あの家に暮らす四人の女(三浦しをん)の1分でわかるあらすじ&結末までのネタバレと感想

あの家に暮らす四人の女

【ネタバレ有り】あの家に暮らす四人の女 のあらすじを起承転結でネタバレ解説!

著者:三浦しをん 2018年6月に中公文庫から出版

あの家に暮らす四人の女の主要登場人物

牧田佐知(まきたさち)
牧田家の一人娘。37歳独身の刺繍作家。数年前まで母と二人で阿佐ヶ谷駅から徒歩20分の洋館に住んでいた。

牧田鶴代(まきたつるよ)
佐知の母。箱入り娘で育ち、佐知が産まれてすぐ夫が出て行ってから佐知と2人で暮らしていた。趣味はガーデニング。

谷山雪乃(たにやまゆきの)
西新宿の保険会社で働く37歳。佐知が仕事のクライアントと間違えて声を掛け知り合った。

上野多恵美(うえのたえみ)
雪乃と同じ会社に勤める27歳。佐知の手芸教室の生徒。誰からも愛されるキャラ。

あの家に暮らす四人の女 の簡単なあらすじ

物語の舞台は阿佐ヶ谷駅から徒歩20分の古びた洋館。刺繍作家の佐知と、その母の鶴代、渋谷で偶然出会った友人の雪乃、ダメ男に甘い多恵美の女4人が暮らしています。同じ敷地内の別館に住む謎の老人山田や、多恵美につきまとうストーカー男が登場し、牧田家でのストーリーが展開しています。心が温まる物語です。

あの家に暮らす四人の女 の起承転結

【起】あの家に暮らす四人の女 のあらすじ①

あの家に暮らす四人の女

阿佐ヶ谷駅から徒歩20分の古びた洋館には4人の女が暮らしています。

この家に産まれたときから住んでいる37歳独身の佐知、佐知の母親の鶴代、佐知の友人である雪乃、雪乃の職場の後輩の多恵美です。

佐知は刺繍作家として働いており、自宅で刺繍教室を開いています。

ネットで刺繍の制作の依頼があったクライアントに作品を届けようと渋谷に出かけたとき、雪乃と出会いました。

雪乃は西新宿の保険会社で働いており、人になかなか覚えてもらえない特徴のない顔が特徴の37歳です。

多恵美は雪乃の会社の後輩で27歳。

誰からも愛されるキャラで、刺繍にも興味を持ち、佐知の刺繍教室に通っています。

佐知の母親鶴代は産まれてこのかた自分で稼いだことのない箱入り娘で、ガーデニングを趣味としています。

洋館と同じ敷地内の小屋に住む謎の老人・山田は鶴代が小さい頃からその小屋に住んでおり、門番のようにこの家を守ることを自分の使命としています。

佐知は父親の顔を知りませんでした。

牧田家に婿入りした佐知の父親は、佐知が産まれてすぐに出て行ったと聞かされていました。

山田に面倒をみてもらっていた佐知は、小さい頃は父親のように思っていたものの、最近では疎ましく思うようになっていました。

女4人は家事当番を分担し、一緒に暮らし始めて1年が経っていました。

【承】あの家に暮らす四人の女 のあらすじ②

家族のありかた

女4人はゆるやかな生活を送っていましたが、小屋に住む山田に雪乃と多恵美が一緒に暮らし始めたことを言えないまま1年が過ぎていました。

そんなときに多恵美の元彼・本庄が洋館の周りをうろついているという情報があり、山田に事情を話すべきかどうか悩みますが、結局伝えないままになっていました。

お花見の季節となり、4人はおにぎりやワインを持って出かけます。

見事に満開の桜の下でビニールシートを広げて語り合います。

多恵美が以外にも繊細な性格をしていたことを新たに知りながら、佐知は白ワインを飲みながら朧月の刺繍のデザインの発想を得ます。

雪乃は同居を始めるまでずっと一人で暮らしていました。

同居人たちを眺めながら、家族というものは距離や関係や習慣がそれぞれ違い、典型や定型というものがないのだろうということを考えていました。

【転】あの家に暮らす四人の女 のあらすじ③

河童のミイラ

ある雨の日、いつものように家で刺繍の仕事をしていた佐知は、隣の雪乃の部屋から雨音に混じって異音がすることに気がつきました。

慌てて部屋をのぞくと、天井から雨水が滴り、フローリングの床に大きな水たまりができていました。

佐知と鶴代は山田に天井の様子をみるよう頼みます。

山田は天井裏を確認し、雨漏りではなく水道管のバルブが緩んでいることが原因であるとつきとめまし。

山田は雪乃の部屋に入って初めて、この家に住む同居人が増えていることに気づき、ショックを受けます。

壁紙も張り替えることになったため、雪乃はリフォームが終わるまで、長年開かずの間となっていた部屋を使用することを決心し、部屋の掃除を始めます。

開かずの部屋の鍵を開けるところから苦戦しますが、開けてみると、昔鶴代夫婦が使用していたであろう部屋が現れました。

掃除を進める雪乃は長持サイズの桐箱を見つけます。

箱は全体が変色しており、中から河童のミイラらしきものが出てきました。

雪乃と佐知と多恵美はこのミイラは佐知の父親で、今まで鶴代が隠していたのではないかと推測します。

外出していた鶴代が戻りミイラの真相を聞くと、これは作り物で昔佐知の父親が鶴代に送ってきたものだと言います。

鶴代は初めて佐知の父親・神田のことを語ります。

3人は知るよしもありませんが、佐知の父親は今では地縛霊となっており、漂いながら鶴代と佐知の生活を見守っているのでした。

【結】あの家に暮らす四人の女 のあらすじ④

佐知の大ピンチを救ったのは…

ある夜、佐知は暴風雨と雷鳴で目を覚まします。

家の付近で空き怪しい者がうろついていると聞いていたため、不安に思った佐知が1階へ降りてみると、ダイニングではまさに泥棒が入っているところでした。

パニックになった佐知は腕をドアに打ち付け、泥棒に見つかってしまいます。

泥棒に手首をつかまれた佐知はリビングに引きずり込まれます。

佐知の絶対絶命のピンチに同居人は誰も気がつかず、小屋にいる山田も眠っていました。

しかしこの事態に気づいていた人がいました。

地縛霊の佐知の父親です。

なんとか娘のピンチ佐知の父親はリビングに置いていたミイラに乗り移ります。

泥棒と佐知は動き出したミイラに驚き、泥棒は逃げていきます。

翌日、泥棒は無事捕まりますが、佐知は動き出したミイラを怖がりながらも、自分の父親が助けてくれたのではないかと薄々気づきます。

泥棒騒動が一件落着し、再び平穏な同居生活を取り戻したのでした。

あの家に暮らす四人の女 を読んだ読書感想

三浦しをんさんの作品は今までに何冊か読ませていただきましたが、どれもほんわかと心が和むストーリーで、これも当てはまる1冊だと思いました。

家族のあり方が多様化する現代で固定観念にとらわれずに、このような女ばかりの同居生活ができたら、どんなに楽しいだろうと想像します。

同居人はそれぞれが個性的なキャラクターで、こんな人いるよなと共感できる部分も多く、女性の姿や考え方をよく捉えていると思います。

この物語では、佐知の父親や山田など、男性がどこか頼りない存在として描かれていましたが、最後には父親は佐知を助けてくれます。

女性がどんどん社会進出し、自分の仕事を持って強く生きていくストーリーは、とても励まされました。

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