岸和田少年愚連隊 不死鳥篇 カオルちゃーん!!(中場利一)の1分でわかるあらすじ&結末までのネタバレと感想

岸和田少年愚連隊 不死鳥篇 カオルちゃーん!!

【ネタバレ有り】岸和田少年愚連隊 不死鳥篇 カオルちゃーん!! のあらすじを起承転結でネタバレ解説!

著者:中場利一 2016年8月に光文社から出版

岸和田少年愚連隊 不死鳥篇 カオルちゃーん!!の主要登場人物

村山カオル(むらやまかおる)
岸和田一の暴れん坊。愛称「カオルちゃん」

チュンバ(ちゅんば)
中学生。

小鉄(こてつ)
中学生。チュンバの悪友。

ミスズ(みすず)
お好み焼き店を経営する。愛称「ミーちゃん」

ジロー(じろー)
ミスズの兄でカオルの親友。故人。

岸和田少年愚連隊 不死鳥篇 カオルちゃーん!! の簡単なあらすじ

中学生のチュンバは、悪友の小鉄トオルと毎日のように岸和田市内を彷徨い歩いていました。地元住民から恐れられつつも愛されている、村山カオルはふたりにとって憧れの存在です。そんなある日のこと、突如としてカオルちゃんの訃報が岸和田を駆け回ります。半信半疑で葬儀会場を訪れたチュンバと小鉄は、意外な事実を知ることになるのでした。

岸和田少年愚連隊 不死鳥篇 カオルちゃーん!! の起承転結

【起】岸和田少年愚連隊 不死鳥篇 カオルちゃーん!! のあらすじ①

岸和田のカオルちゃん

大阪府岸和田市で生まれて中学生になったチュンバは、悪友の小鉄と共に毎日のように喧嘩に明け暮れていました。

2年生の時に知り合いの先輩たちに連れて行かれたオールナイトの映画館で、大暴れをしていた中年男性を目撃します。

彼の名前は村山カオル。

「カオルちゃん」の可愛らしいニックネームとは裏腹に、この街の警察官や反社会的勢力でさえ迂闊に手を出せません。

1年後に近所のお好み焼き屋さんを訪れたチュンバと小鉄が目撃したのは、店内で働いているカオルちゃんの姿です。

若い女性店主のミスズと結託してぼったくり行為を繰り返しているようでしたが、間もなくカオルちゃんが亡くなったというニュースが市内全域に伝わることになります。

【承】岸和田少年愚連隊 不死鳥篇 カオルちゃーん!! のあらすじ②

カオルちゃん死去

カオルちゃんのお葬式が行われている「セレモ岸和田」の周辺では、ガードマンが交通整理にあたり屋台まで立ち並ぶほどの混雑ぶりでした。

本当にあのカオルちゃんが死んだのか半信半疑な岸和田市民たちが、事実を確認するために次から次へと会場内に入っていきます。

通夜に出席した人の詳しい話によると館内には棺桶もなく、ミスズがひとりで参列者の相手をしているようです。

ミスズは鼻歌交じりで嬉しそうにしていて、涙を流すこともありません。

告別式から10日ほどたった頃には、岸和田の山手地域・流木の墓地辺りでカオルちゃんに関する目撃情報が多発します。

何時しか岸和田全土に、カオルちゃんの生まれ変わり説が囁かれるようになりました。

【転】岸和田少年愚連隊 不死鳥篇 カオルちゃーん!! のあらすじ③

カオルちゃんの復活

香典目的のために自分の葬式を挙げたとピンときたチュンバと小鉄は、カオルちゃんの自宅がある古い民家が密集した路地裏へと向かいました。

家の中に忍び込んだふたりが奥の部屋で発見したのは、大小様々なサイズの金庫です。

金庫破りに関しては天才的な小鉄が解錠を試みていると、カオルちゃんの雄叫びと獰猛な飼い犬・チャッピーの吠える声が聞こえてきました。

チュンバたちが命からがら逃げ出して以降、カオルちゃんは岸和田各地を大っぴらに出歩くようになります。

ここ数日は賭博場に足繁く通い詰めて荒稼ぎしているようでしたが、以前はそれほどお金に執着することのなかったカオルちゃんの変わりようにチュンバは些細な違和感を感じていました。

【結】岸和田少年愚連隊 不死鳥篇 カオルちゃーん!! のあらすじ④

カオルちゃんの親友

ミスズのお好み焼き屋の真横に立地する雑居ビルでは、チュンバも小鉄もお世話になったことがあるふたりの刑事が張り込み中です。

刑事たちから聞き出した話は、チュンバの知らなかったカオルちゃんの意外な一面でした。

ミスズの兄の名前はジローでカオルちゃんにとってはたった1人の親友だったこと、金遣いの荒い妹が作った借金とアルコール依存症が原因となって自らの命を絶ったこと、ジローが亡くなった時にカオルちゃんが涙を流したこと。

死んだ兄の名前を利用して騙してきたミスズは、カオルちゃんから手荒い仕返しを受けることになります。

流木の荒れ果てていたジローのお墓は、カオルちゃんのニセ葬儀で集まったお金によって新しく建て替えられるのでした。

岸和田少年愚連隊 不死鳥篇 カオルちゃーん!! を読んだ読書感想

主人公の少年の周りを彩る、大人になり切れない大人たちの姿には味わい深いものがありました。

怪しげな電化製品を街角や路地裏で売り買いする職業不詳の男たちや、妻が仕事に出掛けた家の中にポツンと残されている夫の不甲斐なさには笑わされます。

14才の純真無垢な瞳を通して、まだ見ぬ世界への漠然とした憧れが伝わってきました。

はた迷惑の塊のような村山カオルにも、何処か憎めないものがあり不思議な親近感が湧いてきます。

カオルちゃんには実在するモデルがいることを著者は明かしていて、60歳の時にガンでこの世を去ったとも言われています。

今でも岸和田の片隅でいかつい背中を丸めて、ひっそりと生き続けているような気がしてしまいました。

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