして自分が今こういう状況なのか、心を開いて話し始めます。
そして、ふとつまずいてしまった時、宮坂さんは一緒にイチョウの葉っぱだらけの地面にふわっと倒れ込みました。
そして二人はそこで初めてキスをします。
「時間をかけて」美津子は言います。
進一とはできなかった、ゆっくりとした関係の築き方が、宮坂さんとはできるような気がしました。
【結】ジュージュー のあらすじ④
宮坂さんが家族と行こうと予約をしたけど行けなくなった軽井沢に、美津子とパパ、進一と夕子さんの4人で行きました。
ママが行きたかった軽井沢にみんなで来て、ママが行きたかったむささびツアーにみんなで参加をしました。
むささびは巣穴でしっかりくっついて、くうくう寝ていました。
みんなでむささびを眺めているその場には、ママがいないのに、パパはママがいる時のように落ち着いていました。
美津子が失った家族、進一が失った家族、様々な家族に想いを馳せながら、これから進一と夕子さんは家族をつくっていくのだと思うと、なんだか不思議な気持ちでした。
美津子が夕子さんと温泉に入ると、夕子さんの背中には大きな真っ直ぐの傷がありました。
美津子は深くは聞けませんでしたが、どうやら夕子さんも、家族を失った経験があるようでした。
それぞれが、それぞれの傷を抱えて生きているのです。
夕子さんが寝てしまった後、美津子は進一と話しました。
夕子さんは人間味がないように見えるけど実は人間くさいこと、そんな夕子さんとその子どもを守りたいことを、進一は語っていました。
きれいに晴れた翌朝、パパは明らかに元気になっていました。
そして、4人は予約していた宿をキャンセルして、ハンバーグステーキのお店に行くことを決めます。
その時のパパは、とても晴れやかな顔をしていました。
ジュージュー を読んだ読書感想
「家族」の形はそれぞれ違って当然で、しかし、私たちはどこかですりこまれた「理想の家族像」を追い求めて、それと自分の家族を比べては、絶望したり、優越感に浸ったりしています。
この物語に出てくる家族は決してそんなことはせず、自分が大事に思うことをしっかりと大切にして、悲しみや、嬉しさ、いやな気持ち、様々なものとその度に向き合いながら、丁寧に暮らしています。
その姿からは、芯のある強さを感じ、なんだか嬉しくなります。
いつか自分が家族をつくるとき、こんな風に、誰かを全力で愛し、かわいがり、大切にできたらいいなと思いました。
そして、一緒においしいハンバーグを食べに行きたいです。
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