映画「マメシバ一郎 フーテンの芝二郎」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|亀井亨

映画「マメシバ一郎 フーテンの芝二郎」

監督:亀井亨 2013年2月にAMGエンタテインメントから配給

マメシバ一郎 フーテンの芝二郎の主要登場人物

芝二郎(佐藤二朗)
主人公。30代の後半にしてようやくニートから脱却する。人との対話が苦手だが動物の気持ちが分かる。

市村景虎(高橋直純)
二郎の雇い主。笑顔を絶やさず人当たりがいい。

真田まちこ(南沢奈央)
市村の部下。仕事に熱心で手抜きは許さない。

財部陽介(高橋洋)
二郎の親戚。郵便局に勤めていて顔が広い。

芝鞠子(藤田弓子)
二郎の母。ひとり旅が好きで海外ボランティアにも積極的。

マメシバ一郎 フーテンの芝二郎 の簡単なあらすじ

長らく働いていなかった芝二郎が外に出ることができたのは、母から預かった1匹の小型犬「一郎」がきっかけです。

ひとり暮らしを始めてペットショップ店員として仕事をこなしつつ、周囲の人と不器用ながらも交流を深めていきます。

人徳者の店長と厳しくも優秀な同僚のサポートもあって資格を取得、良き理解者だった財部陽介との別れも経験して成長していくのでした。

マメシバ一郎 フーテンの芝二郎 の起承転結

【起】マメシバ一郎 フーテンの芝二郎 のあらすじ①

相棒と唯一の友に頼りっきり

行き着けのペットショップ「ZOO」で働きはじめて1年になる芝二郎でしたが、ちょくちょく抜け出しては駄菓子屋で買い食いをしていました。

飛び込みの愛犬しつけ教室で講師をしている真田まちこからは、その度に小言を食らうハメに。

接客業に慣れない中でも市村景虎店長からは、犬たちの散歩とケージの掃除・観葉植物の水やりを任されています。

富士見町の実家はすでに売りに出されたため、豆柴の一郎を連れて父の弟がオーナーをしているアパートへ。

配達の合間に様子を見にやって来るのは、オーナーのおいに当たる財部陽介です。

二郎にとってたったひとり心を許せる相手で仕事の不満を聞いてもらっていますが、ZOOをクビになったら何処も雇ってはくれないとのこと。

食事は店屋物のカツ丼1杯かうまい棒を1本だけ、賃貸契約も済ませず身分証明書も不携帯、家賃滞納… 相変わらず職場にも溶け込めずに3日ほど無断欠勤をしてしまい、まだまだ社会生活は営めていません。

【承】マメシバ一郎 フーテンの芝二郎 のあらすじ②

逃走癖リーダーの尻ぬぐい

一郎を連れて出勤しても構わないという市村、しつけ教室に立ち会って成功体験を語ってほしいとお願いされました。

38歳になるまで無職だったこと、自宅の半径3キロ以内から出られなかったこと、一郎のおかげで南米アルゼンチンまで到達したこと。

(シリーズ1弾「幼獣マメシバ」参照) 教室に通う生徒たちは様々な事情を抱えていて、分かってくれる人ばかりではありません。

みんなの前でお手を披露することになりましたが、「お座り」や「待て」の呼びかけにもまるで無反応な一郎。

いたたまれずにその場から逃走してしまった二郎、あとを引き継いでくれたのはまちこと財部です。

まちこが言うにはふたつの本能を秘めているのが飼い犬、狩猟本能と服従本能。

狩猟の方が強くなりすぎると攻撃的になってしまうため、飼い主が群のリーダーになって模範を示す必要があります。

二郎はいつでも提出できるように辞表を書いてエプロンのポケットに入れていましたが、一郎が咥えてどこかに持っていってしまいました。

【転】マメシバ一郎 フーテンの芝二郎 のあらすじ③

胸にキラリと光るのは自信の証

隣の住人から犬の鳴き声がうるさいとの苦情が、慌ててアパートの部屋に戻りますが一郎の姿はどこにも見当たらず。

近所の商店街を抜けた先にある公園から、土手に沿ったサイクリングロードまでを探し回ってようやく保護をしました。

ブルブルと震えていていつもとは違った様子、首輪に挟まっているのは市村からやんわりと突き返された辞表。

まちこが抱き上げてみたところ過度のストレスと判明、我慢強い子ほど痛みを抱えて表には出さないから。

前々から異状に気がついていた財部、二郎が出勤しているあいだに面倒を見たり遊び相手になってくれます。

その財部にも遠方の郵便配達所への転勤辞令が、これまでのように一緒には居られません。

オーナーから身分証の提出をせっつかれていた二郎、まちこの胸元を見てみると顔写真がプリントされた「動物訓練士」の免許証が。

社団法人「全日本動物愛護福祉協会」に願書を提出した二郎、自分に自信を持てるようになるために勉強を始めてみるつもりです。

【結】マメシバ一郎 フーテンの芝二郎 のあらすじ④

二郎はうまいものの夢を見る

クレーム処理にもしっかりと対応できるようになった二郎、常連客やスタッフともあいさつや日常会話程度ならこなせるように。

ようやくこの仕事を続ける気持ちが湧いてきたところ、財部がわざわざ転勤先から書留を届けにきてくれました。

封筒を開けてみると1週間ほどまえに受験した試験の通知書、結果は見事に合格。

正式に訓練士となった二郎ですが、まちこの目を盗んで駄菓子屋でひと息入れる悪癖だけは治りません。

勤務を終えて帰宅してみると誰もいないはずの自室からチキン南蛮の香りが、キッチンで手料理を作って待っていてくれたのは鞠子。

アルゼンチンでの医療活動にひと区切りがついたので、メキシコに移り住んでタコス屋をオープンしたとのこと。

食事のあとは親子で布団を並べて仰向けに、鞠子は合格通知書を枕の下に敷いています。

このようにして眠るととても良い夢が見られるそうで、二郎は売り切れだったうまい棒明太子味のことを考えながら目を閉じるのでした。

マメシバ一郎 フーテンの芝二郎 を観た感想

中年パラサイトこと芝二郎が小さな相棒と、さらなる騒動を引き起こしていく第3弾です。

服装はヨレヨレの黄色いTシャツにグレーのスウェット、髪の毛はボサボサで伸び放題、四六時中独り言をブツブツ… パッと見ると不審者にしか思えないようなキャラクターも、佐藤二朗さんが演じていると不思議と愛着を感じることができますね。

マイペースな二郎の周りにいるのは皆いい人ばかり、少しずつ社会人としての自覚が芽生えていくのも当然かもしれません。

そんな息子のことを遠く離れた異国の地から見守っているお母さん、そして回を重ねるごとに最高の絆で結ばれていく愛犬にも癒やされますよ。

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