「櫻子さんの足下には死体が埋まっている 13 わたしのおうちはどこですか」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|太田紫織

「櫻子さんの足下には死体が埋まっている 13 わたしのおうちはどこですか」

著者:太田紫織 2017年10月にKADOKAWAから出版

櫻子さんの足下には死体が埋まっている 13 わたしのおうちはどこですかの主要登場人物

九条櫻子(くじょうさくらこ)
ヒロイン。人の骨の歴史を独自に研究する。目上・社会的地位のある人にも敬語を使わない。

館脇正太郎(たてわきしょうたろう)
櫻子と行動をともにする高校生。法医学の道に進みたい。

鴻上百合子(こうかみゆりこ)
正太郎のクラスメート。家族の介護のために遠出ができない。

富永柚胡香(とみながゆうか)
「いいちゃん」の愛称でかわいがられる。幼いが大人の顔色には敏感。

富永颯太(とみながそうた)
柚胡香の養父。父親役が板についていない。

櫻子さんの足下には死体が埋まっている 13 わたしのおうちはどこですか の簡単なあらすじ

行方不明になった富永柚胡香を探して、九条櫻子と館脇正太郎は旭川空港からほど近い丘陵地帯までやって来ます。

待ち構えていたのは柚胡香の父親と不倫関係にあった香奈恵、そして正太郎のクラスメートの鴻上百合子です。

百合子のひと芝居によって香奈恵は逮捕されて柚胡香は無事に保護、背後で糸を引いていた花房の存在についても明らかになるのでした。

櫻子さんの足下には死体が埋まっている 13 わたしのおうちはどこですか の起承転結

【起】櫻子さんの足下には死体が埋まっている 13 わたしのおうちはどこですか のあらすじ①

誕生の朝に消えた幼子

長年にわたって不妊治療を受けていた富永夫妻に養子として引き取られたのは、生後まもなく母親を亡くした柚胡香です。

4~5歳になる頃には自分の立場を理解し始めてきた柚胡香、そんな彼女のバースデーを祝うために九条櫻子と館脇正太郎も招かれました。

当日の朝になって柚胡香は姿を消してしまい、ポストに紛れ込んでいたのはカラスアゲハのようなきれいな羽。

どこか落ち着かない様子の父・颯太、不審に思った櫻子に問い詰められるとすぐに白状します。

どうしても赤ちゃんを授かりたかった妻とは対照的に自然の成り行きに任せたかったこと、そんな時に勤務先の女性と一夜限りの過ちを犯してしまったこと。

札幌の本店から旭川支店に出張にきていた香奈恵とは、別れ話がもつれた揚げ句に現在では連絡が取れません。

近くの神楽岡公園で柚胡香を自動車に連れ込むところを配送センターのドライバーに目撃されていますが、車内にはもうひとり10代の後半かと思われる女の子が乗っていたそうです。

【承】櫻子さんの足下には死体が埋まっている 13 わたしのおうちはどこですか のあらすじ②

小さな白い輝きが道しるべに

「10代の女子」というドライバーの目撃証言に、正太郎の胸のうちには得たいの知れない不安がふくらんできました。

同じクラスの鴻上百合子とは卒業後の進路についても語り合う仲でしたが、高齢の祖父の身の回りをしているために旭川大学の福祉学部とのこと。

志望正太郎が地元を飛び出して医学部を目指すと宣言した際には、寂しそうにしていたことをよく覚えています。

悪い予感は当たるもので百合子の母親からスマートフォンにメッセージが、昨日の夜から帰っていないそうです。

ここ1カ月ほど祖父を特養老人ホームに入れるか入れないかで家の中が険悪だった鴻上家、のんきに網走まで旅行に行っていた館脇家(前巻「ジュリエットの告白」参照)。

罪悪感を抱えたまま捜索を続けていた正太郎は、櫻子の運転するルノーカングーで旭川市西神楽へ。

道中の木の上には白いこんぺいとうの形をしたガラス細工がチェーンで引っ掛けてあり、先日の網走旅行のお土産として百合子に手渡したものです。

【転】櫻子さんの足下には死体が埋まっている 13 わたしのおうちはどこですか のあらすじ③

危険なプチ家出の終わり

パッチワークのようにカラフルになった畑と、アップダウンが激しい道路を抜けた先には一軒の廃屋が。

柚胡香を人質にとって現れた香奈恵の目的は富永家の「母」の座を奪うこと、百合子の目的は世界で一番大嫌いな正太郎から櫻子を奪うこと。

自分がここまで乗ってきた車両が緊急手配されていると告げられた香奈恵は、櫻子のカングーで逃走しました。

百合子はひそかに自分のスマホを車内に忍ばせていたために、まもなく香奈恵は未成年略取・誘拐の罪で身柄を拘束されます。

すべては柚胡香を無傷で颯太の元に返すため、精神的に不安定な香奈恵を警察に引き渡すための百合子の作戦です。

誕生パーティーは予定通りに開催されて、柚胡香は大好物のザンギをほほ張りながら大喜び。

常日頃から知らない人にはついて行かないようにしていた柚胡香が香奈恵の車に乗ったのは、百合子が迷子になっていると勘違いしてしまったからだそうです。

「おうちに連れていってあげて」の言葉をきいて、百合子も帰宅を決心します。

【結】櫻子さんの足下には死体が埋まっている 13 わたしのおうちはどこですか のあらすじ④

それぞれのおうちに帰ろう

祖父が要介護認定になっていたことを知らされていなかった百合子、娘の将来の可能性を閉ざしたくなかったという母。

今後はデイサービスなどを利用して、少しずつ負担を減らしていくことで母娘は和解しました。

運悪く誘拐事件に遭遇しながらも、さまざまな機転を利かせて幼女を救ったお手柄女子高生Kさん。

香奈恵のほうは支離滅裂な供述をしているために札幌の実家で療養することになり、実刑判決は見送られることになるでしょう。

表向きには事件は解決しましたが、祖父の一件で悩んでいた時に百合子の相談にのってくれた人物については判明していません。

フリーメールでやり取りをするところ、チョウチョの羽を送り付けてくるところ。

櫻子とも因縁のある花房の手口と一致しますが、これまでのところ確証は得られていません。

正太郎としてはいずれは訪れる花房との決戦に百合子が巻き込まれないこと、あの時言われた「世界一大嫌い」が敵を欺くためのうそであることを祈るのでした。

櫻子さんの足下には死体が埋まっている 13 わたしのおうちはどこですか を読んだ読書感想

人懐っこく無邪気な笑顔で走りまわってご近所から愛される、「いいちゃん」こと富永柚胡香。

そんな彼女もさりげなく空気を読んだり義理の両親に気をつかうところは、いかにも今どきの子ですね。

血のつながりのない颯太と本当の親子になるまでを温かく描くのかと思いきや、急転直下の展開には息をのみました。

事件解決にひと役買うことになるのが正太郎と友だち以上恋人未満な鴻上百合子、彼女もまた家では「聞き分けのいい子」を演じていたのが何とも皮肉です。

ヤングケアラーなどタイムリーな話題も取り上げつつ、さらなる波乱も感じさせる幕切れでした。

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