穴(山本亜紀子)の1分でわかるあらすじ&結末までのネタバレと感想

穴(山本亜紀子)

【ネタバレ有り】穴 のあらすじを起承転結でネタバレ解説!

著者:山本亜紀子 2001年12月に四谷ラウンドから出版

穴の主要登場人物

真木栗勉(まきぐりべん)
2号室住人。小説家。

水野佐緒里(みずのさおり)
1号室住人。

佐々木譲二(ささきじょうじ)
3号室住人。

浅香成美(あさかなるみ)
柿種出版社に勤務。真木栗の担当者。

穴 の簡単なあらすじ

売れない作家として燻っていた真木栗勉がある時に見つけたのは、自宅の木造アパートに空いたふたつの穴です。両隣の部屋を除いて見聞きした出来事を題材に執筆を続けていくうちに、連載小説は評判を集めていきます。その一方では真木栗は原因不明の体調不良と、不可解な出来事に悩まされていくのでした。

穴 の起承転結

【起】穴 のあらすじ①

禁断の行為に没頭

真木栗勉は築40年を超える木造アパートの2階にある3部屋のうち、真ん中に位置する2号室で推理小説の執筆やコラムの連載を手掛けていました。

ある時にアパート内で空き巣被害があった際に、今では本棚に隠されて気がつかなかった隣室との境の壁に空いた覗き穴を見つけます。

お隣の3号室に入居しているのは、佐々木譲二とい名前の若い男性です。

更には3号室への覗き穴の向かいにある、1号室を覗くことが出来る穴も発見しました。

1号室は真木栗がこのアパートで暮らすようになって以来、入居者が決まったためしはありません。

この時から真木栗は3号室を毎日のように覗きながら、1号室の空き部屋に自分好みの若い女性が引っ越してくることを期待していました。

【承】穴 のあらすじ②

妄想を原稿用紙に書きなぐる

ある時に真木栗は知り合いの編集長から、僅か3日間で官能小説を執筆する無理難題を押し付けられてしまいました。

一向に構想が浮かばないままで残り後2日になった時に、自宅アパートの前に佇んでいる美しい女性を見かけます。

隣に引っ越してくる女のイメージには、彼女の儚げな姿はまさにピッタリです。

みるみるうちに創作意欲が湧いてきた真木栗は、アパートの自室から隣の部屋を覗く男の物語を書き上げていきます。

新しく真木栗の担当となった東大卒のエリート、浅香成美のサポートもあり何とか完成にまで漕ぎ付けました。

仕事がひと段落して寛いでいた真木栗の部屋の扉をノックしたのは、2日前にアパートの前に立っていた女性・水野佐緒里です。

【転】穴 のあらすじ③

虚構と現実があやふやに

佐緒里が1号室に引っ越してきてからというもの、真木栗はこれまで以上に覗き行為に憑りつかれて止めることが出来ません。

彼女の実家・岡山から毎年夏になると送られてくるマスカット、復縁を迫ってくる元夫、彼をコッソリと招き入れて共に過ごす一夜。

全てが真木栗には筒抜けになり、新しい小説のネタになっていきます。

何時しか真木栗が原稿用紙に書いた通りの行動パターンを、佐緒里が取るようになっていることに気付きました。

更には小説の中に登場させた宅配業者や置き薬のセールスマンが、不慮の事故や突発的な自殺によって亡くなってしまう始末です。

真木栗自身も体調不良に襲われる中、連載の方は思いの外好評を博し雑誌の売り上げも伸びていきます。

【結】穴 のあらすじ④

全ては夢か幻か

飽きもせず1号室を覗いている真木栗でしたが、3号室の方はすっかり興味が薄れてしまいました。

久しぶりに佐々木の部屋を除いてみると、段ボールに荷物を詰め込んで運び出しています。

廊下を通りかかった際に呼び止めてみると、意外な事実が明らかになりました。

このアパートは来月の取り壊しが決まっていること、住人は真木栗と佐々木の2人しかいないこと。

誰もいないはずの1号室へと向かった真木栗を出迎えたのは、初めてアパートの前にいた時と変わらない佐緒里でした。

翌朝忘れ物を取りに来た佐々木が目撃したのは、1号室の前に倒れていた真木栗です。

病院へと運ばれていきますが既に亡くなっていて、何故かマスカットの入ったビニール袋を抱えていたのでした。

穴 を読んだ読書感想

主人公・真木栗の情なくも、どこか憎めない人柄が印象深かったです。

お隣の3号室に住んでいる、ボクシングが大好きで異性との関係が派手な佐々木譲二の秘密にも引き込まれていきました。

1号室に引っ越してきて真木栗を翻弄していく、水野佐緒里の美しくも儚げな佇まいにも忘れがたいものがあります。

特に好きなセリフは、「宇宙の長い歴史の中で、私たち個人の人生は、ほんの小さな打ち上げ花火に過ぎませんよ。」

です。

夏の終わりの夕方に近くの河川敷で開催されていた小さなお祭りで、偶然にも出逢った真木栗と佐緒里が言葉を交わすシーンに登場します。

刹那的な生き方をして派手に散っていく人いれば、弾けることもなく静かな一生を終える者もいて切ないです。

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