【ネタバレ有り】さよならドビュッシー のあらすじを起承転結でネタバレ解説!
著者:中山七里 2011年1月に宝島社から出版
さよならドビュッシーの主要登場人物
香月遥(こうづきはるか)
ピアニストを目指す高校生。
片桐ルシア(かたぎりるしあ)
遥の従姉。災害で両親を亡くし遥の家に住んでいる。
岬洋介(みさきようすけ)
国内のコンクールを総なめにしている期待の新鋭ピアニスト。鬼塚の弟弟子。
鬼塚先生(おにづかせんせい)
遥とルシアのピアノ講師。
香月玄太郎(こうづきげんたろう)
資産家で遥とルシアの祖父。脳梗塞で下半身不随になり車いすの生活に。
香月徹也(こうづきてつや)
遥の父。香月家、長男。
香月悦子(こうづきえつこ)
遥の母。
綴喜みち子(つづきみちこ)
玄太郎のヘルパー。
香月研三(こうづきけんぞう)
遥とルシアの叔父。香月家、次男。
片桐玲子(かたぎりれいこ)
ルシアの母。香月家、長女。災害で亡くなる。
さよならドビュッシー の簡単なあらすじ
ピアニストを目指し、有名音楽学校に入学予定の主人公の香月遥は、災害で両親を亡くした従姉のルシアと祖父である玄太郎と共に、両親の留守中に火事に巻き込まれてしまう。その火事によりルシアと玄太郎は亡くなってしまったが、遥は重症の火傷を負ってしまう。命が助かった遥ですが不吉な事が起こり始めます。
さよならドビュッシー の起承転結
【起】さよならドビュッシー のあらすじ①
ピアニストを目指しルシアと共にピアノ講師である鬼塚先生のレッスンを受ける遥。
そこに、二十代前半程のすらりとした痩身のイケメンの訪問に鬼塚先生から自分の弟弟子だと岬洋介を紹介されます。
どこかで見た事があると考える遥ですが、ピアノ雑誌で何度か見かけた事のある期待の新鋭ピアニストであることに驚きます。
岬は音楽大学の講師をしていると言います。
レッスンを終えた遥とルシアは、一緒に暮らす自宅へと帰るのでした。
祖父の玄太郎が家主を務めるマンションに岬が住む為に、玄太郎に会いに来た事があると言います。
ある日、両親が母方の祖母の一周忌の為、泊りがけで外出することから、遥、玄太郎、ルシアは三人で留守番する事に。
その晩、玄太郎は趣味のプラモデルの作業をすると工房へ、遥とルシアはそれぞれの部屋に戻り眠ります。
深夜に火災が発生し火事で玄太郎とルシアは亡くなってしまいますが、遥は重症の火傷を負うものの助かりました。
【承】さよならドビュッシー のあらすじ②
遥は病院のベッドで意識を取り戻したものの目を開けることも、体を動かすことも、声を出すことも出来ない状態でした。
どうやら、火事から助け出され全身が酷い火傷を負った為に、顔や体のほとんどの皮膚を移植したと知ります。
顔の包帯を取ってもらい目を開けようとしても思うように動きません。
なんとか目を開け最初に映ったのは香月家全員とみち子さんでした。
数日後、リハビリが始まったが歩行訓練はとても辛いものでした。
最初は歩行器を使っていましたが、慣れてくると松葉杖に変わりました。
退院の日を迎え、自宅に帰ると、今まで祖父の介護をしていたみち子さんが、これからは遥の介助の為、契約を更新したと言います。
更に、顧問弁護士の加納先生から玄太郎の総資産が十二億で、その二分の一を遥が、残り二分の一を息子二人で等分相続と遺言を伝えられます。
【転】さよならドビュッシー のあらすじ③
以前のようにピアノを弾くことが出来ず、ピアニストを諦めかける遥でしたが、再び岬洋介に出会い指導してもらう事になります。
そんな矢先、階段の滑り止めが剥がされていたり、松葉杖の留め具が壊されていたりと不吉な事が起こり出します。
ある日、チャイムがなりインターホンの受話器を上げると警察の人が母が神社の石段から転落し、病院に搬送されたが亡くなったと聞かされます。
父と叔父と病院で合流し警察から事情を聞かれ最近の不吉な出来事を話した遥ですが、父に「なぜ、家族に相談しなかったのか?」と問われますが、そこで研三が「しなかったのではなく、出来なかった」と内部の犯行の可能性があり家族が怖かったのだろうと言われます。
遥が道を歩いていると、誰かに背中を押され車に引かれそうになりますが、間一髪のところで岬に助けられます。
不吉な事が続き不安な遥に「コンクールが終わったら、僕の知っていることを説明しよう」と岬に言われた遥はコンクールに向けてレッスンに励みます。
【結】さよならドビュッシー のあらすじ④
コンクールを終えた遥に、岬は自分が見抜いた事件の真相を話し始めます。
遥は、火事で亡くなったルシアでした。
火事の起きた日、遥とルシアはパジャマを交換して眠りにつきました。
火事で全身に火傷を負いパジャマから遥だと判断されたルシアは、自分のことを遥だと思い助かったっことを喜んでいる遥の両親に本当のことを言えなかったのです。
最初の火事は不慮の事故でした。
ですが、不吉なことの数々は遥の正体を知ったみち子が、遺産目当てにルシアが火事を起こし二人を殺害したと勘違いし、遥に成りすましたと考えたルシアを狙っての犯行でした。
母も、遥の正体がルシアであると気づき取り乱し襲い掛かろうとされた際にルシアが抵抗しバランスを崩し石段から落ちてしまったからでした。
真相を話す岬は、最初から遥がルシアだと気づいていました。
真相を話し終えると会場から「優勝は、香月遥」と名を告げる声が聞こえるのでした。
さよならドビュッシー を読んだ読書感想
「このミステリーがすごい」大賞受賞した中山七里さんの作品で、私が中山七里さんを知った作品でした。
読みやすい文章と先の気になる展開で物語に引き込まれました。
探偵役である岬洋介の父は検事で他の中山七里作品に登場していたりと、作品間のリンクも魅力のひとつです。
この作品は岬洋介シリーズと言われ、「さよならドビュッシー」「おやすみラフマニノフ」「いつまでもショパン」「どこかでベートーヴェン」と出版されており、順番に読んでもらったほうがより楽しめると思います。
また、「さよならドビュッシー」のスピンオフで「さよならドビュッシー前奏曲(プレリュード)」は香月玄太郎が主役で5つの難事件に挑む、気軽に読める短編でこちらも面白いです。
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