【ネタバレ有り】死神の精度 のあらすじを起承転結でネタバレ解説!
著者:伊坂幸太郎 2008年2月に文春文庫から出版
死神の精度の主要登場人物
千葉(ちば)
本作主人公の死神。調査部の一員として人間の世界に派遣され、8日かけて調査対象の人間の可・不可を判定する。可と判定された人間は寿命で死に、不可と判定された人間は事故などで亡くなる。素手で人に触れると気絶させてしまうため、いつも手袋をしている。音楽が大好き。
藤木一恵(ふじきかずえ)
調査対象の人間。大手電気メーカーの電話クレーム受付担当。
クレーマー
一恵の電機メーカーに電話をかけてくるクレーマー。何度も電話を掛け、クレームをつけるだけでなく、一恵に直接会おうとする。
死神の精度 の簡単なあらすじ
千葉は音楽が好きな死神です。8日間かけて調査対象の人間を観察し、可・不可の判定を下します。可と判断された人間は寿命まで生きることができ、不可と判定された場合は事故などで命を落とします。千葉が様々な人間に出会い調査を進めていきます。クールでありながら天然で少しずれている千葉が出会う調査対象の人生を巡る物語です。
死神の精度 の起承転結
【起】死神の精度 のあらすじ①
千葉が仕事するときはいつも雨が降っています。
千葉が今回の仕事の調査対象に初めて出会ったのも雨の降る夕方でした。
千葉の今回の仕事の調査対象の名前は藤木一恵、22歳。
駅から100メートルほど離れた地上20階建てのビルを持つ、大手電気メーカーの電話クレームの受付を担当として働いています。
千葉は一恵が仕事を終わらせて会社から出てくるのを待ち構えています。
しばらくして出てきた一恵は、真っ黒い髪を後ろでひとつに結んでいてどこか冴えない印象で年齢よりも老けて見え、疲労感を漂わせていました。
千葉は、一恵の会社帰りに地下鉄の入口で接触するよう指示を受けており、今回の仕事をさっさと終わらせたいものだと思いながら、一恵に声を掛けるために後をつけます。
【承】死神の精度 のあらすじ②
地下鉄の入口で千葉に声を掛けられた一恵は、千葉のことを不振に思い騙されていると感じます。
千葉は和恵と接触して調査を必要としているため、一恵のスーツを汚してしまったお詫びにと、一恵をロシア料理店へと誘います。
2人はお酒を酌み交わしながら一恵の仕事について話します。
苦情処理の担当部署に所属している一恵は、クレーマーに脅されたり嫌味を言われたりして気持ちが沈むことを打ち明けます。
特に最近では自分を指名して電話に出させるクレーマーがいて、毎日が辛くて死にたいくらいだと話します。
仕事以外にも人生に楽しみがないから明日にでも死んでしまいたいという一恵の話を聞いて、千葉はこの調査対象は「可」、つまり調査後の8日目に死亡するという判断にしようと考えます。
【転】死神の精度 のあらすじ③
千葉が藤木一恵に会ったのは食事をした2日後の夜で、この日もやはり雨が降っていました。
千葉は一恵と接触するため、前回と同様一恵の会社の前で待ち伏せをします。
出てきた一恵はどこか急いでいる様子で、千葉が理由を尋ねると、一恵を指名して電話対応をさせるクレーマーから会いたいと言われ、待ち伏せされているかもしれないから不安だと答えます。
タクシーで移動して詳しい話を聞くと、そのクレーマーは壊れたテレビがなぜ壊れたのか詳しい説明をしろと迫ったり、ラジカセが壊れて曲が聴けないから歌ってみろと言われたり、奇妙な注文をつけてくると言います。
千葉は、変なクレーマーもいるものだと思いましたが、死にたいと繰り返す一恵を見て、調査結果はやはり「可」にしようと思います
【結】死神の精度 のあらすじ④
その4日後に一恵に会ったとき、一恵はそのクレーマーに付きまとわれカラオケに連れ込まれそうになっているところでした。
クレーマーは中肉中背の40代の黒ずくめの服装で、堅気の商売をしているようには見えませんでした。
一恵を助けた千葉ですが、クレーマーに見覚えがありクレーマーの後をつけます。
千葉は立ち読みをした音楽雑誌で「天才プロデューサー」として写真が載っていたからでした。
クレーマーの電話を立ち聞きすると、電話対応をした一恵の声に才能を見出し、電話で歌ってもらおうとしたがうまくいかなかったため、カラオケに連れて行こうと思ったがそれもうまくいかなかったと話していました。
天才プロデューサーは一恵が歌手になれば成功すること間違いないと考え、なんとかスカウトしようとしていたのです。
この事実を知った千葉は、一恵の調査報告を可とするか見送りとするか迷った末、「見送り」と決定したのでした。
死神の精度 を読んだ読書感想
伊坂幸太郎は長編のミステリーが有名であるが、本作のような短編も楽しく読むことができました。
伊坂幸太郎が書く死神「千葉」はクールな性格で、どこか普通の人間になじまないところがあります。
人間の死を判定する非情な存在でありながらも、音楽が好きだったり、雨男だったりと、どこか人間らしい一面も垣間見られます。
そういうところが千葉というキャラクターの魅力ではないかと考えます。
この本の中であった、「人間というのは、まぶしいときと笑うときに似た表情になるんだな」という千葉の言葉は、とても人間味があり、印象深い言葉でした。
そしてこのようなフレーズを作り出す伊坂幸太郎は、ストーリーの構成も含め、素晴らしい人だと思います。
伊坂幸太郎の作品は、登場するキャラクターが個性的で、他の作品もいつも楽しく読ませてもらっています。
本作も続編があるそうなので、読んでみたいと思います。
コメント
すごくわかりやすかったです!
でも、誤字がところどころあり、もったいないと思います