ネバーソープランド(小林エリカ)の1分でわかるあらすじ&結末までのネタバレと感想

ネバーソープランド

【ネタバレ有り】ネバーソープランド のあらすじを起承転結でネタバレ解説!

著者:小林エリカ 2001年3月に河出書房新社から出版

ネバーソープランドの主要登場人物

ウエンディー(うえんでぃー)
主人公。幼馴染みのピイタアと一緒に50年来暮らしている。

ピイタア(ぴいたあ)
ウエンディーのパートナー。若干認知症気味。

ネバーソープランド の簡単なあらすじ

幼い頃からネバーランドに憧れていたウエンディーとピイタアは、現実の汚れた世界でふたりだけで生きることを決意します。時が流れていくにつれて昔のことを忘れていくピイタアを、ウエンデーはただひたすらに支え続けるのでした。

ネバーソープランド の起承転結

【起】ネバーソープランド のあらすじ①

ネバーランドからは程遠い

ウエンディーとピイタアは世界的なあのファンタジードラマがきっかけになり、幼い頃からの仲良しです。

成人後にふたりは恋人同士でもなく夫婦でもない、奇妙な共同生活を送ることになりました。

窓からの景色は無数の電線が絡み合っていて、電車が通過する際の振動や真向かいのアパートからの騒音が絶えません。

周辺には野菜や果物を販売するテントや屋台が立ち並んでいて、中央に設置された巨大なモニター画面からはテレビのバラエティー番組は放映されています。

ピイタアと知り合ってから間もなく50年にもなりますが、ウエンディーは未だに大人になることを受け入れられません。

何時まで子供のままで彼と過ごすことだけが、今の彼女の願いでした。

【承】ネバーソープランド のあらすじ②

ウエンディーの家族

ウエンディーは両親と兄の、ごく普通の4人家族の家庭で生まれ育ちました。

思春期を迎えた兄に彼女が出来た途端に、妹として生理的な嫌悪感を抱いてしまいます。

遂には結婚相手が決まって自宅に連れてくることになり、両親共々紹介されました。

兄は大人の世界へと旅立っていきましたが、ウエンディーは相変わらず子供のままです。

成人した男女がひとつ屋根の下で暮らしながらも、肉体的な接触もなく婚姻関係を結ぶこともありません。

純潔を保ったままピイタアとネバーランドへ行くことを望んでいましたが、彼の物忘れは激しくなっていく一方です。

そんなある日のこと向かいのアパートで発生したセンセーショナルな出来事によって、俄かに町が騒がしくなっていきます。

【転】ネバーソープランド のあらすじ③

ざわめき出した町

アパートには風変わりな夫婦が住んでいましたが、昼夜を問わずに罵り合う奇声が鳴り響いていました。

日常的に受けていた暴力に耐えきれずに、遂には妻が夫の睾丸を噛み千切る事態へと発展します。

街中のテレビモニターから映し出されているのは、今日のニュースという文字と腫れ上がった妻の顔写真です。自宅マンションを出て近所のスーパーマーケットに買い物に向かう途中で、ウエンディーはマスコミ関係者らしき人物に捕まります。

近所住民としてコメントを求められますが、足早にその場を離れて答えることはありません。

「ねえ、おばあさん」などと気安く呼び掛けるリポーターに不快感を露にしつつも、自分自身の老いを痛感してしまうのでした。

【結】ネバーソープランド のあらすじ④

最後のファンタジー

言葉が簡単に出てこなくなったのが、ピイタアの認知症の兆候でした。1日に服用する薬の量も増えていき、部屋の中での奇妙な振る舞いが目立ち始めます。

子供に近づくことによって、初めて本当の「ピイタア」に成れるというのが彼の言い分です。自分の身の回りの世話を出来なくなってしまったピイタアを、ウエンディーは献身的に介護します。

遂には1日の大半を部屋の中の赤いソファーで寝て過ごすようになり、ウエンディーは世界でたった1人の話し相手を失ってしまいました。

大きく開け放たれた窓の側で、ふたりは初めてのキスを交わします。

今なら空を飛んでネバーランドへ行けると確信したウエンディーは、ピイタアの体に静かに抱きつくのでした。

ネバーソープランド を読んだ読書感想

ストーリーの舞台に設定されているのは電線が絡み合いアパートが建ち並んでいる住宅街になり、およそ夢の国「ネバーランド」には似つかわしくありません。

近隣には新しく医療廃棄物処理場まで建設されていて、今の世相が反映されていて面白かったです。

「彼ひとり、私を置いて、ネバーランドに片足踏み入れている。」というセリフが印象的でした。

1日の大半を家の中で赤いソファーの上で寝転んで過ごすようになったピイタアを見つめていた、ウエンデーの胸の奥底に涌いてくる言葉です。

たったひとりの話し相手を失ったウエンデーの、深い孤独感には胸が傷みます。

その一方では愛する人と一緒に年齢を重ねていく、細やかな喜びも伝わってくる場面でした。

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