【ネタバレ有り】カラスの親指 のあらすじを起承転結でネタバレ解説!
著者:道尾秀介 2008年7月に講談社から出版
カラスの親指の主要登場人物
武沢竹夫(たけざわたけお)
本作の主人公。46歳の詐欺師。妻と娘がいたが、両方ともを亡くしている。ヒグチという男に常に追われることを怯えながら生活している。
入川鉄巳(いるかわてつみ)
竹夫の詐欺の相棒。45歳。もともと鍵屋を営んでいたが、潰れる。そこで鍵を開ける腕を買われて竹夫に拾われる。
河合まひろ(かわいまひろ)
母親を借金のせいで失っている。いまは働くなった姉とその彼氏の生活でお金がなくなっているためスリをして生活をしていた。
カラスの親指 の簡単なあらすじ
竹夫と入川はコンビで詐欺を働いています。そこで河合まひろたちと知り合います。借金によって人生を狂わされた五人が手を合わせて組織に復讐をします。しかしそれらは全て入川の作り上げた芝居でした。入川は過去に縛られず前を向いて生きて欲しいという願いから大芝居を打ちます。そして竹夫たちはそれぞれの人生をしっかりと歩みますが、入川は癌になって死んでしまいました。
カラスの親指 の起承転結
【起】カラスの親指 のあらすじ①
武沢竹夫は銀行検査官という架空の職業を名乗り、筑紫章介を騙そうとする。
しかし筑紫は武沢を疑います。
しかしそこに石霞という男が現れ、筑紫は信用します。
しかしその石霞は武沢の相棒である入川鉄巳でした。
二人はコンビで詐欺を生業にしていました。
そもそも入川との出会いは武夫が住んでいたアパートの鍵穴に瞬間接着剤が流し込まれていたものを修理してもらった時でした。
しかしそれは顧客確保のために入川が行ったものだと竹夫は気付き、追求します。
そこで入川は白状し、金がないことを告白します。
その後、鍵屋が潰れたところから二人は手を組むようになりました。
入川の妻は借金を作り、自殺をしていました。
仕事が無事に終わり、家の近くの中華料理屋で食事をしていると店主が竹夫のことを聞いて回っている探偵がいたと教えてきました。
竹夫は身に覚えがないと答えますが、一つだけ思い当たることがありました。
店を出て、アパートへ帰っているとサイレンの音がします。
よく見ると竹夫が住む部屋から黒い煙が出ていました。
事態に気づいた入川は部屋に向かい、仕事道具などを持ち出します。
竹夫はそんあ入川を連れてその場から逃げ出します。
【承】カラスの親指 のあらすじ②
竹夫は妻を病気で亡くした後、娘の沙代と二人で暮らしていた。
そのときに借金を作ります。
会社もクビになり返すあてがなくなった時に消費者金融の人間からヒグチという男を紹介され、仕事をします。
それは借金の取り立てでした。
そこで竹夫はとある家庭を取り立てて、母親を自殺させてしまいます。
そのことに後悔した竹夫はヒグチが持つ債務者の書類を警察に届け、ヒグチたちの悪行をぶちまけました。
しかし報復として家に火をつけられて娘の沙代を亡くしました。
アパートの火事もヒグチの仕業だと竹夫は思います。
二人は新たに借家を見つけ、そこで生活を始めます。
二人は詐欺の相手として金を持っていそうな男を見つけ、尾行します。
そこでその男にスリを働いた女を目撃して、手助けをします。
そして竹夫はその女がかつて取り立てで自殺に追い込んだ母親の娘、河合まひろだと知りました。
まひろも家賃が払えなくて困っていると知り、借家に来るようにと助言します。
その借家にまひろは翌日訪れます。
加えてまひろの姉のやひろとその彼氏の石屋貫太郎も訪れ、結局五人で住むようになります。
しかしその家にも火が放たれます。
その火は五人でなんとか消し止めます。
しかしその火をつけたであろう人物がかつて五人全員を騙していた組織の人間だとわかります。
そこで五人は手を組んで仕返しをしようと決心します。
【転】カラスの親指 のあらすじ③
石屋は借家の近くに張り込み、組織の人間が現れるのを見張ります。
そこで目論見通り組織の人間が現れ、石屋の連絡を受けた竹夫と入川は車の後をつけて組織の事務所を突き止めます。
竹夫は次に盗聴器を仕込んだ携帯電話を激安で売るとその事務所にチラシを送りました。
案の定、話に乗ってきたことで事務所に重大の盗聴器付き携帯を送ることに成功しました。
そこで事務所の会話を五人で盗聴します。
そこで口座情報を入手し、手紙で口座が凍結されると手紙で忠告します。
凍結を恐れた組織は金を全て引き出し、事務所の金庫で預かります。
そしてその事務所に竹夫たちが乗り込みます。
竹夫たちは盗聴バスターズと名乗り、事務所に入ります。
そこでうまく金庫から現金を出させるまではできたが、最後に想定外の事態が起こる。
そこで石屋が偽物の銃で相手を脅し、お金を奪うことに成功しました。
事務所からも逃げだせたと思ったが、ヒグチに捕まり、事務所に戻されます。
しかしそのヒグチに竹夫は見覚えがありませんでした。
嫌がらせをしていたヒグチはかつて竹夫の娘を殺したヒグチの弟でした。
ヒグチは死に、その遺言を守って竹夫に嫌がらせをしていました。
しかしこれで止めると約束し、五人は解放されました。
最後にヒグチはまひろの母親を自殺に追い込んだのが竹夫だと暴露します。
しかしまひろはそのことに気づいていて、許すと結論づけます。
【結】カラスの親指 のあらすじ④
作戦が終わった日に五人は解散し、離れ離れに生活を始めました。
その1ヶ月後に葉書が届きます。
差出人はまひろ、やひろ、石屋の三人からでした。
内容はやひろが就職先を決め、まひろもアルバイトを始め、石屋も仕事が見つかったという内容でした。
そこで五人での日々やアルバトロス作戦の内容について違和感を覚えました。
あまりにも出来すぎていると感じたからです。
そこで過去の知り合いに電話をかけていくと入川との出会いからまひろとの出会い、アルバトロス作戦まで全てが入川の作為によって動いていたと知ります。
そこで入川という名前が偽名で、本当は河合みつてるという名の、まひろたちの父親だと判明しました。
そこで劇団のチラシを発見します。
そこには組織の人間だと思っていた連中が写っていました。
竹夫は劇団が練習をしている公民館に向かい、入川と再会しました。
入川の目的は過去に縛られている竹夫の解放と自堕落な生活をする娘たちにしっかりと人生を歩ませることでした。
そのための全てが大芝居でした。
しかし入川がまひろたちの父親だということは隠しておくように約束させられます。
その後、入川は癌を患い、竹夫に看取られてひっそりと亡くなります。
カラスの親指 を読んだ読書感想
ならず者のようだった竹夫たちが自分たちを苦しめる組織を復讐のために騙すという形は好みの作風でした。
それぞれのキャラクターはダメなやつだけど全員が個性を生かして力を合わせて戦うというのは熱くなるものがあります。
しかしそれが全て入川が作り上げた芝居だというのがこの作品のオチでした。
敵も入川が雇った劇団員でまさに茶番だったということです。
これには正直、肩透かしを食らったような感覚でした。
そこには入川の願いがあったことは描かれていますが、アルバトロス作戦が上手くいくかどうかをハラハラしながら読んでいた身としては納得できない部分があります。
それでもテンポよく読める作品ではあるので最後のオチの部分だけは好みになると思います。
映画化もされているので人気にある作品だとは思います。
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