映画「整形水」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|チョ・ギョンフン

映画「整形水」

監督:チョ・ギョンフン 2021年9月にトムス・エンタテインメントから配給

整形水の主要登場人物

イェジ/ソレ(沢城みゆき)
本作の主人公。昔から自分の見た目に強いコンプレックスがある。

ジフン(諏訪部順一)
イェジの事務所に新人タレントとして入ってきた美男子。

施術者(たかはし智秋)
イェジに整形水を送り付けた女性。自らも整形水の力で美しくなった。

ミリ(上坂すみれ)
事務所の人気美人タレント。高慢で他人を傷つけることをいとわない。

整形水 の簡単なあらすじ

韓国発大人気ホラー漫画「奇々怪々」から短編をアニメーション映画化したものです。

タレント事務所でメイクの仕事をしているイェジは、小さいころから自分の見た目に強いコンプレックスがありました。

ある日ひょんなことから整形水という謎の美容商品が届きます。

それは顔や体を浸すだけで思い通りの容姿に生まれ変わらせてくれる奇跡の水だったのです。

美しく生まれかわり順風満帆のはずのイェジですが、次第に不穏な出来事が起こり始めます。

整形水 の起承転結

【起】整形水 のあらすじ①

奇跡の水が届く

タレント事務所でメイクの仕事をしているイェジは、小さいころから自分の見た目に強いコンプレックスがありました。

才能があったはずのバレエですら、醜いというだけで評価されなかったトラウマから心を閉ざしています。

所属タレントのミリ先輩もイェジの醜さをあざ笑いつらく当たります。

心のよりどころは新人タレントのジフン。

彼は自分の美しさを鼻にかけない好感の持てる青年でした。

さらにイェジの体系や見た目を馬鹿にせず、ただ「きれいな目の色をしている」とほめてくれました。

ある日偶然テレビ番組に出演したイェジは、SNSにて見た目の誹謗中傷をうけます。

傷つきながらギリギリのところで生きてきたイェジには耐えられない仕打ちでした。

ショックから仕事にもいかなくなり、部屋に引きこもり続けていたイェジは自暴自棄で“整形水”という謎の美容商品モニターに応募します。

届いたそれは顔や体を浸すだけで思い通りの容姿に生まれ変わらせてくれるという奇跡の水だったのです。

【承】整形水 のあらすじ②

生まれ変わったイェジ

その水は、20分浸かることによって粘土のように全身の肉を変形させることのできる商品でした。

さっそく整形水を使用してみたイェジでしたがコツがつかめず、首から上だけがアンバランスに細くなり、二重まぶたはガタガタでとても不自然な仕上がりです。

困り果てたイェジは送り主の女性を訪ねてみることにしました。

訪ねてみた彼女もまた、整形水で美しくなったひとりでした。

しかも驚くべきことにSNSで中傷されているイェジの写真を見て、商品モデルにさせるためわざわざ本名・住所・職業などを調べつくし連絡してきたというのです。

元が醜ければ醜いほど変身後との差がわかりやすくなりモデルとしては効果的です。

イェジは全身の施術をやり直してもらう代わりに、モデルとして契約することを選びます。

施術者の見事な形成によって、イェジはスタイル抜群、周りが振り返るほどの美人へと生まれ変わります。

そこに居るだけで男性たちは浮足立ち、スカウトされ、豪華な食事をご馳走してもらえる毎日。

イェジは今までの名前を捨て新しくキム・ソレと名乗りはじめます。

【転】整形水 のあらすじ③

浸かりすぎた末路

ソレは豪勢な食生活にだれきってしまい、形成してもらったプロポーションが崩れてきました。

ダイエットに励まず「芸能事務所に入れば体重管理をしてもらえるのだから」と手っ取り早く整形水に浸かることにしましたが、水のたっぷり溜まった風呂で居眠りをしてしまいました。

20分以上浸かったソレの全身は、肉が溶け出してしまい骨だけのような悲惨な状態です。

発見した両親は慌てて自分たちの肉を削いでソレにくっつけようとします。

ソレは一命を取り留めましたが痩せた両親では肉が足りず、つぎはぎのおそろしい姿になってしまいました。

再び施術者に泣きついたソレですが、彼女は顔と手だけしか治してくれません。

それ以上は莫大な費用がかかるとこともなげに断るのです。

激しい口論になり、ソレは衝動的に施術者を絞殺してしまいます。

これからの華々しい未来が潰えてしまうのを恐れたソレは、殺人を隠蔽しようとします。

幸い目の前には大量の整形水がありました。

ソレはなみなみと整形水の入った風呂場に死体を沈めその場を立ち去りました。

【結】整形水 のあらすじ④

暗躍していた人物

かつて自分がメイクの仕事をしていた事務所に今度はタレントとして入ったソレ。

あの頃気になっていたジフンはもう退所していました。

手を尽くしどうにかスポーツジムでジフンと再開したソレでしたが、もちろん自分がイェジだったことは言い出せません。

そのまま二人は恋人として交際することになりました。

ジフンの家に招かれたソレ。

飾ってある家族写真にはジフンが写っておらず二人の姉しかいません。

ひとりは誰もが目を惹かれる美しい姉、もうひとりはまるで似ていない醜い姉。

しかしジフンは醜いほうこそが天使のようで賢く尊い存在だったと褒めたたえます。

どこか不穏な雰囲気を感じ取ったソレは、彼の目が離れた間に閉ざされた部屋へ立ち入ってしまいます。

自分へのプレゼントがある!と喜び、卓上に置いてあった箱を開けるとなんと整形水がありました。

うろたえて近くの引き出しを手当たり次第に開けると、大量の女性の身分証明書が出てきました。

それは最近世間をにぎわせている婦女失踪事件の被害者たちの所持品だったのです。

ジフンの正体は醜いほうの姉でした。

整形手術を重ね、性別すらも超えた存在になっていたのです。

加えて女性たちを誘拐し、それぞれの持つ美しいパーツを整形水の原液ではぎ取って自分の体にコレクションしていました。

そしてソレの美しい瞳も彼のコレクションに加わることになってしまったのです。

うっとりと自分の足に張り付けたソレの瞳を見つめるジフンのもとに、タレント事務所のキム所長から電話がかかってきます。

「会長、また美しい娘をスカウトしてきました」という連絡でした。

整形水 を観た感想

韓国のアニメーションにはなじみがありませんでしたが、非常に恐ろしく面白い作品です。

ドメスティックなアニメと違い、どこかポリゴン調でデッサンの狂ったような動きがおどろおどろしくホラーテイストによく合っています。

短編のアニメ化ということで「世にも奇妙な物語」や「週刊ストーリーランド」「笑ゥせぇるすまん」の雰囲気を思い出す作風です。

その辺の不気味なオムニバスが好きな方に特におすすめしたいです。

80分でタイトに終わるのでサクッと見られるところにも好感を持ちました。

見終わった後、結局美しさと醜さの本質はなんだったんだろうと思いを馳せてしまいます。

元から美醜は人間の錯覚と執着にしかすぎないのかもしれません。

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