「里奈の物語」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|鈴木大介

里奈の物語

著者:鈴木大介 2019年11月に文藝春秋から出版

里奈の物語の主要登場人物

里奈(りな)
主人公

幸恵(ゆきえ)
伯母、里奈を春奈から引き取り育てている。

春奈(春奈)
産みの母親、里奈と勇斗と琴美を産んで、幸恵に預けている。

比奈(ひな)
幸恵の実の娘、里奈の妹分。

雄斗(ゆうと)
春奈が産んで、幸恵が預かり育てている。里奈の実の弟。

琴美(ことみ)
里奈の実の妹

里奈の物語 の簡単なあらすじ

北関東の地方都市で暮らす里奈といとこの比奈は、育ててくれている幸恵伯母さんが自動車部品店と飲み屋で働いている間は倉庫で過ごし、朝方に幸恵伯母さんの家に帰れます。

比奈の世話は里奈が5歳くらいの時からほとんど一人でしているのでした。

知人から安く譲ってもらった古めの愛車を豪快に走らせる幸恵伯母さんの事が、二人は大好きでした。

しかしそれなりに楽しい生活は、産みの母親がきっかけで、大きく変わるのでした。

里奈の物語 の起承転結

【起】里奈の物語 のあらすじ①

実の母、春奈

比奈の世話をしながら、幸恵伯母さんと暮らしていた里奈ですが、ある日、勤め先の飲み屋に産みの母親の春奈が訪ねてきます。

どういう料簡か、里奈を返せと暴れて、包丁まで振り回します。

そして収まった後には、自分の産んだ雄斗と、さらに新しく産んだ妹の琴美まで預けていきました。

飲み屋のママの志緒里さんと協力して4人を育てようとした幸恵伯母さんですが、店の売り上げが下がってきたことから、詐欺をして警察に捕まったので、比奈と琴美は志緒里さんが育てて、里奈と雄斗を児童養護施設に預けることにします。

そこの職員は親切に世話をしてくれますが、世の中には1階で産まれた人と2階や3階で産まれた人が居て、1階から上に上がる階段はない事が多いことを話してくれます。

その職員の人の様になろうと思っても、資格を得るような大学に進んだりすることは、施設で育っている子供には無理な様なのでした。

中学校に入った里奈は、同じ施設に住む同級生と出会い系サイトで探した相手に下着を売ったりして、少しずつお金を貯めていきます。

【承】里奈の物語 のあらすじ②

上京

里奈は養護施設を無断で出て、単身電車で上京して、東京に住む養護施設の先輩の家に行き、同居させてもらいますが、生活費は自分で何とかするように言われます。

その先輩は夜の仕事に就き、彼氏と同居しているのでした。

そのため、出会い系サイトで出会った相手に体を売り、お金を稼いでいきます。

そうしているうちに同じようなことをしている少女たちと知り合い、さらに彼女たちを使い、上手く売り上げを上げているグループと知り合います。

そのグループをもともと運営していた人は要領が悪いので、里奈自身でグループを運営することになるのでした。

他にも同じようなことをしているグループが幾つもありますが、気の合う相手には、自分のグループに入ってもらったり、対立する相手には、他のグループへ出て行って貰ったりすることになります。

単身で家出してきた少女たちがほとんどですが、警察や行政には最初から関わろうとはしません。

どのグループにも親や親族から虐待されて逃げてきた少女が沢山いるのでした。

里奈のグループ一番の美少女は耳たぶがなく、本人に聞くと、叔母さんに切り取られたとのことでした。

【転】里奈の物語 のあらすじ③

ヤクザ

里奈たちがファミレスを拠点に活動していると、そこを縄張りとするヤクザに目を付けられますが、その相手も同じような成育歴だったため、お金さえ払えば、何かと相談に乗ってくれたり、協力してくれるのでした。

さらに本職のヤクザは、半グレより強く、組織化もされているので、何かとトラブルの解決にも役に立つのでした。

しかし少女同士では、お互いの境遇の様々な違いや、容姿の優劣などから、何かと対立や揉め事が絶えません。

同じような境遇の少女でも、親からの暴力が耐え難い体験だったり、飢餓が耐え難かったりと人により大きく違うのでした。

さらに最初の頃から同じグループで活動していた相手も、里奈の事に関し、ある事ない事を他のところであれこれ言っていたり、他のグループと裏で協力していたりで、グループを運営するのは、里奈が思っていた以上に大変なのでした。

それでも未成年の少女を買いたいという相手は、一定数いつもいるので、それなりに売り上げは上がっているのでした。

【結】里奈の物語 のあらすじ④

帰郷

そうしているうちに里奈はどの相手の子供かわからない子供を身ごもります。

しかし里奈にとっては自分の子供という事で、産むことを決意するのでした。

そのため地元の飲み屋のママだった志緒里さんに連絡をとると、育ててくれた幸恵伯母さんはガンで入院していて、地元に戻ってもすぐには元の生活に戻ったり、雄斗や比奈、琴美と共に暮らすというのは難しそうなのでした。

さらに地元に戻ってみると、不況の影響から、志緒里さんの飲み屋の周囲のお店もほとんど無くなっているのでした。

妹たちは、高校進学などに関してどうするのかなどを迷っていましたが、里奈は東京にいる時に、保険証や身分証がない事でいろいろな不便さを体験していたので、妹たちには高校をちゃんと出ておくことが、いかに後から役に立つかを教えます。

さらに里奈は、養護施設の先輩に協力してもらい、まとまった額の貯金を出来ていたので、その先輩の伝手も使い、新しい生活を地元で始められるのでした。

里奈の物語 を読んだ読書感想

著者の鈴木大介さんは、オレオレ詐欺や出会い系サイトで活動している若年層の取材をしていて、いくつものノンフィクションを書いていましたが、それを読んだ当事者の少女から、「不幸少女のカタログを作りたいのか?」と言われたことが、この小説を書くきっかけだった事とのことです。

長年の取材経験を活かして、登場人物たちをリアルで活き活きと描いています。

一時期「プチ家出」などが話題になりましたが、本作で出てくる登場人物の少女たちは、生き延びるための家出をしている人がほとんどでした。

彼女たちが行政も警察も当てにしていないところから、いかに大変な成育歴かが伺えました。

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