映画「劇場版 奥様は、取り扱い注意」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|佐藤東弥

映画「劇場版 奥様は、取り扱い注意」

監督:佐藤東弥 2021年3月に東宝から配給

劇場版 奥様は、取り扱い注意の主要登場人物

伊佐山菜美(綾瀬はるか)
本作の主人公。某国に雇われた元特殊工作員で現在は専業主婦。

伊佐山勇輝(西島秀俊)
菜美の夫。高校教師の裏で警視庁警備局公安部に所属し菜美を監視している。

矢部真二(鈴木浩介)
勇輝と同じ高校の生物教師。市長の元夫で開発反対派。

岩尾珠里(岡田健史)
矢部の教え子。空手が得意なコスプレイヤーで、ダイニングバーを経営している。

劇場版 奥様は、取り扱い注意 の簡単なあらすじ

2017年に話題をよんだ、特殊工作員だった過去を持つ専業主婦の伊佐山菜美がトラブルを次々と解決していくテレビドラマ「奥様は、取り扱い注意」のその後を描いた劇場版。

ドラマ最終回では現役の公安警察であることを隠しながら菜美を監視する役目だった夫が、菜美に銃口を向け発砲したところで終わっていました。

本作はその1年半後を描き、ある出来事で記憶喪失になった菜美は、夫の勇輝と共に桜井久実と裕司に名を変え小さな地方都市で新しい生活を送っていました。

2人が新生活を送る珠海市では新エネルギー源をめぐり開発反対派と推進派の争いが激化し、さらにその裏では国家レベルの陰謀がうごめいていました。

劇場版 奥様は、取り扱い注意 の起承転結

【起】劇場版 奥様は、取り扱い注意 のあらすじ①

記憶喪失の菜美は夫と地方都市・珠海市に移住

某国の特殊工作員・伊佐山菜美は中央アジアのとあるアジトで、自分を兄の仇と付け狙うロシアの諜報員ドラグノフと激しい銃撃戦を繰り広げていました。

海辺の小さな地方都市・珠海市に暮らす桜井久実は最近よくこのような夢を見ていました。

高校教師の夫・裕司と幸せに暮らす専業主婦でしたが、久実は過去の記憶を失っていました。

桜井久実と桜井裕司というのは偽名です。

久実はどうやらテレビゲームの影響で夢を見ているようであり、精神科医からはゲームを止めるよう言われていました。

珠海市の海底には新しいエネルギー資源であるメタンハイドレートが大量に眠っており、街は坂上市長が主導する採掘賛成派と、「珠海の自然を守る会」が主導する反対派に分かれていました。

近々行われる市長選には現職の坂上市長の他に「珠海の自然を守る会」リーダーの五十嵐が立候補を表明していました。

メタンハイドレートの研究に携わっていた北原教授は数日前から謎の失踪を遂げていました。

坂上市長を支援する新エネルギー源の調査会社社長の横尾は裕司の勤める高校の改修費を寄付するなどして周辺に媚びを売っていましたが、裕司の同僚で坂上市長の元夫である矢部は反対派に回っていました。

場面は変わり今から18ヶ月前。

菜美はIT企業経営の夫・勇輝と閑静な高級住宅街で幸せに暮らしていましたが、実は勇輝は警視庁警備局公安部のエリートであり、正体を伏せたまま菜美を監視していました。

ある時、菜美と勇輝は互いの正体を知ってしまい、勇輝は菜美に銃口を向け発砲しました。

しかし勇輝が撃ったのは菜美ではなく、家に侵入していた複数人の外国人工作員でした。

菜美と勇輝は協力して工作員たちと戦いましたが、その際に工作員が撃った弾が菜美の頭をかすめました。

倒れた菜美は病院で意識をとりもどしましたが、これまでの記憶を全て失っていました。

【承】劇場版 奥様は、取り扱い注意 のあらすじ②

開発反対派と推進派の争い

勇輝に新しい任務が命じられたのはそんな頃でした。

地方の珠海市で、新エネルギー源「メタンハイドレード」発掘事業がおこり、その裏でロシアと結託した国家レベルの陰謀が潜んでいる事実を公安が突き止めたのです。

勇輝は高校の数学教師・桜井裕司に扮して珠海市で潜入調査をすることになり、記憶をなくした菜美も桜井久実として同行させることになりました。

菜美の記憶が戻っても、公安の協力者にならなければ勇輝の手で始末するよう上司に命じられました。

それ以降、勇輝は常に久実の動向をGPSや隠しカメラで監視していたのです。

久実はまったく記憶が戻らないので本当の自分が誰か不安を抱えつつも、毎日買い物や料理をしながら勇輝の帰りを待つ日々を過ごしています。

一方、新任教師の勇輝は公安の上司・神岡から開発反対派に潜入するよう命じられていました。

そんな中開発コンサルティング会社の社長・浅沼は公安の読み通りロシアにメタンハイドレートの調査費を横流ししていました。

さらには行方不明になっている北原教授が残したデータの回収や、採掘反対派の人たちを次々とチンピラに暴力させていました。

久実も危うく「珠海の自然を守る会」事務所に突っ込もうとしたトラックに轢かれそうになりましたが、岩尾という男性に助けられました。

【転】劇場版 奥様は、取り扱い注意 のあらすじ③

記憶を取り戻した菜美

意気投合した岩尾はダイニングバーを経営していて、それに触発された久実はいつか海の見える丘にカフェを構えたいという夢を持ちました。

そんなある時、久実はチンピラに襲われている五十嵐を助けようとし、殴られた際に記憶を取り戻しました。

久実を監視していた裕司が二人を助け事なきを得ましたが、久実は裕司には記憶が戻ったことを黙っておくことにしました。

そんな頃久実は岩尾が経営するダイニングバーを手伝うよになっていました。

帰宅した久実はドキュメンタリー番組に目を奪われます。

それは左胸に鉄棒が刺さったものの、心臓や動脈をうまく避けて刺さったため命を取り留めたという話でした。

久実も裕司も感心しながら見入りました。

時を同じくして、反対派を襲っていたチンピラたちが黒ずくめの謎の人物に撃退されていました。

裕司はその黒ずくめの人物が女ではないかという噂が流れていることを知り、もしかしたら菜美ではないかと疑いました。

勇輝は「珠海の自然を守る会」事務所の前で張り込み、現れた闇討ちをする人物をつかまえました。

しかしその正体は菜美ではなく岩尾でした。

丁度その場に居合わせた矢部教師とともに岩尾の店で話を聞き、客からの情報で警察は横尾に買収されていると知りました。

矢部からも北原教授が隠しているデータの件についての話を聞かされました。

そのデータとは珠海市沖のメタンハイドレートは10年で枯渇するというものであり、それは開発調査船の船内に隠されていることもわかりました。

現市長は矢部教師の元妻で、その本心はあくまで珠海市を良い街にしたいだけと信じる矢部は、北原教授がロシア調査船の船内に隠したデータを坂上市長に見せれば、市長も目を覚まして計画を中止するだろうと考えます。

帰宅した裕司は久実が起きるのを待ち海に誘います。

カフェを構えるのに最適な海の見える高台に来た久実は、お店のロゴだと言うマークを地面に描いて裕司に示します。

【結】劇場版 奥様は、取り扱い注意 のあらすじ④

任務か?愛か?

ロシア船籍出航前日「出航記念パーティー」が開かれました。

矢部と共に船内に入った勇輝はパーティーを抜け出してデータの隠し場所を探し始めました。

その頃、カウンセリングを受ける久実のところへ電話がかかります。

「お前の大事な人を殺すからお前も苦しめ」とロシア語で告げられ、結婚指輪を捨てて調査船に向かいました。

船内ではデータを見つけ出した勇輝が外国人工作員たちに取り囲まれていました。

そのとき黒のスーツに身を固めた菜美が現れ、勇輝に既に記憶を取り戻していたことを伝えました。

勇輝はなぜ公安の協力者にならなかったのかと問うと、菜美は「私がなりたかったのはあなたの奥様」と答え、二人次々と工作員たちを倒していきました。

激しい闘いのあと、最後に菜美を仇と追うドラグノフが現れます。

バトルをしたまま菜美とドラグノフは船内につくられた鉄骨造りの巨大なやぐらの最上階まで行きました。

大格闘の末ドラグノフの首を絞めて気絶させた菜美。

そこへ駈けつけた勇輝たち公安。

ドラグノフにとどめを刺せない菜美の代わりに、勇輝の上司である神岡が発砲しました。

驚く菜美たちですが、逆に今度は神岡が公安に取り押さえられます。

実は神岡は公安の情報を敵側に漏らしていたスパイだったのです。

菜美は実はこれはそのスパイを見つけるための罠だったと言います。

その菜美を今度は公安の者たちが捕まえようとしましたが、菜美は勇輝を人質に取ると「今の私のことを愛している?愛しているなら私を撃って」と銃を渡しました。

勇輝は「愛している」と答えると菜美の胸を撃ち、菜美は海へと転落していきました。

そして3ヶ月後、左胸に銃撃の傷跡が残っている菜美はポルトガルの海辺のカフェにいました。

あのとき菜美は左胸の急所を外した位置に店のロゴマークを描いていたのです。

自分を追う者たちの存在に気付いた菜美は、不敵な笑みを浮かべながら颯爽とその場を去りました。

劇場版 奥様は、取り扱い注意 を観た感想

映画はテレビドラマの最終回から1年半後を描き、元工作員の菜美が記憶を失い久実という名前で、舞台も小さな地方都市の珠海市に移したところから始まります。

元工作員として常に闘っていたテレビドラマとは異なり、映画では記憶を失ったことで料理上手な癒し系の守ってあげたい久実になっていて、前半は初めて観る物語のようなまったく違うストーリーでした。

後半はガラリと雰囲気が変わって、テレビドラマを超える派手なアクションが炸裂します。

正直私は珠海市の新エネルギー源やらロシアやらスパイやらより、この工作員と公安夫婦の任務を超えた究極の愛を堪能したくて映画を観ました。

だから後半のアクションシーンこそ最強夫婦のラブシーンと言い切れるほど、観客を魅了する場面となっていました。

記憶喪失など紆余曲折ありながらも元特殊工作員とそれを監視する公安警察官がいつしか愛しあうようになり、それが発覚し地上最強の夫婦喧嘩勃発やテレビドラマの面白さをそのまま引き継いだ形の本作。

設定もストーリーも若干変化をもたせ、専業主婦になり切れない元特殊工作員の悩みも組み込んでいます。

お互いに罵り合いながらも、愛しあう主役2人のスタントなしのスケールの大きなアクションとともに、じっくりと楽しめる究極のラブストーリー作品です。

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