【ネタバレ有り】精霊の守り人 のあらすじを起承転結でネタバレ解説!
著者:上橋菜穂子 1996年7月に偕成社から出版
精霊の守り人の主要登場人物
バルサ
物語の主人公。短槍の達人で女用心棒。
チャグム
新ヨゴ皇国の第二皇子。
タンダ
バルサの幼馴染。薬草師。
トロガイ
当代最高の呪術師。タンダの師匠。
二ノ妃
チャグムの母
精霊の守り人 の簡単なあらすじ
女用心棒バルサは、偶然新ヨゴ皇国第二皇子チャグムを助けたことをきっかけに二の妃から息子の護衛を頼まれてしまう。精霊の卵をその身に宿した息子を疎ましく思った父帝の放った刺客や、異界の魔物からチャグムを守るためにバルサは体を張って戦い続ける。
精霊の守り人 の起承転結
【起】精霊の守り人 のあらすじ①
バルサは鳥影橋を渡っていた。
その橋は平民用の橋で所々ボロボロになっていた。
この所の大雨で下を流れる青弓川は色が濁り、白く泡立ちながらさかまき流れていて恐ろしい光景だったが、顔色一つ変えずに歩いていた。
ふと上流を見ると、一本上流にかかる橋に第二皇子の行列が見えた。
今年30になる女用心棒は立ち止まってその行列を眺めていた。
一瞬その美しさに惹かれた次の瞬間、牛車の牛が暴れ始めたのだ。
牛車が振り回され横転し中から小さい人影が川に落ちていのが見えた。
バルサは短槍に縄を巻きそれを岸に投げた。
短槍が岩の間に挟まり固定されたのを確認して、縄をもって川に飛び込んだ。
流される皇子をつかもうとするが、あと一歩のところでつかみ損ねてしまう。
そこで奇妙なことが起こった。
体がふわっと軽くなったのを感じた。
荒れくるっていた水の流れが止まり、音さえも消え去り、どこまでも透き通った青い空間が静止していた。
何が起きたかわからないまま皇子に手を伸ばし、掴んだと思った時には手が引きちぎれるかと思うほどの衝撃が来た。
さっきのことが夢なのか、激しい水の流れに飲まれたが、なんとか皇子を岸まで引き上げ蘇生術を施した。
【承】精霊の守り人 のあらすじ②
第二皇子を助けたバルサは、お礼に二ノ宮の館に招待されご馳走と酒を振舞われた。
用心棒は市民以下の異邦人であるため、よくて報奨金を渡されておしまいだと思っていたので、この扱いにはとても驚いた。
実際、後で報奨金をわたしので宿を教えるようにと言われた。
しかし、宿におちついたバルサのもとにやってきた使いは、報奨金を二ノ妃の館で接待した後に渡したい、と言ってきたのだ。
それで舞い上がるほどバルサは世間知らずではなかった。
皇族のものが下々のものにやさしくするときには必ず裏がある。
やっかいなことになったと思ったが、ここで断っては逆に無礼なふるまいとしてやっかいなことになるだろう。
仕方なくいわれるままに招待されたが、二ノ妃の歓待は真心こもったものだった。
ご馳走を楽しんだバルサは帰ろうとするが、侍従長に泊まっていくよう言われてしまう。
ここまで来たら素直に従うしかないと諦め、立派な湯殿を堪能し、その後案内されて寝間に入った。
バルサの度胸は並みではなくすっと深い眠りに入った。
次に目を覚ましたのは真夜中だった。
人の気配に気づき目を覚ましたのだ。
なんと二ノ妃と第二皇子がやってきたのだ。
妃はチャグムが命を狙われていること、チャグムにはなにか不思議なものがやどっているのではないかということをバルサに話した。
そしてバルサにチャグムをここから連れ出し守ってほしいと言うのだ。
バルサには断る選択肢がなかった。
ここで断れば口止めに殺されてしまうだろう。
バルサは皇子の護衛を引き受けた。
そして皇子の寝間に火をつけるように言った。
その隙に乗じてバルサとチャグムは抜け道に足を踏み入れていった。
【転】精霊の守り人 のあらすじ③
まずは頼まれ屋のトーヤのもとにいった。
バルサは青霧山脈を超えるつもりだった。
チャグム暗殺を企てているものたちが焼けた宮に死体がないのに気づくだろうから、今夜中に青弓川をわたって山に入りたかった。
そのための支度をトーヤに頼んだのだ。
トーヤが買い物してる間バルサとチャグムはトーヤの家で休んでいた。
ふいにチャグムがうめき、口を大きく開けてヒューっといきを吸い込んだ。
チャグムの胸から喉、頭にかけて青い光がにじみだしたのだ。
バルサはチャグムを急いで起こした。
これは私一人でどうにかなることじゃない、化け物の相手は厳しいと思った。
買い物を終え、バルサとチャグムは出発し、ちょうど見晴らしのいい田の間の畦道にさしかかったところで暗殺者たちが襲い掛かり撃退するも傷を負ってしまう。
バルサたちはタンダの家に行き傷の手当てをしてもらう。
タンダは薬草師であるのと同時にトロガイの弟子で呪術師でもあるためチャグムになにが宿ってるのか聞くがわからないという。
タンダの家で傷の回復を待っているとトロガイがやってくる。
トロガイはチャグムに宿っているものが精霊の卵だと話してくれるが完全に理解できてるわけではないという。
時期が来たらチャグムは海に向かって動き出すらしい。
バルサたちは山奥にある狩穴に拠点を移し、チャグムに宿っているものを調べたり、武術の鍛錬をしたりし、つかのま穏やかな時をすごしていく。
【結】精霊の守り人 のあらすじ④
狩穴に移り住んで4か月がすぎた。
チャグムに不思議な変化が起きた。
いつもは寝起きのいいチャグムが、その日はなかなか起きてこなかった。
体がだるいのだと言う。
トロガイが卵の様子を見ると大きくなり脈打っているという。
その日の夕方、チャグムの悲鳴が聞こえた、タンダはチャグムの意識が精霊の世界に引っ張られているという、バルサは懸命にチャグムを支え落ち着かせることができた。
チャグムはどうして自分がこんなに大変な思いをしなければならないのかと悩むようになる。
バルサは自分の過去のつらい経験をチャグムに話、厳しくも優しく説く。
チャグムは辛いのは自分だけではないと気づき落ち着きを取り戻していく。
変化から二月がたち、その時期が近付くにつれて次第に精霊の卵の謎が明らかになっていく。
皇子の命を狙う者たちもことの重要さに気が付き始める。
チャグムに宿る卵が海を目指して動き始め、精霊の卵を狙う異界の魔物も現れ、一気にクライマックスへ向かっていく。
精霊の守り人 を読んだ読書感想
皆の思惑が絡まり複雑になっていく中、バルサの強い心が変わらずに困難に立ち向かい続ける、そこにとてもあこがれを抱いた。
自然な導入部にバルサの人となりがちりばめられ、物語が動き出した時には、バルサのこと、魅力がわかってしまえる。
彼女が大きな運命に翻弄される中でも強く輝いているように見えるのは幼いころのつらい経験があったからだろう。
そんな彼女を支えてくれる周りの人たちもとても優しく、互いに尊敬していることがわかる。
一人で頑張ることは当たり前で、他人のために頑張れる彼女たちを見て、わたしたちは一人で生きているのではないと改めて感じる作品です。
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