映画「ヴィオレッタ」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|エヴァ・イオネスコ

映画「ヴィオレッタ」

監督:エヴァ・イオネスコ 2014年5月10日 (日本)にフランツ・クサヴァー・フランツから配給

ヴィオレッタの主要登場人物

アンナ
物語の中で謎めいた雰囲気を纏う登場人物。イザベル・ユペールが演じる。

ヴィオレッタ
物語において重要なポジションを占めるキャラクター。アナマリア・ヴァルトロメイが演じる。

マミー
物語において特別な存在感を放つ人物。ジョルゲッタ・レアウが演じる。

ヴィオレッタ の簡単なあらすじ

女流写真家の母アンナは帰宅が少なく、母の愛を求める娘ヴィオレッタは祖母に支えられつつも母の帰りを待つ。

アンナが帰宅すると、ヴィオレッタを写真のモデルに誘う。

ヴィオレッタは母の気に入りたく、モデルとしての決意を固める。

しかし、アンナの要求がエスカレートし、大胆なポーズや撮影が次第に増えていく。

最初は無邪気な少女だったヴィオレッタが、アンナの写真の世界で成長し、退廃的で大人の女性として変貌していく中、母娘の複雑な関係が描かれる。

ヴィオレッタ の起承転結

【起】ヴィオレッタ のあらすじ①

貧しい暮らし

ヴィオレッタは母と祖母と共に静かな生活を送っていました。

母親のアンナは写真家でしたが、なかなか成功せず、帰宅することもままなりませんでした。

家に帰る度、アンナは写真の仕事のことで忙しく、ヴィオレッタは母の愛情を求めながらも、祖母に支えられて成長していきました。

物語の「起」の部分では、ヴィオレッタの母との関係や、アンナの仕事への情熱とその反映が描かれ、次第に物語が進展していく様子が見て取れます。

貧しいアパートでの生活が物語に投影されています。

アンナの家事や母親としての役割を果たしていない描写から、アパートに住む母子家庭の厳しい現実が浮かび上がります。

食事や生活全般を支えるのは祖母であり、ヴィオレッタは母の帰りを待ちながら祖母に育てられている様子が描かれています。

アンナが写真での仕事に取り組むものの、成功していない状況が「起」の要素として浮かび上がります。

彼女の必死な努力が描かれ、写真家としての才能や情熱がありながらも、なかなか芽が出ない現実が物語を動かす要因となります。

この状況が後の展開やキャラクターたちの心情にどのように影響するかが注目されます。

【承】ヴィオレッタ のあらすじ②

モデルになったヴィオレッタ

「承」では、アンナがヴィオレッタの写真を撮ることに決め、その過程で美しいヴィオレッタの妖艶な魅力を引き出す様子が描かれます。

アンナは幼いながらも大人っぽい表情を引き出すように指示し、その結果、撮影された写真は今までになく評判を呼ぶこととなりました。

この段階では物語が進展し、ヴィオレッタの変化やアンナの写真家として勢いをつけるかと思われました。

ヴィオレッタからすると、普段は帰ってこない母親が自分を相手にしてくれるのが嬉しいようで、遊んでいる感覚なのでしょう。

しかし、その一方でどんどんと要求が過激化していくアンナの行動には違和感も感じられます。

子供にそんなポーズや表情を望むものでしょうか?芸術家たるもの、風変わりでなければならないとでもいうかのように、感性を尖らせようとしているのが痛々しいです。

母の成功のために大胆な写真に挑戦するヴィオレッタは、次第にその過程に疑問を抱くようになります。

アンナは写真の成功を追い求めるあまり、ヴィオレッタの幼さや心情を度外視しているのではないかという懸念が芽生えます。

【転】ヴィオレッタ のあらすじ③

周囲との対立

「転」では、ヴィオレッタの変貌がより一層進み、彼女の周りの状況が複雑になっていきます。

どんどん変化していくヴィオレッタ。

学校では中のいい友達がひとりいるものの、日に日に派手になっていくヴィオレッタを疎ましく思うクラスの子たちと対立してしまいます。

派手な変身によってヴィオレッタが異質に映り、クラスの子たちとの関係が険悪になります。

かつての友情や普通の生活から遠ざかり、ヴィオレッタは母の仕事のためにも独自の美的感覚を追求する一方で、よくない写真を撮っているという噂がたちまちクラスにまで広がってしまい、周囲との摩擦が増えていきます。

この転換点で物語はヴィオレッタの内面や外見の変化と、それが引き起こす対立といった要素が交錯していきます。

母に連れられて、仕事仲間とのパーティーなどにも参加します。

周囲の大人を見て学習し、大人のような振る舞いを真似ていくヴィオレッタ。

完全に異質でありながらも、好奇の目線はそそがれます。

【結】ヴィオレッタ のあらすじ④

母との対決

母アンナからの要求により不信感と嫌悪感を募らせていたヴィオレッタが、亀裂が広がる中で新たな出来事が起こります。

祖母が他界し、これまで家事などを支えてくれていた存在がいなくなり、家庭の中に更なる変化が生まれます。

二人っきりになってしまったアンナとヴィオレッタ。

アンナに生活能力はありません。

そしてヴィオレッタもまだ幼い子供です。

本来ならば、学校に行き、教育を受けなければならない年齢ですが、クラスにも完全に馴染まなくなっています。

祖母の死が、家族の中に空白をもたらし、それによってヴィオレッタの心情や家庭の雰囲気にも深い影響を与えます。

ヴィオレッタは母との関係に対してますます疑念を募らせ、母の過激な行動に対する嫌悪感が頂点に達します。

物語は感情の高まりと共に結末に向かい、視聴者は家族の絆がどのように変化するのかを見届けることになります。

もはや、このままでは破滅に向かうしかないといった環境に置かれているヴィオレッタ。

最終的には施設に入ることになり、結末を迎えます。

ヴィオレッタ を観た感想

ヴィオレッタが置かれた状況が非常に苦しく、痛々しいものであると感じました。

彼女は母親の写真のモデルとして、無理な要求に応じる中で自分自身の変化と葛藤を経験しています。

母との関係は次第に悪化し、祖母の死によってますます孤独感が募ります。

物語が進むにつれてヴィオレッタが経験する心の葛藤や苦悩が、観客に強く訴えかけるものであったと感じました。

家族の中での対立や不理解が、彼女の精神に深い傷を残していく様子が描かれ、その姿に心を打たれました。

物語全体を通して、家族の複雑な関係が織りなすドラマが、リアルで重いテーマに触れつつも、見る者に深い感銘を与える作品であると感じました。

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