映画「ヒメアノ〜ル」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|吉田恵輔

映画「ヒメアノ〜ル」

監督:吉田恵輔 2016年5月に日活から配給

ヒメアノ〜ルの主要登場人物

森田正一(森田剛)
主人公。無職で昼間からパチンコ店に入り浸る。衝動的に罪を犯してきたために人生を諦めている。

岡田進(濱田岳)
森田の高校時代の友人。バイトがない日は家でダラダラと過ごしている。

安藤勇次(ムロツヨシ)
岡田の勤め先の職長。ひと目ぼれしやすく思い込みが激しい。

阿部ユカ(佐津川愛美)
ケーキとコーヒーのお店を開くのが夢。見かけによらず男性経験が豊富であざとい。

和草浩介 (駒木根隆介)
父親が経営するホテルで働く。弱みを握られているために森田には逆らえない。

ヒメアノ〜ル の簡単なあらすじ

職場の上司・安藤勇次と一緒に訪れたコーヒーショップで、岡田進は高校を卒業して以来疎遠になっていた森田正一と再会します。

つらい学生生活が原因で別人のように変わり果てた森田は次々と凶行を重ねていて、次に狙われたのはカフェの女性店員・阿部ユカです。

ユカを助けるために体を張って立ち向かった岡田を目の当たりにして、森田はつかの間だけ正気を取り戻すのでした。

ヒメアノ〜ル の起承転結

【起】ヒメアノ〜ル のあらすじ①

退屈な日常の終わり

清掃会社でアルバイトをしている岡田進には他にやりたいこともなく、これといった趣味や将来の目標もありません。

何となく焦りを感じていた岡田は勤務時間が終わってから、思いきって職場の上司・安藤勇次に相談してみました。

恋をしているために毎日がとても充実して幸せだという安藤に連れて行かれた先は、職場の近くにある「ロイヤル・ガーデン・カフェ」です。

カウンターで働いている若い女性・阿部ユカにひと目で好きになってしまった安藤は、彼女をオープンテラスの席からじっと見つめている男性客のことが気になっています。

彼の名前は森田正一で高校1年生の時に岡田と仲の良かったクラスメートでしたが、卒業して上京してからは会っていません。

最近になって森田から付きまとわれて悩まされているというユカの相談を受けて、安藤はボディーガードを申し出ます。

あわよくば彼女とお付き合いをしたいと考えていた安藤でしたが、ユカが前々から思いを寄せていた相手は岡田でした。

【承】ヒメアノ〜ル のあらすじ②

バレたら即アウトな人たち

失恋のショックから1週間も無断欠勤を続けている安藤の様子を岡田が見に行くと、部屋の中にはチェーンソーが置いてありました。

ユカを奪った場合にはバラバラにしてトイレに流すと宣言したために、岡田は慌ててその場を退散します。

バレさえしなければ大丈夫だとユカから唆されたために岡田は彼女とお付き合いを始めますが、安藤に本当のことは言っていません。

もんじゃ焼き屋での初デートの後にふたりは結ばれますが、家の外から一部始終を眺めているのは森田です。

仕事をしていない森田はホテルマンの和草浩介に、毎月の生活費を送金させていました。

近頃では要求される金額が多くなっていく一方で、和草はホテルのオーナーをしている父親に発覚しないかとハラハラしています。

和草が売上金の一部を金庫から持ち出していることに気がついたのは、婚約者でもあり経理を担当している久美子です。

高校生の時に森田と一緒にいじめられていたこと、主犯格の川島を撲殺して遺体を山の中に埋めたこと。

身内と言えども横領の容疑で逮捕されることもあると聞いた和草は、久美子と協力して森田の口を封じることにします。

【転】ヒメアノ〜ル のあらすじ③

高校生の時にやり残したこと

襲撃にやってきた和草と久美子をまとめて返り討ちにした森田は、死体に灯油をかけて火を付けてから逃走しました。

都心のアパートでひとり暮らしをしているOL、郊外の一戸建てに住んでいる夫婦、近所の交番からパトロールに来た警察官。

食欲と性欲の赴くままに面識のない人たちを手に掛けていく森田の次のターゲットは、すっかり幸せそうなカップルになった岡田とユカです。

警官から奪い取った拳銃を片手にふたりの居どころを探し回っていると、会社の前で安藤と鉢合わせをしました。

ユカへのストーカー行為を止めるように説得してきた安藤に対して、森田は2発ほど発砲するとその場を立ち去ります。

かろうじて急所を外れていた安藤は病院へ搬送されて、連絡を受けて駆け付けてきたのは岡田とユカです。

高校入学と同時に森田と仲良くなったこと、森田がいじめの標的になった途端に距離を置くようになったこと。

自分にも責任があることを告白した岡田は、ユカを自分の家に匿い森田に自首するように説得に行きます。

【結】ヒメアノ〜ル のあらすじ④

悪夢のようなゲームの終わり

森田が起こした一連の事件はニュースでも報道されるようになり、地元でも大騒ぎになっていました。

学校関係者を名乗り説明会を開くという名目で現住所を聞き出す不審な電話が、岡田の実家にかかってきます。

母親はついうっかり岡田のアパートの住所を教えてしまいましたが、その電話の主こそが犯人の森田だとは気が付いていません。

岡田が緊急110番に通報してから岡田が駆けつけた時には、既に森田は隠れていたユカを散々に殴りつけた後です。

ユカをかばって大ケガを負った岡田を人質にして、森田は停車していたワゴン車を奪って走り続けます。

道路の目の前に1匹の白い犬が飛び出してきたために、とっさにハンドルを切りますが避けきれません。

放課後にはお互いの家に遊びに行ってテレビゲームをしたこと、夏の暑い日には母親がキンキンに冷えた麦茶を持ってきてくれたこと、庭で犬を飼っていたこと。

大破した盗難車からパトカーへと移送される森田の胸の奥底には、岡田との楽しかった思い出の数々が戻ってくるのでした。

ヒメアノ〜ル を観た感想

さえないフリーターの日常と、心に闇を抱えた青年の狂気とが交錯していくサスペンススリラーです。

映画の前半だけ見ていると、モテない男ふたりがいかにして意中の女の子にアタックするのかをテーマにしたラブコメディーかと勘違いしてしまうでしょう。

壮絶な過去の記憶を封印した森田正一の登場によって、画面の中には一気にダークな雰囲気が漂い始めていきます。

暴走すると誰にも止められない森田役に起用されている、森田剛の怪演にはただただ圧倒されるしかありません。

道化師に徹している安藤からは「俺の天使ちゃん」と呼ばれながらも、ちょっぴり小悪魔なユカ役の佐津川愛美にも注目してください。

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