監督:ウィリアム・オルドロイド 2016年(日時不明)にアット エンタテインメントから配給
レディ・マクベスの主要登場人物
キャサリン(フローレンス・ピュー)
本作の主人公。裕福な商家に嫁いだ17歳の女性。
セバスチャン(コズモ・ジャーヴィス)
キャスリンが嫁いだ家の使用人。
アレキサンダー(ポール・ヒルトン)
キャスリンの夫で商人。キャスリンに興味がない。
アナ(ナオミ・アッキー)
キャスリンが嫁いだ家の家政婦。
ボリス(クリストファー・フェアバンク)
アレクサンダーの父親。厳格な性格。
レディ・マクベス の簡単なあらすじ
19世紀後半のイギリス。
17歳のキャスリンは裕福な商家に嫁ぎます。
しかし、年の離れた夫アレクサンダーはキャスリンには興味を示さず、夫婦間の肉体関係はありませんでした。
アレクサンダーの父親ボリスからは外出をも禁じられ、アレクサンダーは商いの仕事で長期に家を離れてしまいます。
屋敷内に軟禁状態のキャスリンは、退屈な毎日を送ります。
ある日、家政婦のアナが使用人たちに折檻を受けているのを発見、主犯のセバスチャンに対しなぜか惹かれるものを感じてしまいます。
そして、セバスチャンにやや強引に誘われ肉体関係を持ってしまいます。
やがてキャスリンは二人の関係を保つために変貌していくのでした。
レディ・マクベス の起承転結
【起】レディ・マクベス のあらすじ①
19世紀後半のイギリス。
17歳のキャスリンは裕福な商家に嫁ぎます。
何不自由ない生活を約束されたキャスリンでしたが、その結婚生活は決して幸せなものではありませんでした。
年の離れた夫アレクサンダーは若い妻のキャスリンには興味を示そうとはせず、夫婦の肉体関係はありませんでした。
アレクサンダーは、夜もキャスリンに寝間着を脱ぐように命じ、その体を見ただけで自慰行為だけ行う日もありました。
優しい言葉をかけることはなく、行為が終われば一人寝てしまうアレクサンダー。
キャスリンは虚しさを感じながら、ベッドに入り込む毎日でした。
厳格な舅のボリスからは屋敷の外に出ることは禁じられ、妻らしく振舞うように言いつけられます。
そんなある日、アレクサンダーが長期の仕事に出かけることとなりました。
退屈で孤独な毎日を送るキャスリンが、唯一会話をするのは家政婦のアナと飼い猫くらいでした。
アナも口数は多くありませんでしたが、キャスリンが唯一会話をする相手でした。
【承】レディ・マクベス のあらすじ②
そんなある日、キャスリンは家政婦のアナが使用人たちに折檻されているところに出くわします。
首謀者と思わしき使用人、セバスチャンにすぐさま折檻を止めるようにキャスリンは厳しく言いつけます。
しかし、セバスチャンはどこかキャスリンを小ばかにしたような、いやらしい目でみてきました。
それに対し、軽蔑するとともにどこかセバスチャンのことが気になってしまうキャスリン。
するとその夜、キャスリンの部屋にセバスチャンが忍び込んできました。
キャスリンを襲ってくるセバスチャンに最初は抵抗するものの、いつの間にか自分からセバスチャンのことを求めてしまっているキャスリンがいました。
そのまま、二人は激しく愛しあいます。
翌朝、使用人のアナはなんとなくキャスリンの異変に気が付きます。
その後も人目を盗んでは時間など関係なくキャスリンとセバスチャンの不倫関係は続きました。
キャスリンは次第にセバスチャンを真剣に愛するようになっていきました。
【転】レディ・マクベス のあらすじ③
ある日、キャスリンは舅のボリスに「妻らしい振る舞いをするように」と厳しく言われます。
ボリスはキャスリンの不貞に気が付いていました。
アレクサンダーが自分に興味がないことを伝えますが、ボリスに叩かれて叱責されるキャスリン。
ある日、キャスリンは夕食に毒キノコを混ぜボリスに食べさせます。
何も知らないボリスは毒キノコで苦しみだしますが、キャスリンは助けません。
家政婦のアナが助けようとしますが、それを制しました。
そのままボリスは帰らぬ人になってしまいます。
アナはショックで口がきけなくなってしまいました。
毒キノコを間違って食べてしまったということで、事件性はなく葬儀が行われることになりましたが、アレクサンダーは葬儀にすらかえって来ませんでした。
邪魔者がいなくなったと、キャスリンとセバスチャンはますます深い関係になっていきます。
ある夜、二人で眠っているときに異変を感じキャスリンが起きるとアレクサンダーが屋敷に帰ってきていることがわかりました。
大慌てで隠れるセバスチャン。
部屋にやってきたアレクサンダーは、キャスリンの不貞の噂が町まで広がっていることを告げ、激しく怒ります。
争っているうちにキャスリンはアレクサンダーを殺してしまいます。
【結】レディ・マクベス のあらすじ④
アレクサンダーを殺したキャスリンはアレクサンダーの馬も銃殺し、森に埋めてしまいます。
セバスチャンを新たな主人に仕立て上げようとした矢先、アレクサンダーの愛人の子・テディが屋敷にやってきて正当な跡取りとなってしまいました。
キャスリンのことを「美しい」と慕うテディをかわいい気持ちもあったキャスリンですが、ある日テディが行方不明になってしまいます。
近くの川で発見されたテディはひどく憔悴していましたが、一命はとりとめました。
そんな時、屋敷に現れたセバスチャンに対し、「使用人は出ていけ!」テディの乳母が言い放ちます。
そのことに腹を立てたセバスチャンは「家を出ていく!」とひどい剣幕でしたが、キャスリンが「考えがあるから」とセバスチャンを止めます。
キャスリンの考えとはテディを殺害することでした。
弱っていたテディをセバスチャンと二人で窒息させ、あたかも病死のようにふるまうキャスリン。
ですが、セバスチャンは良心の呵責に耐えかねて「全部キャスリンがやった」とキャスリンの舅や夫殺しのことを警察の前で暴露します。
事の真偽を確かめられたキャスリンは至極冷静に、全ての出来事はセバスチャンとアナが共謀して行ったことであることを迫真の演技で打ち明けました。
結果、セバスチャンとアナが殺人の刑で処罰されることになりました。
誰もいなくなった屋敷で、一人空を見つめるキャスリン。
その眼には何も映っていないのでした。
レディ・マクベス を観た感想
前半、ほとんどセリフもなく、とても静かに流れる映像が印象的でした。
キャスリンの孤独がよくわかる、色の少ない世界。
そして、内なる欲望が開花した時変貌していくキャスリンの表情の変化が恐ろしく、フローレンス・ピューの底力を感じました。
若干20歳でこの演技ができるなんてすばらしいです。
女としての欲望がこのような事件を起こしてしまったように感じますが、実は人間らしく生きることの必要性が描かれているように感じます。
キャスリンは誰にも必要とされないお飾りの存在でしたが、セバスチャンに初めて女として必要とされたことにより、生きることへの欲求が芽生えています。
最後、セバスチャンと心中するのではなく、罪を擦り付けて自分は生きることを選びました。
レディマクベスは一人の女性が生きることを見つけた物語でもあるのです。
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