「言の葉の庭」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|新海誠

小説 言の葉の庭

著者:新海誠 2014年4月にKADOKAWAから出版

言の葉の庭の主要登場人物

秋月孝雄
本作の主人公。靴職人を目指している高校生。

雪野由香里
本作のもう1人の主人公。雨の日の公園で孝雄と出会う。

伊藤宗一郎
孝雄が通う高校の体育教師。由香里と過去に交際していた。

言の葉の庭 の簡単なあらすじ

両親が離婚し、アルバイトをしながら靴職人を目指している高校生の秋月孝雄。

雨の日に、高校をサボろうと立ち寄った国定公園で、ベンチに腰を下ろして缶ビールを飲んでいる素性不明の女性・雪野由香里と出会います。

お互いに名前も知らないながらも、居心地の良さを感じて交流を重ねていくのでした。

言の葉の庭 の起承転結

【起】言の葉の庭 のあらすじ①

ささやかな出会い

靴職人になる夢を密かに抱いている高校生の秋月孝雄は、何度か通っている国定公園で雨の日に午前中だけ学校をサボっていました。

そんなある日、いつものように学校をサボろうと国定公園に立ち寄ると、ベンチに1人のスーツを着た素性不明の女性・雪野由香里が缶ビールを飲みながら座っているのを見掛けます。

不思議に思いつつも、女性とほとんど会話をすることなく、作りたい靴のスケッチをノートに淡々と描き続けていた孝雄。

すると、孝雄はどこかで由香里に会ったことがあるのではないかと思い、由香里に自分と会ったことがあるかを質問します。

由香里は会ったことがないと1度は答えたものの、何かを思い出したように会ったことがあるかもしれないと答え直します。

さらに、孝雄は由香里から聞いたことがない和歌を教えられます。

孝雄が呆然としている間に、由香里は傘をさして国定公園からそっと立ち去り、孝雄は女性のことを何も分からないまま興味を持っていくのでした。

【承】言の葉の庭 のあらすじ②

芽生えていく絆

孝雄は、雨の日の午前中だけ国定公園に行き、約束をしていないにも関わらずその度に由香里と会って、時折会話をしながら交流を深める毎日を送っていました。

孝雄は、自分と会ったことがあると話すなど謎めいた言動を取ることがある由香里のことを気に掛けるようになっていました。

それから、孝雄は担任教師である伊藤宗一郎から学校を度々サボっていることについて咎められるようになりますが、それでも雨の日の午前中には国定公園を訪れて由香里との距離を縮めていました。

それから、孝雄は靴に関する専門学校の資料を見たことをきっかけに、由香里に自分が靴職人を目指していることを打ち明けます。

由香里は、驚いた反応をしつつも、孝雄の夢を応援するかのように微笑みます。

孝雄は、由香里の反応に好感を持ち、それまで?みどころがなく不信感を持っていた由香里に対する信頼感が芽生えていきます。

さらに、後日由香里に頼んで女性用の靴を作るために足型を取らせてもらい、ますます由香里への気持ちを強めていくのでした。

【転】言の葉の庭 のあらすじ③

由香里の知られざる過去

梅雨が終わり、雨が降らなくなったことを機に孝雄は国定公園に足を運ばなくなりました。

一方、由香里は孝雄が来ない中でも毎日国定公園に足を運んで、読書をしながら退屈な時間を過ごしていました。

由香里は、孝雄と会えない日々が続く中で寂しさを感じるようになっていました。

また、孝雄は夏休みになり時間ができても雨が降らないため国定公園に行かずに、靴職人になるための勉強の資金を貯めるために、飲食店で毎日アルバイトに明け暮れながらアイデアをためていた靴を作成する毎日を送っていました。

その後、夏休みが終わり登校した孝雄は、学校に由香里がやって来ているのを見つけます。

それから、同級生の話によって由香里が自分が通う高校の教師をしていたものの、自分が入学する前に生徒によって執拗な嫌がらせをされたことをきっかけに、教師を退職することになっていたことを知ります。

孝雄は、由香里に嫌がらせをしていた生徒のところに行き、思わず殴りかかってしまうのでしたr。

【結】言の葉の庭 のあらすじ④

気持ちをぶつけ合う2人

孝雄は、由香里の正体を知った翌日に国定公園に行き、久しぶりに由香里に会います。

由香里は、自分が教師をしていた高校の生徒であるため、自分が教師であることに気づいてくれるのではないかと思って黙っていたと打ち明けます。

それから、由香里は前日に喧嘩をして顔に傷を負った孝雄を心配します。

その直後、突然大雨が降って来てずぶ濡れになってしまった2人は、近所にある由香里の家で昼食を取りつつ雨宿りをすることになります。

それから、コーヒーを飲みつつゆっくりとした時間を過ごした2人でしたが、孝雄が思わず由香里に好意を持っていることを口に出してしまい、由香里が教師としてその気持ちを拒んだことから、孝雄は由香里の家を出て行きます。

由香里は、孝雄を追い掛けていき、自分も孝雄の存在に助けられていたことを涙ながらに打ち明けます。

2人は抱き合いながら涙を流してお互いへの気持ちをぶつけます。

そして、数年後、靴職人を目指して留学して一時帰国した孝雄と、故郷の愛媛で教師として再スタートして孝雄に会うために久しぶりに東京に行った由香里は、連絡を取り合い国定公園で再会するのでした。

言の葉の庭 を読んだ読書感想

「言の葉の庭」を読んで、2人の距離が縮まっていく過程が特に魅力的だと思いました。

偶然の出会いを果たした孝雄と由香里が、国定公園でささやかな交流を重ねていく中で、お互いに似たものを感じて、それぞれを尊重し合いながら密かに恋心を募らせていくところに、美しさを感じて圧倒されていました。

それから、孝雄と由香里が会えない日々が続く中でお互いへの気持ちを募らせていくところに、切なさで胸がいっぱいになりました。

そして、孝雄と由香里がふとしたきっかけでお互いへの気持ちを爆発させて、傷つけ合いながらも素直に気持ちをぶつけ合っていくところに、夢中になって読み進めていました。

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