監督:ジョン・ラセター、ジョン・ランフト 2006年6月にウォルト・ディズニー・スタジオ・モーション・ピクチャーズから配給
カーズの主要登場人物
ライトニング・マックィーン(声・土田大)
本作の主人公。真っ赤なボディの新人レースカーで、ラスティーズというチームに所属している。ピストンカップ優勝を狙っている。自己中な性格。
メーター(声・山口智充)
ちょっと天然で陽気なレッカー車。マックィーンに興味を持ち、世話を焼いているうちに仲良くなる。
サリー・カレラ(声・戸田恵子)
本作のヒロイン。ラジエーター・スプリングスの敏腕弁護士。後にマックィーンの恋人になる。
ドック・ハドソン(声・浦山迅)
ピストンカップ3連覇の元レーサー。レース中の事故で引退を余儀なくされ、現在はラジエーター・スプリングスで判事と医者をしている。
マック(声・立木文彦)
マックィーンの専属トレーラー。マックィーンにこき使われているが、密かに頼りにされている。
カーズ の簡単なあらすじ
『カーズ』は、2001年の制作開始から、公開の2006年まで長期間に渡って、実際にアメリカにあるRoute66を舞台とした長編アニメ作品です。
人間や動物は一切登場せず、虫や動物は車化、そして車を擬人化するという斬新な設定で、若きレースカーであるライトニング・マックィーンの成長を描いています。
一見カーレースのアクションものっぽいですが、実際は濃い人間ドラマが繰り広げられます。
カーズ の起承転結
【起】カーズ のあらすじ①
新人レースカーのライトニング・マックィーンは、ピストンカップで史上初のルーキー優勝を狙っていました。
レース序盤は無名でしたが、最終レースでは、優勝候補のキングとチック・ヒックスと肩を並べるほどに頭角を現していました。
チック・ヒックスは進路妨害や体当たりなど、汚い手を使ってライバル達を蹴散らしていきますが、マックィーンはその妨害に屈することなく、タイヤ交換をせずにトップに躍り出ます。
ですが、チームの意見を無視した結果、残り1周というところでタイヤがバーストしてしまい、最大のピンチを迎えます。
キングとチック・ヒックスに追い付かれ、結果は3台が同着に。
1週間後にカリフォルニアで優勝決定戦を行うことになりました。
マックィーンはインタビューの時もチームメイトを邪険にし、クビにしてしまいます。
キングはチームを大事にしろとアドバイスしますが、自分を過信しているマックィーンは聞く耳を持ちませんでした。
その後、マックィーンは急いでカリフォルニアに向かうため、トレーラーのマックに夜通し走るように伝えますが、睡魔に負けたマックは、マックィーンを途中で高速道路に落としてしまい、知らずに走り去りました。
マックを見失ったマックィーンは、ラジエーター・スプリングスという小さな町に迷い込むのでした。
【承】カーズ のあらすじ②
夜のラジエーター・スプリングスで暴走を繰り返したマックィーンは、警察官のシェリフに逮捕され、交通裁判にかけられます。
判事のドック・ハドソンはマックィーンがレースカーだとわかると、すぐに追い出そうとしますが、弁護士のサリーの助言で、マックィーンは壊した道を修理することになりました。
マックィーンは足枷を外されたタイミングで逃げ出そうとしましたが、ガソリンが抜かれていてすぐに連れ戻されました。
ふてくされるマックィーンは、適当なやっつけ仕事をしますが、ドックにバレてしまい、すぐにやり直す羽目になりました。
マックィーンが自分はレーサーだと主張すると、ドックは自分とレースをして勝ったら出て行っていいと言いますが、崖下に落ちてしまい、結局道路を直すことから逃げられませんでした。
メーターはマックィーンに興味を持ち、自分の好きな遊びを教えて親交を深めていきます。
そして、今度は真面目に道を直し始めたマックィーンを、ドックは少し見直すのでした。
【転】カーズ のあらすじ③
マックィーンは偶然ドックの倉庫でピストンカップの優勝カップを目撃し、彼が伝説のレーサーであるハドソン・ホーネットだと知りました。
マックィーンは町のみんなにその事実を伝えようとしましたが、誰も信じようとはしませんでした。
その後、サリーは気分転換にマックィーンをドライブに誘います。
そこで、マックィーンはラジエーター・スプリングスが昔は賑わっていたこと、サリーはこの町が好きでずっととどまっていることを聞きました。
さらに、ドックがレース中の事故で再起不能になり、復帰できる頃には自分の居場所はなくなっていたという話を聞き、「お前は誰かのために行動したことがあるのか」と改めて聞き返され、ハッと我に返ります。
その言葉に心を打たれたマックィーンは、燃料やタイヤを買ったり、ボディペイントをしたりして、町のみんなの売り上げに貢献しました。
そんな彼の心境の変化に、サリーも惹かれていきますが、突然マックのトレーラーとマスコミが現れ、マックィーンはお別れを言う間もなく、ラジエーター・スプリングスを去ることになってしまったのでした。
【結】カーズ のあらすじ④
レース直前になっても、マックィーンは心ここにあらずで、ラジエーター・スプリングスのことばかり思い出していました。
マックがクルーチーフを引き受けてくれましたが、マックィーンは不安だらけで弱音を吐いてしまいます。
そこに突然、ドックの声が聞こえてきて、マックィーンはみんなが応援に駆けつけてくれたことに気づきました。
ですが、チック・ヒックスにタイヤをパンクさせられ、マックィーンはパニックになってしまいます。
ドックの誘導でピットに戻ったマックィーンは、グイドの素早いタイヤ交換のおかげで遅れを取り戻し、トップになりました。
ですが、ゴール寸前でチック・ヒックスに体当たりされたキングが、走れないほどのダメージを受けてしまいます。
その姿をドックに重ねたマックィーンは、走るのをやめ、キングの元に駆けつけました。
その隙にチック・ヒックスはゴールしますが、マックィーンはキングを後ろから押し、一緒にゴールしました。
その姿に観衆も感激し、優勝したチック・ヒックスはブーイングを受けました。
ドックは心からマックィーンを褒め、キングも最後まで走り切れて良かったとお礼を言いました。
ダイナコの社長はマックィーンをスカウトしますが、マックィーンは辞退し、その代わりにメーターのヘリに乗りたいという夢を叶えてあげるのでした。
そして、かけがえのない仲間を得たマックィーンはラジエーター・スプリングスを本拠地に据えることにするのでした。
カーズ を観た感想
最初は子供向けアニメだと高をくくっていましたが、傲慢だったマックィーンが人の痛みや思いやりがわかるようになっていく過程がとてもリアルで、最後には泣きそうになってしまいました。
マックィーンにとっては、ラジエーター・スプリングスに迷い込んだのは偶然の災難だったとしても、自分を見つめ直すいい機会になったという意味では、突っ走って来た自分を止めてくれたというサリーの話と似ているのかもしれないと思いました。
人を陥れて勝利を得たチック・ヒックスが受け入れられなかったように、何かを犠牲にして得た幸せは、本当の意味での幸せでないし、優勝カップなんてタダの飾りだと言ったドックの言葉がとても言い得て妙だと思いました。
改めて人との出会いや絆を大切にしようと思えた作品でした。
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