映画「バスケットボール・ダイアリーズ」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|スコット・カルヴァート

映画「バスケットボール・ダイアリーズ」

監督:スコット・カルヴァート 1996年1月にアスミック・エースから配給

バスケットボール・ダイアリーズの主要登場人物

ジム・キャロル(レオナルド・ディカプリオ)
主人公。高校ではバスケットボール部に所属。自分の詩集を出版するのが夢。

ミッキー(マーク・ウォールバーグ)
ジムのクラスメート。手癖が悪くケンカっ早い。

ボビー(マイケル・インペリオリ)
ジムとは3歳の頃から一緒。チーム屈指の好選手だが現在は闘病中。

スウィフティ(ブルーノ・カービー)
ジムの所属チームのコーチ。性的少数者であることを隠している。

レジー(アーニー・ハドソン)
ジムのバスケ仲間。アフリカ出身だが白人とも仲がいい。

バスケットボール・ダイアリーズ の簡単なあらすじ

バスケットボールのチームで活躍していたジム・キャロルの生活が荒んでいったのは、一番の親友・ボビーの死があまりにもショックだったからです。

軽い気持ちから違法な薬物に手を出して止められなくなり、高校もドロップアウトしてしまいます。

同じ苦しみを経験したレジーの助けを借りて中毒症状を克服したジムは、少年院で更正して社会復帰を果たすのでした。

バスケットボール・ダイアリーズ の起承転結

【起】バスケットボール・ダイアリーズ のあらすじ①

昼は悪友とバスケ、夜は親友と詩作

ニューヨークのミッションスクールに通っているジム・キャロルは、毎日のように神父に逆らって体罰を受けていました。

放課後には同じく問題児のミッキーと街に繰り出して、飲酒・喫煙・シンナーとやりたい放題をしています。

そんなジムの特技はバスケットボールで、コーチのスウィフティだけでなく大学のスカウトマンからも目をかけられているほどの腕前です。

試合が終わってハンバーガーショップで打ち上げを済ませてから、幼なじみのボビーの入院先へお見舞いにいきました。

ジムを上回る優秀なバスケットボールプレイヤーでしたが、2年前に白血病と診断されてからはほとんど外出していません。

落ち込みがちなボビーを車イスに乗せたジムは、消灯時間にこっそりと病院を抜け出して真夜中のニューヨークを案内してあげました。

以前にふたりで遊びに行った映画館の前を通りかかった時に、ひそかに詩を書いていることを打ち明けます。

ホテルで清掃員をしている母親を楽にするためは、高校を卒業するまでに詩人になるか就職先を見つけなければなりません。

【承】バスケットボール・ダイアリーズ のあらすじ②

限りのある若さと青春を浪費

病魔と闘っていたボビーでしたが16歳の誕生日を迎えて間もなく力尽き、ジムが教会で対面したのは信じられないほど細くなった遺体です。

公園でサンドイッチを食べている時に見ず知らずの男に射殺された者、薬物の過剰接種で屋根から転落して亡くなった者。

ミッキーが言うには人間の命には限りがありすべては運命だそうですが、ジムは納得できません。

自暴自棄になってコールガールを相手に初体験を済ませたジムは、彼女に勧められるままにヘロインを打ってみました。

大切な友だちを失った痛みや悲しみ、母を心配させてばかりの罪悪感さえも消え去っていきます。

最初は土曜日の夜にほんの退屈しのぎで使用していただけでしたが、すぐに回数が増えていき依存度も強くなっていく一方です。

より刺激的なドラッグを購入するためには母からもらう小遣いでは足りないために、ひったくりや自動車泥棒にまで加担するようになりました。

授業の合間の休憩時間やトレーニング中、数少ない慰めだった詩の創作にも興奮剤が手放せません。

【転】バスケットボール・ダイアリーズ のあらすじ③

神に見捨てられた少年

控室でシャワーを浴びている時にスウィフティから個人的な関係を迫られたジムは、それ以来気まずくなり練習もサボりがちです。

スタミナが落ちてきてプレーにも精細を欠くようになり、レギュラーメンバーから外されてしまいました。

薬物使用を疑っている神父はジムとミッキーのロッカーを抜き打ちでチェックしましたが、証拠品は発見されません。

全米高校選手権への出場の自粛と1週間ほどの停学処分を言い渡されたふたりは、その場の勢いで学校を辞めてしまいます。

言い争いの末に家出をした我が子が無事に帰ってくるように、母は夜遅くまでマリア様に祈りをささげていました。

不良少年たちが集まるビリヤード場、薬物中毒者のたまり場、閉店後のダイナー、顔なじみの女の子が寝泊まりするアパート… ニューヨーク市内をさ迷い歩いた末に行き倒れたジムを保護してくれたのは、以前によく公園のバスケットコートでスリー・オン・スリーをして遊んでいたレジーというアフリカ系の男性です。

【結】バスケットボール・ダイアリーズ のあらすじ④

地獄の底から生還

かつてのレジーもヘロインを乱用して地獄を見たほどでしたが、自分ひとりの力ではい上がってきました。

暴れ回るジムを頑丈な部屋の中に入れてにカギをかけ、禁断症状が完全に抜け切るまで閉じ込めておきます。

ようやく大人しくなってまともに食事が取れるようになった時に、レジーが差し出したのは道ばたで拾っておいたジムの日記帳です。

ジムの文章が大好きなこと、いつか本になったら自分の名前を恩人として書いてほしいこと。

レジーと別れて久しぶりに自宅まで母の様子を見に行ったジムでしたが、チェーンがかかっていて中に入れてもらえません。

ドアを繰り返したたいていると通報を受けて駆け付けた警察官に逮捕されてしまい、6カ月の少年院送致が決まります。

暴行、恐喝、逮捕への抵抗、麻薬所持… 仲間たちのうち何人かは学校を退学になり、麻薬の売人をビルの屋上から突き落としたミッキーは5年〜15年は出てこれないでしょう。

17歳に出所したジムは自らの体験をもとにした「マンハッタン少年日記」を発表し、22歳までに3冊の詩集と4枚のアルバムを完成させるのでした。

バスケットボール・ダイアリーズ を観た感想

撮影当時はまだ20歳だったというディカプリオが、アメリカン・ハイスクールの制服を身にまとった初々しい姿を披露していました。

黒いトレンチコートに着替えたジムが校内で銃を乱射する幻想的なシーンは、あくまでも授業中に居眠りをしている夢の中の出来事という設定です。

1995年の公開当時に本国アメリカで高校生に与えた衝撃は相当だったようで、4年後にコロンバインで起きた銃撃事件の引き金になったという逸話もあります。

ドン底へと転がり落ちていくジムが、辛うじて人の道に踏み止まるラストにわずかな救いを感じることができるでしょう。

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