「カタリーナ・コード」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|ヨルン・リーエル・ホルスト

警部ヴィスティング カタリーナ・コード

著者:ヨルン・リーエル・ホルスト 2020年2月に小学館から出版

カタリーナ・コードの主要登場人物

ヴィリアム・ヴィスティング(ヴぃりあむ・ヴぃすてぃんぐ)
ラルヴィク警察犯罪捜査部の警部

リーネ・ヴィスティング(りーね・ヴぃすてぃんぐ)
ヴィリアムの娘。記者。

カタリーナ・ハウゲン(かたりーな・はうげん)
24年前に失踪した女性。

マッティン・ハウゲン(まってぃん・はうげん)
カタリーナの夫。

ナディア・クローグ(なでぃあ・くろーぐ)
26年前に誘拐されたとみられる少女。

カタリーナ・コード の簡単なあらすじ

ヴィスティング警部は、24年前に失踪したカタリーナという女性の捜査資料を定期的に見返していました。

彼は今もカタリーナの発見をあきらめていません。

ヴィリアムは年に一度、カタリーナが失踪した日に彼女の夫マッティンと合い、事件を風化させないようにしていました。

そんな彼の元に国家犯罪捜査局の捜査官スティレルがやってきます。

彼は26年前のナディア・クローグ事件を捜査しており、捜査線上にマッティンが浮かび上がったことを知らせます。

スティレルはヴィスティングに、マッティンをスパイするように依頼します。

こうして、ヴィスティングはマッティンの内面を覗こく任務に赴くこととなるのでした。

カタリーナ・コード の起承転結

【起】カタリーナ・コード のあらすじ①

いつもと違う10月10日

カタリーナ・ハウゼンは24年前に失踪した女性で、ヴィスティング警部は当時の捜査資料を家に持ち帰り、今でもたまに見なおしていました。

彼がもっとも気にしているものが”カタリーナ・コード”と呼ばれるメモ。

そこには3本の線の間に3桁の数字がいくつも書かれています。

暗号の専門家に見せても分からないという24年間、謎扱いされてきたメモです。

ヴァスティングは、カタリーナが失踪した10月10日に、毎年カタリーナの夫のマッティンの元を訪れることが習慣になっていました。

今年もヴィスティング警部は、マッティンの家を訪ねたのですが、そこには誰もいませんでした。

その日にマッティンがいないのは初めてのことで、ヴィスティングは不思議に思います。

電話をしてもつながりません。

マッティンの知り合いや仕事仲間に確認をしても彼の居場所はわかりません。

マッティンは忽然と姿を消したのです。

その翌日、国家犯罪捜査局のスティレルが来訪してきます。

彼は26年前に起きたナディア・クローグ誘拐事件を担当していました。

ナディア・クローグは、友達の家のパーティで恋人と喧嘩をしてから飛び出し、そのまま行方不明になった女性です。

一時は恋人が逮捕されますが、その後犯人から身代金を要求する手紙が届き、恋人は釈放されます。

警察は身代金を指定の場所に置いたのですが、犯人はその金を取りにこず、事件は迷宮入りとなったのです。

ところが最新技術を用いた科学捜査の結果、犯人の手紙から指紋が採取でき、それがマッティンの指紋だったのです。

ヴィスティングとスティレルが、マッティンの家を訪れるとそこには、マッティンの姿がありました。

彼は2、3日山小屋のほうへ行っていたと告げます。

マッティンが見つかったことでスティレルは、ナディア・クローグ事件の情報を得るために、ヴァスティングにマッティンをスパイし、うまく自白に導くように要請するのでした。

【承】カタリーナ・コード のあらすじ②

ありとあらゆる手段

実はヴァスティングもマッティンがカタリーナの失踪に関わっていたのではないかと、24年間疑い続けていました。

カタリーナが自宅から失踪したとき、マッティンは自動車で片道8時間かかる工事現場にいました。

マッティンはカタリーナが失踪した朝もきちんと工事現場にいてアリバイがあったため、容疑者から外れていたのです。

ヴァスティングは、カタリーナ事件とナディア・クローグ事件の真相を明らかにするために、その仕事を引き受けます。

スティレルはマッティンに心理的プレッシャーを与えるために、新聞やテレビ番組でナディア・クローグ事件の捜査が再開されたことを発表する策も講じていました。

さらに、マッティンが共犯者に連絡をする可能性も考慮して、彼の通信傍受をしたり、車に追跡装置を取り付け、徹底的にマークしました。

一方、スティレルは国内大手のタブロイド紙《VG》に、情報を渡す代わりにナディア・クローグ事件の特集を組んで欲しいと依頼していました。

その担当になったのがヴァスティングの娘のリーネでした。

リーネは当時の関係者に取材をしていきましたが、《ノルウェー犯罪最前線》というテレビ番組が、ナディア・クローグ事件の特集をすることを知ります。

その番組にはスティレルも出演していました。

そこで自分がスティレルにいいように使われていたことに気づき、自分で独自の情報を入手することを心に決めたのです。

ヴァスティングはこの番組を見たときのマッティンの反応を伺うため、彼の家でその放送を一緒に見ていました。

マッティンは見るからに動揺しているという様子です。

日付が変わった午前二時に、マッティンの車に仕掛けた追跡装置が動きます。

彼はナディア・クローグの両親の家の前まで車を走らせて、一時間もそこでじっとしたあと、自宅に戻っていきました。

その行動は、被害者の両親に自白しようか迷っているかのようでした。

【転】カタリーナ・コード のあらすじ③

カタリーナ・コードの意味

ヴァスティングとマッティンは、マッティンの山小屋で休日を過ごします。

しかし、余暇というのは表向きで、本当はヴァスティングがマッティンに自白を促すようにそれとなくアプローチをかける計画だったのです。

出発する直前、ヴァスティングは、カタリーナが失踪する前に用意した荷物を改めて見返すと、それが刑務所に持ち込むことができる荷物と一致することに気づきます。

そこでカタリーナは誘拐事件に関わっていて、自首するつもりだったのではと思うようになります。

そのことを捜査チームに伝えてから、ヴァスティングはマッティンと山小屋に出かけます。

山小屋では、近くの湖で魚釣りを楽しみますが、二人の間には密かな緊張感がつきまとっていました。

その夜、ヴァスティングは、娘のリーネが駐車違反切符をきられたことを思い出し、そこから”カタリーナ・コード”にどんな意味があるのかがわかりました。

3桁の数字は道路標識番号で、三本の線は道路、十字マークは十字架で墓地を意味する場所、つまり”カタリーナ・コード”は、ナディア・クローグを埋めた場所を記す地図だったのです。

一方で、リーネは過去の新聞を調べ、脅迫状の文字の切り抜きに使われた新聞に、マッティンが載っていることを目にします。

スティレルにそのことを確認したときの、彼の反応から、リーネは警察がマークしているのがマッティンだと確信します。

スティレルは、カタリーナ・コードの十字が記す場所を掘り返すときに、リーネも現場に来るように誘い、特ダネを提供することにしたのです。

地図の十字架の場所を掘り返すと、そこからは白骨化した遺体が出てきました。

一緒に出てきたハンドバッグは紛れもなく、ナディア・クローグのものでした。

【結】カタリーナ・コード のあらすじ④

事故と隠ぺい

白骨死体には身体の複数箇所に複雑骨折の痕跡が見られました。

これは交通事故による外傷と一致します。

ナディア・クロークは誘拐されたのではなく、交通事故で死亡し、その遺体が隠されたのでした。

両親の元に届いた脅迫状は、逮捕されたナディアの恋人を助けるために送られたものでした。

ヴァスティングとマッティンは、山小屋からの帰り道、車のラジオでナディア・クロークの遺体が見つかったことを聞きます。

ヴァスティングは腹の探り合いをやめ、単刀直入に何があったかをマッティンに訊ねました。

マッティンとカタリーナは開通前の道路をドライブしていたときに、ナディアを轢いてしまったのです。

土木作業員のマッティンが重機を使って、ナディアを埋めて死体を隠滅したのですが、二年経ったときに、カタリーナは良心の呵責に耐えきれなくなったのです。

カタリーナは自宅からバイクに乗って、マッティンの工事現場までやってきて、自首の話を持ち出しました。

そうなると、マッティンも共犯であることがバレてしまいます。

彼はその場でカタリーナを殺害して、ナディアのときと同様に重機で遺体を地中に埋めました。

そして、彼女のバイクをピックアップトラックに乗せて自宅まで帰り、妻が失踪したと警察に連絡したのです。

カタリーナは自宅から失踪したとみられていましたが、マッティンが工事現場で殺害していたというのが真相でした。

ヴァスティングはマッティンに自主を進めます。

しかし、マッティンは自動車に隠していた拳銃をとりだし、ヴァスティングに車から降りろと命じます。

その後警察は、ナディアの両親の家の前で自殺したマッティンを発見することになりました。

カタリーナ・コード を読んだ読書感想

サスペンスのようなハラハラする展開なし、本格ミステリのように犯人当ての要素もなし、それでもこのミステリには引き込まれました。

ヴィスティング警部は捜査のためにマッティンに接触して、彼の腹の内を探っていきます。

ヴィスティングの心理描写はたくさんあるのですが、マッティンが何を思っているのかは読者には明示されず、彼の行動から何を思っているのかを推測していくしかないのです。

マッティンは果たしてヴィスティングの真意に気づいているのか、それを考えながら読み進めました。

また、捜査チームが一丸となって犯人逮捕に全力を挙げる姿が印象的でした。

国の中枢の捜査局から来た捜査官と地元警察というのは、たいていのミステリでは対立しがちなのです。

ヴィスティングとスティレルは立場は違えど、互いに反目することもなく捜査を行っていたので、対立という余計な展開が入らずに集中して読み進めることができました。

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