監督:斉藤光正 1979年12月に東宝・東映から配給
戦国自衛隊の主要登場人物
伊庭義明三等陸尉(千葉真一)
本作の主人公。戦闘力に優れた人物で、戦国時代の天下取りに魅了されていく。
長尾景虎(夏木勲)
自衛隊に魅了された戦国武将。当初は伊庭らと共闘するも、後に敵対者となる。
武田信玄(田中浩)
戦国時代の武将。長野にて自衛隊と対決する。
武田勝頼(真田広之)
戦国時代の武将。自衛隊の近代兵器を破壊するほどの強者。
戦国自衛隊 の簡単なあらすじ
演習地に向かっていた自衛隊員たちは、海岸で不思議な光に包まれました。
するとそこは戦国時代で、戦車やヘリなど兵器もろともタイムスリップしていたと判明するのでした。
彼らの前に戦国武将の長尾景虎が出現し、やがて武田信玄を打倒するため共闘し始めます。
しかし厳しい世界では近代兵器と自衛隊員の命がことごく失われていき、残された隊員たちは窮地に陥っていくのでした。
戦国自衛隊 の起承転結
【起】戦国自衛隊 のあらすじ①
ある時に伊庭三等陸尉(千葉真一)率いる21名は、戦車や装甲車やヘリコプターといった近代兵器と共に、新潟の演習地に向かっていました。
すると突如として謎の閃光が発生し、彼らは時空を超えます。
気がつけば目の前にはこれまでと違った風景が広がって、武士の攻撃に晒されているのでした。
事態を飲み込めない彼らの元に、長尾景虎(夏木勲)とその家来がやってきました。
景虎は伊庭らの服装や持っている兵器を魅力的に思い、自衛隊員を仲間にしようと考え始めます。
そこへ再び敵襲があって何人かの自衛隊員らが死亡するも伊庭は機関銃によって敵勢力を撃退。
それに呼応した景虎が敵を切り裂き敵将を滅ぼして窮地を脱しました。
しかし高島一等海士が錯乱して爆薬を爆破させようとし、矢野陸士長がナイフで彼を刺し殺す事件が起きたりと、時空を超えてきた彼らにはメンタルの異常も出始めます。
こうした戦いが続く中で、自衛隊員たちは徐々に自分たちが戦国時代にタイムスリップした現実を理解していくのでした。
【承】戦国自衛隊 のあらすじ②
自衛隊員らは景虎ら武士たちと次第と打ち解けるようになり、地元の農民たちも自衛隊員との交流を始めます。
三村一等陸士(中康次)は現地の娘と恋仲になって行く様子もあり、根本ニ等陸士は魚獲りの少年一家と親しくなるのでした。
しかし当初から演習の脱走を企てていた菊池一等陸士は、タイムスリップの現実を直視しませんでした。
待ち合わせをしていた和子と会うため、部隊を離れてしまいます。
そして落ち武者に襲われてしまい、一緒にいた西沢一等陸士が殺されて、菊池本人は断崖から落下してしまいます。
そこで場面は現代に移り変わると、和子はそんな菊池のことはつゆ知らず、待ち合わせ場所で菊池を待ち続けるのでした。
そんな時、当初から事件を起こしていた問題児の矢野は、仲間と一緒に哨戒艇を奪い取ると、周囲の村を襲って略奪や殺人など好き放題に暴れ始めます。
そこで対峙した伊庭はライフルの名手三村に狙撃させて、やがて矢野を射殺すると同時に哨戒艇を爆破して、収束を図ったのでした。
【転】戦国自衛隊 のあらすじ③
景虎と共に天下を手中にするため、伊庭らは新潟から京都へ進撃しはじめます。
景虎は信濃で浅井・朝倉を迎え撃ち、伊庭は正面から武田信玄(田中浩)と対峙することになります。
すでに現地では鉄の船、鉄の馬と呼ばれ出した近代兵器の攻撃力を駆使し、自衛隊は当初快進撃を続けていました。
しかし武田側は戦術によってそれに対応したので、自衛隊軍は徐々に劣勢に追い込まれて行きます。
そしてヘリコプターが低空にとどまっている時に武田勝頼(真田広之)が内部に飛び込み、ヘリ搭乗員を殺害したために撃墜されてしまいます。
その後も戦車や装甲車などの兵器が次々と機動不能に陥り、弾薬もなくなってしまうなど、伊庭らは徐々に戦力を失っていくのでした。
劣勢の伊庭は戦略を変更し、信玄との一騎打ちを狙います。
馬を奪って武田軍の猛攻を突っ切ると信玄と対決、拳銃で射殺しました。
そこへ襲いかかってきた勝頼までも討ち取って、武田軍に勝利してしまうのでした。
【結】戦国自衛隊 のあらすじ④
自衛隊は武田軍に勝利したとは言え、全ての兵器を失っており、隊員の多くは死亡している状況でした。
そこで生存している数少ない隊員は、元いた現代に戻りたいと考えはじめ、最初の補給地へ戻ってタイムスリップが起きるのを期待しようとの話になります。
しかし伊庭だけは戦国時代に魅了され、天下取りしか眼中になくなっているのでした。
そんな時に長尾景虎は京都御所へと呼ばれて足利義昭と対面し、正体のわからない伊庭と共闘する景虎は、朝敵となると警告されてしまいます。
そのために景虎は路線を変更し、伊庭の抹殺へと舵を取り始めました。
そして笑顔の再開を果たした伊庭と景虎が、ついに対決する時が来ます。
抜刀して相対する2人でしたが、景虎が手にしたカービン銃によって、伊庭は殺害されます。
残った隊員らも、景虎の兵士による弓矢を浴びてこの世を去っていきました。
全滅した自衛隊員らの亡骸は、廃寺に持ち込まれて炎によって焼かれていくのでした。
戦国自衛隊 を観た感想
当然ながら自衛隊近代兵器が圧倒する展開が見られますが、次第と戦国武士の戦略と強さは自衛隊を凌駕するものとなっていきました。
伊庭らは自分たちの力を過信し、弾薬が無くなることも考えずに突き進み過ぎたので、半ば自滅に近い感じになったように見えます。
兵器が戦国武士に通用するかという見どころの他、登場人物の壊れっぷりも見るべきところになっていました。
そもそもリーダーが戦闘狂のような人物だったのが、彼らの運の尽きでした。
もう少し頭の良い人が隊の中にいて、敵対しないで生き残る方法を模索できたら違った未来があったかもしれません。
しかし実際タイムスリップで戦国時代に移ってしまったら、多くの人は冷静な思考ができなくなることは否めないと思います。
それにしても武田信玄と勝頼はもっと強いイメージがあるので、あっさりと死に過ぎたという感も否めません。
最終的に自衛隊は全滅したわけですが、現代になって遺跡から残骸が見つかる展開も面白いな想像してしまいました。
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