「櫻子さんの足下には死体が埋まっている 4 蝶は十一月に消えた」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|太田紫織

櫻子さんの足下には死体が埋まっている 蝶は十一月に消えた (角川コミックス・エース)

著者:太田紫織 2014年2月に角川文庫から出版

櫻子さんの足下には死体が埋まっている 4 蝶は十一月に消えたの主要登場人物

九条櫻子(くじょうさくらこ)
ヒロイン。標本を売って生計を立てる。高校生の館脇正太郎と行動していると死体に出くわす。

磯崎齋(いそざきいつき)
正太郎の担任。「花王子」の異名を持つほど植物に詳しい。

圓一重(まどかひとえ)
磯崎の元教え子。大学生だが近頃ではアルバイトに夢中。

西沢二葉(にしざわふたば)
一重の親友。高校2年生の秋に消息を絶つ。

津々見三奈美(つつみみなみ)
一重の小学校からの幼なじみ。二葉と合わせて「三姉妹」と呼ばれていた。

櫻子さんの足下には死体が埋まっている 4 蝶は十一月に消えた の簡単なあらすじ

高校教師の磯崎齋は生徒の館脇正太郎と標本士・九条櫻子と協力して、以前に受け持っていた3人の少女たちの行方を追います。

二葉は白骨となって発見、一重は自殺ほう助と遺体遺棄で警察に出頭。

無事に保護された三奈美の証言から背後で糸を引いていた、花房という画家の存在が明らかになるのでした。

櫻子さんの足下には死体が埋まっている 4 蝶は十一月に消えた の起承転結

【起】櫻子さんの足下には死体が埋まっている 4 蝶は十一月に消えた のあらすじ①

バラバラに飛び立つ三姉妹

11月も半分以上がすぎたある土曜日、館脇正太郎は九条櫻子と一緒に旭山動物園の東にある米飯地区へフィールドワークに行きました。

動物の死骸を採集する櫻子に付き合わされるのはいつものことですが、今回は担任の先生・磯崎齋もついてきます。

磯崎の目的はこの季節にしか咲かない、エゾリンドウという紫と赤のコントラストが美しい花を見ることです。

当日、3人は死体に吸い寄せられるというカラスアゲハ蝶、別名「地獄蝶」を目撃しました。

不吉な予感とともに磯崎の携帯電話が鳴り、かけてきたのはかつての教え子・圓一重の母親です。

圓一重、西沢二葉、津々見三奈美はそれぞれの名前に数字が入るせいか「三姉妹」と呼ばれるほど仲良くしていました。

2年前の秋に突如として二葉が行方不明になってからは、一重と三奈美も自然と距離を置いたままで卒業してその後の交流もありません。

いったんは磯崎のマンションに寄って着替えてから、詳しい話を聞くために一重の母に会いに行きます。

【承】櫻子さんの足下には死体が埋まっている 4 蝶は十一月に消えた のあらすじ②

変わり果てた姉妹たち

一重は夏季休暇が終わった後からずっと大学に出ていないようで、絵のモデルのアルバイトに夢中になっていたようです。

母親に断って一重の部屋を調べさせてもらうと、冬用のトレンチコートとモバイルタイプの充電式大容量バッテリーが失くなっていました。

厚手のコートが必要で携帯電話の充電が不可能な場所にいることを推理した櫻子は、夏のあいだに恋人を一重から奪われたという津々見三奈美に会いに行きます。

三奈美は異性関係が派手な母親と、粗暴な義理の父親を嫌ってほとんど家に帰っていません。

部屋の中から見部屋の中から見つかったのはクロヒカゲチョウ、学名「死者の川を渡る女神」を描いた西洋画です。

三奈美はネットカフェや24時間営業のファミレスで寝泊まりしているようで、荒んだ生活に磯崎はショックを受けてしまいました。

先ほど磯崎の自宅を訪れた時に、たくさんの花が飾られていたことを櫻子さんは見逃しません。

生徒を救えなかった喪失感を埋めるためには、花を集めるしかないのでしょう。

【転】櫻子さんの足下には死体が埋まっている 4 蝶は十一月に消えた のあらすじ③

掘り出された骨と過去

櫻子は疲れ果てた様子の三奈美を自宅に招いて、ばあやの梅の手料理をごちそうしました。

温かい寝室と朝食に心を開いた三奈美は、旭丘の廃屋に住んで絵を描いている花房について打ち明けます。

体毛がないために普段から被っているウィッグ、すべてを話さなくても相手の秘密を見抜く洞察力、蝶のいる季節にだけ旭川に来て秋になると去っていく夏の人。

旭丘の外れは電波が届きにくく気温も低いために、一重が向かった場所の条件にもピッタリです。

櫻子は嗅覚が鋭く死体を見つけるのが得意な飼い犬のヘクターを連れて、林の中を歩き回りました。

ヘクターが掘り出したのは2年前に失踪した西沢二葉の遺骨で、一重は小屋の中で睡眠導入剤を飲んだ状態で発見され命に別条はありません。

二葉の甲状軟骨と舌骨が折れていることから、櫻子は一重が二葉の首を絞めたことを突き止めます。

両親の離婚と進路のことで思い悩んでいた二葉が、自分の首を絞めてもらうように強引に一重に迫ったのが真相でした。

【結】櫻子さんの足下には死体が埋まっている 4 蝶は十一月に消えた のあらすじ④

秋に消えた夏の人

一重は今でもなぜ自分が言われるままに、親友の首に手をかけることができたのか分かりません。

三奈美の話では花房は甘い言葉で耳の中に毒を注ぎ込むように、他人を意のままに操ることができるそうです。

磯崎は一重と三奈美を連れて警察へと向かいますが、現在の教え子である正太郎を巻き込むつもりはありません。

正太郎とその場に残って二葉の頭蓋骨を調べていた櫻子は、鼻と目の周囲にあるはずの蝶のような形をした骨がないことに気がつきます。

櫻子が思い出したのは、死体専門の法医学者である叔父から聞いたある事件のことです。

以前にも身元が不明の遺体から蝶形骨ばかりが持ち去られていましたが、警察は犯人を特定できていません。

花房がすべての黒幕なのかという正太郎の問いかけにも答えず、櫻子は見えない何かを探すように遠い空をにらんでいます。

ふたりの目の前を黒くて大きな蝶、地方によっては極楽蝶とも呼ばれているミヤマカラスアゲハが飛んでいくのでした。

櫻子さんの足下には死体が埋まっている 4 蝶は十一月に消えた を読んだ読書感想

前巻「雨と九月の君の嘘」ではちょっぴり頼りなかった正太郎の担任・磯崎齋が、本作では予想外の活躍を見せていました。

月下美人の写真を撮影するために仮病を使って学校を休んでしまったエピソードや、「生徒よりも花の方が大好きな先生」などと皮肉を言われている様子が笑いを誘います。

そこまで磯崎が花にこだわる理由を、櫻子さんがあっさりと暴いてしまうシーンが切ないです。

全編を通して美しくもミステリアスで、多種多様な蝶がモチーフになっていました。

事件の背後に見え隠れしている花房は、櫻子さんや正太郎にとって最大の宿敵となるでしょう。

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