著者:宮沢賢治 1924年12月に偕成社から出版
どんぐりと山猫の主要登場人物
かねた一郎
山猫のはがきを両親に見せたり仲間に話し合いしたりせず、単身で裁判に出かけるなど、独立心が確立された少年である。年齢は明記されていないが、馬車別当へのお世辞から尋常小学校の三、四年生とわかる。
山猫
体裁ばかり気にして威張り散らしている
馬車別当
ヤマネコの手下で卑屈で山猫にこびている
どんぐりたち
自己中で争いばかりをしている
栗の木、笛吹き滝、きのこ、リス
山猫を迷わせる外道
どんぐりと山猫 の簡単なあらすじ
ある秋の土曜日、一郎少年のもとに、下手くそで間違いだらけの文で書かれた怪しいはがきが届くところから物語がはじまる。
翌日厄介な裁判があり、何とぞ出席してくれという中身で、差出人は、山猫となっている。
一郎少年は、はがきを秘訣にして、一人で大喜びする。
翌日、一郎は山猫を探しに山へ入る。
そしてさまざまな人物と出会っていく
どんぐりと山猫 の起承転結
【起】どんぐりと山猫 のあらすじ①
深い榧(かや)の森の奥に広がる草地で、異様な風体の馬車別当と会い、はがきを書いたのは彼である事など話すうちに山猫が登場し、どんぐりが集まってきて裁判が始まる。
どんぐりたちは誰がトップ偉いかというトピックで争っており、めいめいが自分勝手な要因をつけて自らが偉いと主張するので、三日たっても決着がつかないという。
馬車別当は山猫に媚びるばかりで役に立たず、裁判長である山猫は「いいかげん仲直りしたら如何にだ」と和解を勧めるが、どんぐりたちが受け入れる気配など全く無くその都度身勝手な主張を反復するばかりで、判決を下したくても考え付つかずに困っている。
そんな訳で一郎は山猫に「このなかでいちばんばかで、めちゃくちゃで、例えるならなっていないようなのが、いちばんえらい」という法話を耳打ちし、知恵をつけて助けてやる。
山猫が一郎からの受け売りほぼそのままの判決を下すと、一瞬にしてどんぐりたちの争いが解消し、どんぐりは一つところに固まってしまう。
【承】どんぐりと山猫 のあらすじ②
山猫様はいまもうに、ここに戻ってお出でやるよ。
お前は一郎さんだなというのです。
出したのはこの男で、山猫の馬車別当、まあ運転手みたいなものだったのです。
その時、如何にと風が吹き、山猫さんが現れました。
黄色な陣羽織のようなものを着て、緑色の目をまん丸にし、耳は立って尖っておりました。
彼が一郎を呼び出したのは他でもない、裁判が少しだけ長引いて三日も続いているという事で、手伝ってくれ、と言うのです。
すると、一郎の足元でぱちぱちはぜるような音がする。
何かと思ってみてみると、草の中に小さいどんぐりがいっぱいいて、何やらわあわあ言っているのでした。
山猫の指示を受け、別當さんが草地をザザッと刈って平地をつくると、そこに無数のどんぐりが集まりました。
こいつらこそがまあ被告であり、山猫は裁判官なのです。
それで、何に揉めているかというと、どのどんぐりがお薦め偉いかが決まらないと。
ある者は頭が尖っている者と言い、ナンバーワン丸い者と言い、いや、大きいのが偉い、背の高いのが偉い……と延々と三日間言い争っているのです。
。
【転】どんぐりと山猫 のあらすじ③
※文体は「です・ます」調に統一して下さい。
====================村を出て、野を走り、森の中を抜け、隣村に着いた頃には、雨もやみ、陽は高く昇って、そろそろ暑くなってきました。
そんなに急ぐ必要もない、と思ったメロスはゆっくり歩こうと持ち前の呑気さを取りもどし、好きな小歌をいい声で歌いだします。
ぶらぶら歩いて二里行き三里行き、そろそろ全里程の半ばにさしかかった頃、前方の川が氾濫していました。
メロスは立ちすくんでしまいます。
しかし、メロスは意を決し濁流の中に飛び込んでいきます。
押し流されつつも、なんとか、対岸の樹木の幹に、到達することができました。
メロスはすぐにまた先を急ぎました。
荒い呼吸をしながら峠をのぼり、のぼり切って、ほっとした時、突然、目の前に山賊があらわれます。
メロスは三人をやっつけて、一気に峠を駆け下りましたが、疲労し、何度となく眩暈を感じ、よろよろ二、三歩歩いてついに膝から崩れ落ちてしまい、立ち上がることができなくなってしまいます。
まどろみから覚めたメロスは足もとから流れ出ている水を一口飲みます。
疲労回復したメロスは再び走り出します。
【結】どんぐりと山猫 のあらすじ④
それで翌朝一郎はウッキウキで谷川に沿った小道を登っていって、やまねこを探すのです。
栗の木に聞くと、馬車で東に行ったと言います。
それで東に行って、笛吹の滝に聞いてみると、馬車で西に行ったと言います。
山猫は一郎君に何とかならんかね?と知恵を乞うと、彼は言いました。
じゃあ、ナンバーワン馬鹿でめちゃくちゃでぐっちゃぐちゃのナンバーワン偉い、という事にしましょうと。
そうすると、どんぐりは途端に黙りました。
山猫さんは大層お喜びになり、どうぞ名誉判事になってください!今日の御礼に黄金のどんぐり一升をお渡ししましょう!というのです。
それで、山猫さんたちに一郎は馬車でお家まで連れて行ってもらうと、黄金に光るドングリはどんどん光を失い、居宅に着くころにはただのどんぐりになっていまいした。
なお気が付くといつの間にやら馬車も山猫も別当さんもどこにもいなくなっているのでした。
それから、一郎の元に山猫さんから再びはがきが来る事はないのでした。
というお話です。
どんぐりと山猫 を読んだ読書感想
別当の気味の悪い姿をした男は一体全体何者なのか?山猫は第二に出すハガキでは明朝出頭すべし、なんて文言に変更しても良いか聞いたのか?などなど、注意深く腹積もりてみると奇怪な事に満ちていますね。
宮沢賢治の作品と言うのは、解説がものすごく省かれていて、物語の力と言語のリズム感、なお幼少期にしか抱けないワクワク感と何か自然への不気味な畏怖、のようなものを織り交ぜてぐいぐいと読者を引き込んでいきます。
そこがチャームポイントですね。
何故、山猫から二度とハガキが来なかったのか?ではないかと考えます。
不思議です。
名返答を出した一郎君は山猫に役立つされるべきではないのかと。
これもまあ数々の読み方が勿論あって、一郎がアダルトになり、純粋さを失ったからというのは相当素敵返答だなとは考えます。
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