監督:中川龍太郎 2020年2月にキグーから配給
静かな雨の主要登場人物
行助(仲野太賀)
本作の主人公。足が悪いが自分のことは自分でやっている。大学の研究室に勤めている。こよみの作るたい焼きが好きで毎日買いに行く。
こよみ(衛藤美彩)
たい焼き屋の店主。事故に遭ってしまう。
斉藤真理(三浦透子)
行助の職場の大学院生。行助とこよみの仲に興味深々。
静かな雨 の簡単なあらすじ
大学の研究室に勤める行助は、こよみのたい焼き屋に毎日通う日々を過ごしています。
足の悪い行助ですが、一人暮らしをし、ちゃんと働き自立していました。
ある日、こよみの姿を見つけて行動を共にし思い切って連絡先を渡すと、このみは行助のおでこにキスしてくれるのでした。
しかし、その後こよみは事故に遭ってしまい記憶が…。
静かな雨 の起承転結
【起】静かな雨 のあらすじ①
行助は足の不自由な青年です。
こよみは行助に初めて会った時、目が半分ずつだったと告げます。
半分は惹き込まれそうな湖みたいな静かな目で、半分は諦めの目。
でもそれをこよみは嫌いじゃないといいます。
大学の考古学研究室に勤める行助は、給料が低いながらも働き続けます。
その理由は、通勤途中にこよみが店主を勤めるたい焼き屋さんがあるからでした。
行助は一日一回、たい焼き屋でこよみとたわいのない話をすることが日課となっていました。
教授は、60歳まで日記を書き続けてきた男が日記を燃やしてしまい、けれど次の日も新たに日記を書き始め、その老人の60年はどこに消えたのでしょうか?と聞いてきました。
それに行助は答えられません。
ある日、たい焼き屋に酔っ払いがきていました。
そこに行助がきて、その酔っ払いを介助しましたが、フラフラした酔っ払いの行動がエスカレートし、たい焼き屋の招き猫が割れてしまいました。
さらに自転車を倒した酔っ払いに、こよみは怒鳴るのでした。
【承】静かな雨 のあらすじ②
行助はこよみに、たい焼きの美味しさの秘訣を教えてもらいます。
名前を教えあったり、たい焼き屋に通うたびに少しづつこよみのことを知って行きます。
こよみは、美人だけれど少し影のある女性です。
仕事帰り遅くなった行助がたい焼き屋によると、たい焼きは売り切れていましたが、こよみは少しこげたたい焼きを行助に無料で渡しました。
行助とこよみは2人で腰を掛けて、たい焼きを食べるのでした。
すると、こよみは昔飼っていたりすがクルミを隠すけれど、隠したことを忘れてしまいリスが亡くなったあとクルミを見つけるたびに悲しかった話をしてくれました。
行助は、小学生の頃ザリガニ釣りをしていた時ハサミを片方しかないザリガニを釣って、それが恥ずかしく思い釣れなかったと嘘をついた話をしました。
教授にこのみといる所を見られて、同僚の斉藤にどんな相手か根掘り葉掘り聞かれます。
仕事が早く終わった行助は、たい焼き屋をのぞくとまだ、準備中でした。
しかし、酔っ払いの男をみているこよみを見つけました。
こよみは行助を誘って、酔っ払いの男を尾行します。
こよみは、お酒が強くないのにお酒を飲んでいる酔っ払いの切なさを知り、行助と酔っ払いについて語り合います。
この話は世界の話だというのでした。
【転】静かな雨 のあらすじ③
こよみを途中まで送り、行助は帰ります。
しかしその後行助はこよみを呼びとめて、たい焼きの紙に電話番号を書いてこよみに渡すのでした。
こよみは、行助のおでこにキスをしました。
その後雨が振り出しますが、満月がキレイにみえるのでした。
しかし、その後こよみは事故に遭い、たい焼きに書いた連絡先のおかげで行助の携帯に病院から連絡が入ります。
こよみは、頭を打っていてなかなか目を覚ましません。
医師によると、頭を強く打っていて命の別状はないけれど、目が覚めたら何かしらの障害が残ると言われてしまいました。
こよみの母が病院に来て、行助をこよみの彼と間違えます。
どこか他人事のような母は、逃げるのか?と行助を責めます。
こよみの面倒見てといい、帰り際にお金が足りなかったら連絡してと名刺を置いていくのでした。
こよみはなかなか目を覚まさず、たい焼き屋はパチンコ屋の駐車場に店を構えていて、店長は、営業を再開しないとどいてもらうかもしれないといいます。
その店長から、こよみはもともとパチンコ店によく訪れていて稼いでいたと教えてくれました。
行助は、この関係ではしてあげたいことをしてあげられないと嘆きました。
【結】静かな雨 のあらすじ④
行助は、こよみのことを何も知らないと悩んでいた時、こよみはやっと目を覚ましました。
医師が言うには、古い記憶はあるけれど、新しい記憶が定着しなくなっているということです。
それでも、こよみは元気になり退院しました。
最初は大丈夫だというこよみでしたが、行助に電話をかけて呼び出します。
時が経っていることに混乱しているこよみに、行助は一緒に住みませんかといいました。
一緒に暮らし始めますが、朝になるとこよみの前日の記憶は無くなり、毎朝事故の後のことから説明する日々が始まります。
行助は、こよみの元カレ貴志とたい焼き屋の前で遭遇しました。
こよみが事故に遭って、出張に合わせて会いに来たのでした。
行助は、貴志に彼女のことをお願いしますと頼まれ動揺しました。
家に帰ると、夕飯はこよみの作ったブロッコリーの入ったシチュー。
「ブロッコリーは好きじゃない。
この前もいったじゃん。」
といいながら行助は泣きながら元カレに会ったことを伝え、自分のことは覚えていないのに元カレのことを覚えていることに胸を痛めていると話します。
そんな行助に言葉を無くしたこよみは家を出て行きました。
しかし、行助はキッチンで、行助がブロッコリーを嫌いだからこよみが忘れないように何度もそのことを書いているメモを見つけます。
行助は悪い足をひきづりながらも足早にこよみのことを探します。
明け方になり行助はこよみを見つけ一緒に家に帰り、ソファで話ながら眠りますが、こよみは眠りたくないと言い行助は大丈夫だよと言うのでした。
記憶が腸に宿らないかと考える行助に教授は、日記を燃やしたのは自分の父親だと伝え、味の記憶は忘れないという話をしてくれました。
行助とこよみは、寒い方がたい焼きは美味しいと外で一緒にたいやきをほおばるのでした。
静かな雨 を観た感想
なぜ行助が足が悪くなったのか説明はありませんが、こよみさんに話したザリガニのエピソードできっと子どもの頃から足が悪かったのだということと、足の悪い自分にコンプレックスを抱いていることがわかります。
この映画は、行助が足をひきづりながら歩くテンポで行助の精神状態を上手に表していると感じます。
こよみを探す時は最大限の早さでした。
こよみは、事故後に付き合い始めた行助との日常を次の日には忘れてしまいますが、「眠りたくないな」という言葉が行助にとって最高に幸せな愛の言葉だと思います。
こよみが行助のおでこにキスをしたのが、事故に遭う前の出来事だったということが救いです。
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