監督:ジョーダン・ピール 2022年8月に東宝東和から配給
NOPE/ノープの主要登場人物
OJ/オーティス・ヘイウッド・ジュニア(ダニエル・カルーヤ)
映画撮影などで使われる馬を代々飼育している牧場を継いだ、無口で大人しい青年。ある日、空の異変に気付く。
エム/エメラルド・ヘイウッド(キキ・パーマー)
OJの妹。兄とは違って明るく陽気な性格。
リッキー・“ジュープ”・パーク(スティーヴン・ユァン)
OJの牧場近くにある西部劇のテーマパーク「ジュピーターズ・クレイム」のオーナー。元子役でもある。
エンジェル・トレス(ブランドン・ペレア)
OJとエムが監視カメラの設置を依頼したエンジニア。
オーティス・ヘイウッド・シニア(キース・デヴィッド)
OJ、エムの父親。ある日“最悪の奇跡”によって命を落とす。
NOPE/ノープ の簡単なあらすじ
話題作「ゲット・アウト」でデビューしたジョーダン・ピール監督によるミステリー・スリラー作品。
「ゲット・アウト」でも主演を務めたダニエル・カルーヤが、突如現れた謎の飛行物体に翻弄される主人公を演じています。
父親の不慮の事故死から半年。
OJは慣れない撮影現場での仕事もなんとかこなしながら、牧場を守る日々を送っていました。
しかし、ある時から空に異変を感じるようになります。
UFOかもしれないと考えた妹のエムと一緒に、その謎の物体をカメラにおさめるべく急いで監視カメラを設置するのですが…
NOPE/ノープ の起承転結
【起】NOPE/ノープ のあらすじ①
「ゴーディ」の誕生日を祝う賑やかな声が聞こえます。
突如風船の破裂音が響きました。
“私はあなたに汚物をかけ、あなたを辱め、あなたを見世物にする。
ナホム書3章6節” テレビ番組の収録スタジオが映し出されました。
そこは物が散乱しており、倒れている女性の足も見えます。
そして手と口を血に染めたチンパンジーだけが歩き回っていました。
ヘイウッド・ハリウッド牧場では、映画などで使う馬を飼育していました。
牧場主のオーティスと息子のOJが馬たちの世話や調教をしています。
オーティスは「今度の仕事が勝負だ」などと話していました。
OJが携帯をいじっていると、突然画面が映らなくなり、馬の歩行装置も止まります。
そして鋭い音を立てながら、何かが空から降ってきました。
OJがオーティスの方を振り向くと、馬にまたがったオーティスが地面へと落ちていきます。
オーティスの脳には硬貨が刺さっていました。
6か月後。
OJはCMで使われる馬のラッキーを連れてあるスタジオを訪れていました。
しかし口下手なOJは馬の安全講習をうまくすることができません。
前の男の方が良かったとぼやくホルスト監督に、彼は飛行機からの落下物事故で亡くなったとスタッフが告げます。
遅れてきたエムがOJに替わって説明をし、撮影が始まりました。
しかし目の前に出された鏡に驚いたラッキーが暴れてしまい、結局OJたちはこの仕事を失ってしまいます。
ラッキーを売るため牧場近くのテーマパーク「ジュピターズ・クレイム」を訪れたOJとエムは、オーナーのジュープと交渉します。
ジュープは元子役で、エムが大興奮で部屋を見て回り「ゴーディ 家に帰る」という番組のアイテムに気づきました。
この番組は人気がありましたが、ある回でチンパンジーが暴れるという大惨事が起きた番組でもありました。
興味津々のエムに、「あとで作られたパロディ番組を見ていないか?あれはかなり忠実だ」とジュープは教えます。
【承】NOPE/ノープ のあらすじ②
2人は家へ戻り、エムは酒を飲みながら昔いたGジャンという名の馬の話をします。
【ゴースト】外に出ていたゴーストを馬房に戻すためOJが近づきますが、エムがかけたレコードの音に驚いて走っていってしまいました。
OJが後を追うと、昼間行ったパークの光が見えました。
ショーの宣伝アナウンスが聞こえます。
その時、空から奇妙な音が聞こえ、家では停電が発生。
空を見上げたOJは、高速で横切っていくUFOのようなものを目撃しました。
ゴーストは見つからず、OJは家へ戻ります。
停電で防犯カメラも機能しておらず、何かを捉えることはできていません。
「でかくて速かった」と聞いたエムは、それが気になってしょうがなくなりました。
2人はUFOの姿を撮影して雑誌に売ろうと考え、翌日早速防犯カメラを購入します。
店員のエンジェルが設置をしてくれることになり、家を訪れました。
買い出しから戻ったエムが、ジュープのところから盗ってきた馬の像を牧場の中に置きます。
UFOに興味がある様子のエンジェルが「もっと手伝いたい」と申し出ますが、あっさり断られてしまいます。
その直後にジュープが牧場を訪れますが、新作のショーのチケットを渡しに来ただけでした。
【クローバー】夜、OJは納屋の扉が開いていることに気づきます。
見に行ってついていた電気を消しますが、また電気がつきます。
警戒していると人影のようなものが目に入りました。
それはまるで異星人のような姿をしています。
OJは「無理だ(NOPE)。
俺は抜ける」と言って慌てて逃げようとしますが、全部ジュープの子供たちのいたずらでした。
そこにエムが顔を出し、クローバーがいないと伝えます。
エムは監視カメラの映像を確認します。
しかしカメラの前のカマキリが邪魔でよく見えません。
同じ頃、職場でOJの家の映像を見ていたエンジェルがそれに気づいてエムに電話し、リモートで映像を見ていたことがバレてしまいます。
【転】NOPE/ノープ のあらすじ③
クローバーはOJを振り払って走り去っていきました。
そこに突如砂煙が巻き起こり、置いてあった木馬が上空へと吸い込まれていきます。
OJは雲の中に何かがいると気づきました。
納屋へ逃げ込みますが、上空に円盤のようなものが出現します。
クローバーが上空に舞い上がり、UFOに吸い込まれました。
翌日、エムはホルスト監督に電話をかけ番組撮影を持ちかけますが、軽くあしらわれてしまいます。
そこにエンジェルがやって来て、おかしな雲のことを指摘しました。
監視カメラに映る牧場のかなたにある雲が、全く動いていないのです。
「オプラ級だ!」とエムは興奮します。
【ゴーディ】子役のジュープや少女たちが番組撮影に臨んでいました。
突如風船が割れ、悲鳴が響き渡ります。
—静寂の中、ジュープ少年は机の下に隠れていました。
血まみれのゴーディが辺りを徘徊し、なだめようとした男性にも襲いかかります。
直後、ゴーディはジュープに気づき、ジュープに拳を近づけてきました。
そこにジュープが手を伸ばした瞬間、ゴーディは射殺されます…大人になったジュープはそれを思い出していました。
【ラッキー】OJは牧場で、ジュープが持ってきたショーのチケットをみつけます。
パークではまさしくそのショーが始まろうとしていました。
会場にはゴーディに襲われた元子役の女性も訪れていました。
毎週金曜にやってくる円盤の話をしながら司会進行をするジュープの横には、檻に入ったラッキーがいます。
そこに砂煙が巻き起こりました。
観客たちは目撃したUFOに驚きますが、みな正方形の口のようなものに吸い込まれていってしまいます。
OJがやってくと、そこにはラッキーだけが残されていました。
そこに再びUFOが来て、強風にあおられたOJは気絶してしまいます。
しばらくして目を覚ましたOJは、車にラッキーを乗せ、エムに電話をかけました。
「UFOじゃない。
人を食ったんだ。
あれは生きている」
【結】NOPE/ノープ のあらすじ④
家の電気が消え、エムが「この上にいる」とエンジェルに言いました。
UFOからは観客の悲鳴が聞こえ、カギや硬貨など消化できないものが観客の血と一緒に降り注ぎます。
家へ向かっていたOJの車のエンジンが停止し、上空から木馬が落ちてきました。
OJはUFOが去るのを待ちます。
夜が明け、家へ戻ったOJはエンジェルの車に乗り換え、エンジェルとエムを乗せて走り出します。
そして鏡を見て暴れ出したラッキーのことを思い出し「目を見るな」と言いました。
そこにホルスト監督から協力したいと連絡が来ます。
そして3人は再び牧場へ戻りました。
OJはUFOに「Gジャン」という名前をつけ、気管につまる旗などが苦手だろうと考えました。
駆け付けた監督は手巻き式のカメラも用意しています。
【Gジャン】各自配置場所につきます。
OJはたくさんのスカイダンサーが揺れる牧場内で、ラッキーにまたがっていました。
そこへバイクに乗った記者がやってきてしまい、Gジャンに飲み込まれてしまいます。
OJは下をむいたまま走り、それをGジャンが追います。
OJが万国旗を出し、それを見てGジャンがひるみました。
Gジャンを撮影するため監督も立ち上がりますが、気づいたGジャンが監督を襲います。
監督は飲み込まれながらもずっと撮影を続けました。
その後エンジェル、エムも襲われますが危うく難を逃れます。
Gジャンはクラゲのような形に変形していました。
OJが注意をひきつけている間にエムは記者が乗っていたバイクで走りだし、それをGジャンが追い始めます。
エムはパークまで走り、落ちている硬貨を拾って記念撮影装置に入れ、撮影を開始。
Gジャンはエムが飛ばした巨大なカウボーイ人形のバルーンを飲み込むと、それが内部で爆発し、自滅してしまいました。
エムは歓喜の声をあげ、パークには警察やマスコミが駆け付け始めます。
その後エムの視界の先に、ラッキーに乗って佇むOJの姿があったのでした。
NOPE/ノープ を観た感想
ジョーダン・ピール監督らしい、ただのミステリーやホラーではないと感じさせられる練りに練られた脚本が秀逸な作品です。
一見よくありそうなUFO映画のようですが、そこに人種差別や社会批評などを絡ませて鋭く描いています。
前作の「ゲット・アウト」や「アス」と通じるものがありますね。
特にチンパンジーのゴーディのエピソードは、「見る」「見られる」という現代の“見世物社会”の危険性を強く訴えているようでした。
なんとかGジャンを写真に収めようとする人間に対して、Gジャンは目を見ると襲いかかる、というのも、なんとも皮肉というか面白いなと感じました。
深く掘り下げて理解しようとすると少し難しいかもしれませんが、UFOのような生き物のような奇妙な未確認生物との死闘を楽しむという見方でも、十分楽しめる作品だと思います。
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