【ネタバレ有り】くちびるに歌を のあらすじを起承転結でネタバレ解説!
著者:中田永一 2013年12月に小学館から出版
くちびるに歌をの主要登場人物
桑原サトル(くわはらさとる)
本作の主人公。中学3年生の男子。ひょんなことから合唱部に入部する。自閉症の兄をもつ。
仲村ナズナ(なかむらなずな)
本作もう一人の主人公。中学3年生の女子。合唱部員。男が嫌い。
柏木ユリ(かしわぎゆり)
臨時職員として採用され五島列島に戻ってくる。美人の音楽教師。合唱部の面倒をみることになる。
向井ケイスケ(むかいけいすけ)
お調子者の中学3年生の男子。柏木ユリ目当てに合唱部に入部する。仲村ナズナとは幼なじみ。
松山ハルコ(まつやまはるこ)
柏木ユリの同級生。産休に入るため臨時教師として柏木ユリを東京からよびよせた。
くちびるに歌を の簡単なあらすじ
長崎県西部にある五島列島の中学校合唱部。そこで顧問をしていた松山ハルコは産休に入ることになる。その代わりの臨時音楽教師として柏木ユリがやってきた。柏木ユリは美人であったため合唱部に柏木目当てで男子が殺到。合唱分は男女混合となり、NHK全国学校音楽コンクールを目指すことになる。
くちびるに歌を の起承転結
【起】くちびるに歌を のあらすじ①
長崎県西部の海に位置する五島列島。
とある中学校には合唱部があった。
その合唱部で顧問をしていた音楽教師の松山ハルコは産休にはいることになったため、代わりの臨時音楽教師として柏木ユリを東京からよびよせた。
元神童で自称ニートの柏木ユリは合唱部の面倒をみることに。
だが、その美貌からたくさんの男子を呼び寄せてしまう。
女子だけであった合唱部には向井ケイスケ、三田村リクなどが入部。
桑原サトルも先生から頼みごとをされて音楽室に行っただけだったのだが、入部希望者だと勘違いされて入部することに。
混声合唱としてNHK全国学校音楽コンクール、通称Nコンの長崎県大会を目指すことになる。
そこで歌う課題曲は「手紙」であった。
【承】くちびるに歌を のあらすじ②
桑原サトルには自閉症の兄がいた。
兄、アキオは工場勤務をしており、サトルは毎日迎えに行っていた。
サトルは合唱部の練習に行きたいからとアキオの迎えには1日おきにしたいと告げる。
しかし、アキオの迎えは母がやることに。
サトルを部活動に行かせたかったのである。
Nコンに向けて練習の日々を送っていた部員らだが、男子と女子の間に亀裂が入ってしまう。
素人集団の男子には指導が入るのだが、彼らは一向に直す気配がなかった。
向上心というものがなかったのである。
男子肯定派と否定派にわかれてしまう部内。
そんなある日のこと、向井ケイスケは第二音楽教室で二年生の篠崎と喧嘩をする。
喧嘩の理由を向井ケイスケは話さず、不明のままだった。
【転】くちびるに歌を のあらすじ③
依然として合唱部は二つの派閥にわかれていた。
男子肯定派と反対派。
男子反対派の女子部員たちが職員室前に集合し、柏木先生を取り囲んで直談判する。
Nコンを勝ち進むために今回は女声三部合唱で出場させて欲しい、と。
しかし、柏木先生の答えは否だった。
全員で前に進むため、混声三部合唱に決める。
反対派の女子部員たちはその選択に難色を示すも、先生の決めたことだからという理由で渋々従うことに。
そんな中、仲村ナズナは向井ケイスケが喧嘩をした理由を知る。
向井ケイスケは蒸発してしまった仲村ナズナの父親のことを悪く言われ腹がたって殴ってしまったというのである。
今までやる気を見せなかった男子だが、改心して練習をするようになる。
男子肯定派と反対派の亀裂はすっかりなくなっていた。
【結】くちびるに歌を のあらすじ④
合唱部はNコン長崎県大会会場のある九州本土に行くためにフェリーに乗っていた。
やがて九州本土に上陸した合唱部はホテルに到着。
その後は本番を想定しての練習を開始。
練習が終わったあとの自由時間の時、仲村ナズナは向井ケイスケに呼び出される。
向井ケイスケは告白すると言い出したが、その相手は仲村ナズナではなく部長の辻エリであった。
少し落胆する仲村ナズナ。
一方で桑原サトルは長谷川コトミについていった。
長谷川コトミは恋人である神木先輩に会いにいくというのである。
そこで修羅場となるが、桑原サトルと長谷川コトミの距離が縮まることに。
そして迎えたNコン当日。
部員たちは無事発表を終える。
Nコン後、ホールの外で桑原サトルは兄のアキオと両親と会う。
アキオは大会の最中、ずっとホールの外にいて歌声を聞けないでいた。
そのことを知った仲村ナズナはアキオの前で合唱することに。
やがてその輪は大きくなり、多くの歌声がアキオを包み込んだ。
くちびるに歌を を読んだ読書感想
合唱部を舞台にした爽やかな青春小説。
主人公が桑原サトルと仲村ナズナの二人がいて、交互に物語がかわって進んでいくというストーリー。
とにかく爽やか、かつ読み終わったあとはとても温かい気持ちにさせてくれる小説だ。
もちろんストーリーもおもしろく、キャラクターは個性的。
さすがは中田永一(乙一)稀代のストーリーテラーである。
個性豊かなキャラクターたちがいろいろな場面で絡み合っていく。
伏線もしっかりしている。
この小説のいいところはストーリーもキャラクターもいいのだが、セリフがいい。
長崎を舞台にしているので、長崎弁だ。
そう方言である。
この方言がなんだが耳に残る感じでつい真似をしたくなる。
というか真似をしてしまう。
それからこの小説を読むと、「手紙〜拝啓 十五の君へ〜」が聞きたくなること間違いなしだ。
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