【ネタバレ有り】天使の囀り のあらすじを起承転結でネタバレ解説!
著者:貴志祐介 1998年6月に角川書店から出版
天使の囀りの主要登場人物
北島早苗(きたじまさなえ)
ホスピスでターミナルケアを行う美人女医 恋人高梨の自殺の原因を探るために、恐るべき寄生虫に立ち向かう
依田健二(よだけんじ)
寄生虫研究の権威 早苗と共に、寄生虫の脅威に立ち向かう
高梨(たかなし)
早苗の恋人 アマゾンから帰国後に精神がおかしくなり、自殺する
蜷川(にながわ)
高梨と共にアマゾンを探検していた大学教授 寄生虫をたくさんの人にばらまく凶行を行う
萩野新一(はぎのしんいち)
アルバイトの青年 寄生虫の被害に合う哀れな被害者
天使の囀り の簡単なあらすじ
アマゾンの探検から日本に戻ってきた高梨が変死したのを皮切りに、全国で不審な自殺が相次ぐようになります。高梨の恋人早苗は恋人の死の真相を探るために奔走し、原因が寄生虫にあることを突き止めます。寄生虫が人間の体に巣食うことで意思と行動を支配してしまうという脅威に早苗は寄生虫研究の専門家の依田の力を借りて、この脅威に立ち向かっていきます。この本は寄生虫の脅威とおぞましさを生々しく描いた物語です。
天使の囀り の起承転結
【起】天使の囀り のあらすじ①
早苗のパソコンにアマゾンを探検している、恋人の高梨からメールが届きました。
高梨と共にアマゾンを探検する蜷川教授や探検隊のメンバーの日常といっしょに、探検記が綴られていました。
探検隊一行は野生のサルを捕食するなどの、ワイルドな日常を送っているようです。
そしてついに、高梨が日本に帰ってきて早苗と再会しました。
しかし、帰国してからの高梨の様子があきらかにおかしいのです。
高梨は死を恐れる性格たったのに、帰国してからの彼は死ぬことは恐ろしい事じゃないと言うのです。
異変はそれだけにとどまりません。
小鳥が囀るような幻聴..「天使の囀り」が聞こえると言い出したのです。
高梨はそれ以来死を求めるようになります。
陰鬱に死を求めるのではなく、快楽に身を委ねるように..死を近くに感じることを求めるのです。
時間が流れ、高梨の様子はますます様子がおかしくなり、不眠を訴える高梨は早苗の勤務するホスピスを訪れます。
高梨の容姿は急変し体重120キロは優にある、巨漢へと成り果てました。
早苗の机から大量の睡眠薬をくすねた高梨は、その日の夜、早苗に電話をかけてきます。
高梨は錯乱していて、明らかに正気を失っています。
大量の睡眠薬とアルコールを飲み込んだ高梨は天使の囀りが聞こえると言って死んでしまいました。
【承】天使の囀り のあらすじ②
アルバイトの萩野新一はとあるセミナーに参加します。
そのセミナーは悩みを苦しみを持つモノたちが一堂に会し、自分の悩みをさらけ出すと言うモノでした。
顔にコンプレックスを持っているモノ..先端恐怖症の人..など様々な悩みを持つ人が集まり、セミナーの最後に、参加者たちにある薬が手渡されてそれを飲んだ参加者と新一の頭に、鳥の囀りのような..「天使の囀り」が聞こえ、気分は高揚し苦しみから解き放たれた気持ちになります。
高梨の死の真相を早苗は懸命に調べていきます。
調査の最中全国で、奇妙な自殺者が相次いでいることに気が付きます。
薬品で顔面を溶かして自殺。
ナイフで自分の顔面を貫き自殺..などの常軌を逸した自殺が相次ぎます。
犠牲者は新一が参加したセミナーの人達でした。
セミナーの人達は自分が最も恐怖し忌み嫌うモノで命を絶つという..常軌を逸した方法で死んでしまいました。
新一も大嫌いだった蜘蛛を自宅で大量に飼育し、蜘蛛を食べるなどの奇行におよび精神に異常をきたします。
高梨たちが残した資料から、事件の原因は寄生虫にあると睨んだ早苗は寄生虫研究の権威..依田の研究室を訪れました。
依田はブラジル脳線虫という寄生虫という寄生虫を早苗に紹介します。
この寄生虫に寄生された動物は、脳みそを操作されて恐怖を快感だと思うようになってしまうのです。
寄生虫は宿主を捕食者に食べされることによって、自身を増殖させるという恐るべき特性を持っているのです
【転】天使の囀り のあらすじ③
沼に身投げして自殺した女性の情報を探っていると、早苗はこの女性があるセミナーに参加していたという事実を突き止めます。
セミナーを開催し、人間に寄生虫をばらまいた張本人は高梨と共にアマゾンを探検した蜷川教授でした。
アマゾン探検隊は野生のサルを食べた際に寄生虫に寄生されてしまったのです。
蜷川も寄生虫に操られ、寄生虫の増殖を目的に悩みを持つ人たちを集めて寄生虫を食べさせるという凶行に及んだのです。
早苗は依田と共に、蜷川がセミナーを開催している那須塩原の施設に乗り込みます。
施設の大浴場にたどり着くと..そこには寄生虫に支配された人々が惨たらしい末路を迎えて屍と化しており..腐臭が漂っておりました蜷川も一緒に死んでおり、早苗と依田は寄生虫の脅威に戦慄します。
屍の山の中に新一の姿もあり、新一はまだ生きていました。
しかし..新一の体は死んだ方がマシと思える位に寄生虫に犯されており..わずかに残った意識で新一は死を望みました。
早苗たちは葛藤の末に車の排気ガスを大浴場に充満させ、哀れな犠牲者を救ったのです。
ガソリンをかけて施設ごと燃やそうとしたときに..寄生虫の体液が2人に掛かってしまいます。
体液を洗い流した2人は施設に火をつけて、施設を後にしました。
【結】天使の囀り のあらすじ④
セミナー施設で大勢の人間が死亡し、火災が発生したというニュースは全国に駆け巡り大騒ぎになります。
早苗たちは警察に真実を打ち明けても、真相の突拍子もなさから信じてもらえないと思い警察には打ち明けませんでした。
そんな折早苗と依田は男女の仲に発展します。
早苗と依田が性の営みを行おうとしたとき..早苗は依田が寄生虫に寄生された事実に気が付いてしまいます。
寄生虫に支配された依田は、元の人格を失っており寄生虫を繁殖させるために早苗を犯そうとします。
早苗は抵抗して室内でガス爆発を起こし、依田の魔の手から逃げだします。
ガス爆発で意識がもうろうとする依田はベランダに身を乗り出し、早苗は道路からベランダに身を乗り出す依田の姿を目撃します。
寄生虫に脳を支配された依田は死が快感だと思い込み、快楽に身を任せてそのまま手すりから身を投げて自殺してしまいました。
高梨に続き、依田まで失ってしまった早苗は深い喪失感を味わいます。
新聞記者から、警察がセミナー施設から寄生虫の残骸や早苗の目撃情報を掴んでいるという情報を得た早苗は葛藤の末に、高梨や依田..犠牲になった多くの犠牲者の死を無駄にしないために、警察にすべてを打ち明けるために出頭することを選ぶのでした。
天使の囀り を読んだ読書感想
寄生虫..私たちにはあまり馴染みのない存在のように思えますが、寄生虫は自然界の至る所に存在しています。
本を読んでいる最中に私の脳中を寄生虫が這いずりまわるような錯覚や、作中に大量の蜘蛛が部屋を這いずりまわるシーンを読んで、私の部屋の中を大量の蜘蛛が這いずりまわる幻を見たような気がします。
お化けや殺人鬼とはまた違った怖さを持つ寄生虫..皆さんも想像してみてください..自分が今食べようとしている食品の中に寄生虫の卵が紛れ込んでいて..その卵が体内で孵化して、大量の寄生虫が体内を這いずりまわる光景を..この本は虫の気持ち悪さを生々しく描いた傑作です。
生々しい寄生虫の恐ろしさがこの本に詰まっています。
普通のホラーとはまた違った怖さを求めている人にお勧めする一冊です。
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