「サマータイム」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|佐藤多佳子

「サマータイム」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|佐藤多佳子

【ネタバレ有り】サマータイム のあらすじを起承転結でネタバレ解説!

著者:佐藤多佳子 1990年にMOE出版から出版

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サマータイムの主要登場人物

伊山進(いやま すすむ)
十七歳のジャズ研でピアノを弾く高校生男子。小学五年生の時に、近所の団地に住む左腕を事故で失くした少年・広一と出会い、ジャズに興味を持つ。

伊山佳奈(いやま かな)
進の年子の姉。可愛らしい見た目とは裏腹に、わがままで癇癪持ち。ピアノを習っていたが本人は興味がなく、上達しなかった。進と友達の広一とピアノを通じて親しくなる。

浅尾広一(あさお こういち)
進と佳奈の近所の団地に住む事故で父親と左腕を失くした少年。母親はピアニストで広一もピアノを習っていた。破天荒な母親との二人暮らしで、母親の幸せを願う反面恋しくもある。年齢よりも落ち着いていてクール。進の二個上。

浅尾友子(あさお ともこ)
広一の母親。ピアノを弾いて生計を立てている。快活な美人で、父親の死後恋人を作り、再婚話が度々でるも喧嘩別れを繰り返している。

サマータイム の簡単なあらすじ

十七歳の高校生・伊山進はジャズ研に所属し、ジャズピアノに没頭する日々を送っています。年子の姉・佳奈も小学生の頃、親からの命令でピアノを習っていましたが、本人はやる気はなく、結局上達しないまま、佳奈用に買ったピアノは現在、実質弟の進の物になっていました。進がピアノに興味を持ったきっかけは、小学五年生の夏に出会った同じ団地に住む少年・浅尾広一と、広一の母の友子でした。事故で左腕を失くした広一は、右手だけでジャズのスタンダードナンバーの『サマータイム』を披露します。広一と出会い、進、そして佳奈は忘れられない夏を過ごすことになります。

サマータイム の起承転結

【起】サマータイム のあらすじ①

出会い

小学五年生の伊山進は、暑いし八月、長い休みを持て余していました。

七月に家族行事を済ませてからは、とくに行くところもなく、狭い団地の我が家で、一つ年上の姉・佳奈と父親と母親の家族四人で毎日退屈な顔をそろえていました。

進は体力が有り余っていたので、台風が接近中とのニュースに臆することなく、市民プールに一人自転車を走らせます。

悪天候の中、泳ぎにくる者は少なく、その日は数える程度しか人がいませんでした。

好き勝手に泳いでいた進でしたが、ふと見ると、溺れているようなあやしい泳ぎ方をしている少年がいます。

不自然な泳ぎ方を凝視すると、その少年には片手で泳いでいるのでした。

進の視線に気が付き、片腕の少年が声を掛けてきます。

彼は、進より二つ年上で名前を浅尾広一といいました。

同じ団地で家が近所だとわかったところで、いよいよ雨が強くなり、二人はびしょ濡れになりながら、帰路を急ぎます。

市民プールから広一の家の方が近くだったので、初対面にもかかわらず進は家にお邪魔することになります。

お風呂を借り、寛いでいると、家の中に大きなグランドピアノが一台ありました。

広一の母親はピアニストだといいます。

左腕だけで広一は器用にピアノを弾きました。

ジャズのスタンダードナンバーの『サマータイム』です。

広一が奏でるピアノに感動する進。

普段、姉の佳奈が弾いているピアノとは雲泥の差です。

広一は事故に遭う前までピアノを習っていたそうで、左腕を失くした今は、母親が伴奏をつけてたまに弾くと言います。

母親の弾くピアノを褒める広一を前に、進は自分の役に立たない左手を握りしめ、せめて佳奈くらいピアノが弾けたら良かったと思います。

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【承】サマータイム のあらすじ②

お見舞い

三日後、広一の家に借りた服とお礼を持って行った進は、母親の友子から広一が風邪をこじらせて入院していることを聞きます。

自分のせいではないかと心配になる進でしたが、友子は広一がひ弱なだけだから気にしなくていいと笑いながら言います。

進が来るまでお酒を飲みながらピアノを弾いていたようで、アルコールの香りがしました。

初対面の小学五年生の進に、あっけらかんと失恋話をはじめます。

初めて会うタイプの母親に進は面喰いますが、広一のお見舞いに一緒についていくことにします。

友子と連れ立って歩いていると、佳奈が追いかけてきました。

どうやら病院まで来るようです。

進の自転車を漕ぐ姿を見て、友子は広一が事故以来、自転車に乗れなくなってしまった話をします。

その話を聞き、佳奈が補助役を名乗り出ます。

進は、自分の補助役をしている時の佳奈を思い出し、内心広一に同情します。

【転】サマータイム のあらすじ③

海ゼリーとピアノ

見舞いから数日経った頃、進は退院した広一と再会します。

母親の再婚話がなくなったことを、広一は喜んでいました。

クールで大人びてみえると言っても、広一はまだ小学生で、新しい父親ができることに抵抗があるようです。

広一を家に誘い、佳奈が手作りしたゼリーを食べることを提案した進。

佳奈が作ったゼリーは砂糖と塩を間違えたのか、塩辛く到底美味しいと思えない代物で、進は一口食べて出来に不満を訴えますが、広一は『海みたい』と感想を漏らします。

青く透き通り塩辛いゼリーは、広一の言う通り、海を彷彿とさせました。

我慢比べのように塩辛いゼリーを完食した三人。

食べきると笑いがこみ上げてきました。

和やかな雰囲気の中、家の中にピアノがあることに広一が気が付きます。

佳奈用のピアノです。

佳奈はピアノ嫌いでレッスンを受けても一向に上達しないのですが、広一の提案で二人は『サマータイム』を弾くことにします。

聞き苦しかった佳奈のピアノも広一の右手の伴奏がつくことで、いきいきとしたものに変わりました。

ピアノを囲んで佳奈と広一の距離はぐっと近づいたように見えます。

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【結】サマータイム のあらすじ④

再会

それから佳奈は、広一の母親・友子との約束通り、広一に自転車の特訓を始めます。

広一は、事故で左手を失ってからしばらくも、片手で自転車に乗っていましたが、ある日坂道で転んで以来、怖がって乗ることを止めてしまっていました。

佳奈と広一は学校が終わった後や週末に、進の自転車を使って自転車の練習をしました。

おませで泥臭いことが嫌いな佳奈でしたが、この時ばかりはあちこち擦り傷を作ったり、お気に入りの洋服を汚しながら、広一が上達するのを喜んで見守っていました。

佳奈の様子が変わったのは十一月のことでした。

怒りながら帰宅したかと思うと、進の自転車をめちゃめちゃに壊してしまいます。

佳奈の癇癪に慣れている進ですが、広一が心配で家を訪ねますが、広一と友子はすでに引っ越していた後でした。

一月経って、広一から進宛と佳奈宛に手紙が届きます。

月日は流れ、進は十七歳になりました。

あれからピアノを習い始め、高校ではジャズ研に入部しました。

広一とは手紙のやりとりを最後に会っていません。

佳奈は返事さえ書きませんでした。

八月、進は家で『サマータイム』の練習をしていました。

そこへ、大学生になった広一が訪ねてきます。

お互いの近況を話し、広一が『お姉さんによろしく』と言って玄関を出ると、佳奈が自転車を準備しながら待ち構えていました。

佳奈から自転車を受け取った広一は漕ぎ始めます。

確認した佳奈は、ひらりと荷台に乗り、二人は太陽が照らす道をグングン加速していきます。

サマータイム を読んだ読書感想

十一歳の少年・進の目線で始まる『サマータイム』は、ピアノを嫌々習い始めた今よりも幼い日の佳奈が主人公の『五月の道しるべ』や、母親の再婚で揺れ動く思春期の広一の物語『九月の雨』、中学生に成長し、広一と再会する前の佳奈の『ホワイト・ピアノ』が収録されている連続短編集です。

少年少女の等身大の気持ちがみずみずしく書かれ、季節の描写も物語を盛り上げます。

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