監督:M・ナイト・シャマラン 2002年9月にブエナ ビスタ インターナショナル(ジャパン)から配給
サインの主要登場人物
グラハム・ヘス(メル・ギブソン)
以前は信心深い牧師だったが、妻の事故死をきっかけに信仰を捨てる。現在は農作物を育てながら子供2人と弟の4人で暮らしている。
メリル・ヘス(ホアキン・フェニックス)
グラハムの弟。かつては野球選手として活躍した。
モーガン・ヘス(ローリー・カルキン)
グラハムの長男。喘息を患っている。宇宙人に関心が強く、本屋で宇宙人についての本を購入する。
ボー・ヘス(アビゲイル・ブレスリン)
モーガンの妹。言動が不思議めいている。
レイ・レディ(M・ナイト・シャマラン)
獣医。グラハムの妻・コリーンを事故死させたことにずっと負い目を感じている。ある日グラハムに電話をかけてくる。
サイン の簡単なあらすじ
「シックス・センス」で世界を驚愕させたM・ナイト・シャマラン監督の作品です。
畑に現れる無数のミステリーサークル、突然狂暴化する動物たち…ある日突然、世界中で現れ始めた不可思議な現象。
それはまるで何かの兆候=サインのようでした。
妻の事故死をきっかけに牧師をやめ、今は家族と農場を経営しながら平和に暮らしているグラハムの前にも、そのサインが忍び寄ってきます。
そしてついには侵略者の襲撃を受けますが、亡き妻の言葉を胸に、家族を守るため立ちはだかります。
サイン の起承転結
【起】サイン のあらすじ①
ペンシルバニア州バックス郡。
グラハム・ヘスはそこで弟・メリルとトウモロコシ農場を経営しながら、喘息持ちである息子モーガン、娘ボーと暮らしています。
かつては牧師をしていたグラハムですが、妻の死をきっかけに神への信仰を失っていました。
メリルはマイナーリーグで活躍した野球選手でしたが、すでに引退し、家には記録を出したバットが飾られています。
ある朝子供たちの姿が見えず、グラハムとメリルは探しに外に飛び出します。
子供たちはトウモロコシ畑の中にいましたが、畑には奇妙なミステリーサークルのようなものができていました。
それも一つではなく、多数です。
近所の子供のいたずらだろうと考えましたが、駆け付けた警官は普通ではないと言います。
さらに、近頃辺り一帯で動物が狂暴化するという謎の現象が起きていると教えてくれました。
そしてグラハムが飼う犬の1匹も突如狂暴になり、ボーに襲いかかったところをモーガンが殺してしまうという悲劇が起きてしまいます。
その夜、ボーが部屋の外に怪物を見たと言い出しました。
ボーは「水が汚染されている」と家のあちこちに水の入ったコップを置いたりする少し変わった子で、グラハムは取り合いませんでした。
しかし屋根の上に人影を見つけ、急いでメリルを起こします。
また近所の悪ガキだと思った2人は追い払おうと大声を上げ飛び出しますが、影はいなくなっていました。
翌日、警官がやってきましたが、2人は昨夜のことをきちんと説明できません。
テレビでは、世界各国でミステリーサークルが発生しはじめたことが報道されています。
グラハムの畑だけではないのです。
いたずらかそれとも宇宙人からのサインかと囁かれ、モーガンは、それが宇宙人のしわざだと言いました。
【承】サイン のあらすじ②
不安がる子供たちの気晴らしもかねて、グラハムたちは車で町に出かけました。
モーガンの薬を買いに寄った薬局で、グラハムは一連の事件に怯えている店員から懺悔の相談を受けます。
モーガンは本屋で宇宙人についての本を購入、メリルも用事を済ませ、一家はピザ屋で食事を楽しんでいました。
その時そばを通りかかった男に気付いたグラハムは、その男をじっと見つめます。
帰宅後、モーガンは地下室で見つけたという玩具のトランシーバーを取り出して遊んでいました。
するとトランシーバーから奇妙な音が聞こえます。
「宇宙人からの信号かな」とトランシーバーを上に高く掲げると、「ケロッ」と変な音が聞こえます。
夜になって、外で犬が激しく吠えだします。
グラハムは何者かの気配を感じてトウモロコシ畑に分け入っていきました。
最初は誰かのイタズラかと思ったグラハムですが、「ケロロッ」と奇妙な音が聞こえ、懐中電灯で照らした先で何者かの足を見てしまいます。
グラハムは気味が悪くなり、その場から逃げ出してしまいました。
家に戻ったグラハムがテレビをつけると世界中でUFOの出現が相次いでいるニュースが流れ、茫然とします。
グラハムはこれが何かのサインだと話しました。
グラハムの妻が亡くなる時、「見て、フルスイングして」とつぶやいたと語ります。
それは弟のメリルのことを思い出しての言葉だとずっと思っていました。
翌朝、テレビを見ていたメリルが世界中に出現したUFOが消えたとつぶやきます。
透明のシールドを張って姿を消したと思われ、そのシールドにぶつかった鳥が落ちていました。
モーガンとボーは町で買ってきた本に従って、銀紙で作った帽子を頭に被り始めます。
宇宙人に頭の中を読まれないためだと言うのです。
グラハムがその本を見ると、宇宙人が地球に来る目的は侵略であると書かれていました。
さらになぜか自分の家そっくりの家が宇宙人の攻撃を受けている挿絵が描かれていました。
【転】サイン のあらすじ③
家の電話が鳴りました。
相手は町のピザ屋で見かけたレイ・レディという男です。
グラハムはレイの家へ向かいました。
車の中にいたレイのシャツには血が滲んでおり、宇宙人に襲われたと話します。
そして自らの居眠り運転で事故を起こし、グラハムの妻・コリーンを死なせたことを懺悔しはじめます。
この事故によってグラハムは信仰心を失い、牧師をやめていたのです。
その後レイは家の中に宇宙人を1匹閉じ込めていると告げ、彼らは水が苦手だから湖の近くに避難すると言い残し、車で去っていきました。
恐る恐る家へ足を踏み入れたグラハムは貯蔵室の中に何者かの気配を感じ、台所の包丁を使って隙間から中を覗こうとします。
しかしその瞬間隙間から不気味な指が出てきて、とっさにグラハムはその指を切断してしまい、中からは悲痛な叫び声が響きました。
一方、家でテレビを見ていたメリルは、視聴者から投稿された宇宙人が映った映像を見て驚愕します。
グラハムが帰宅したときには、メリルも子供たちと一緒に頭に銀紙で作った帽子を被っていました。
その後グラハムとメリルは、宇宙人の侵略をやり過ごすため家中の窓に板を打ち付けて回ります。
テレビでは、世界中でUFOが出現し続けている映像が流れています。
それらは全て畑のサインの上空に現れており、それならじきにここにも来るだろうとグラハムは考えました。
食事前、祈りを捧げようとするモーガンと、信仰心を捨てたグラハムはケンカをしてしまいます。
4人は泣きながら寄り添いました。
やがてトランシーバーから不気味な音が流れ始め、テレビの映像も流れなくなりました。
グラハムはついに侵略が始まったんだと覚悟します。
【結】サイン のあらすじ④
外の犬の鳴き声が悲鳴に変わりました。
何者かの気配がします。
そしてついに家の中に侵入され、グラハムたちは地下室に逃げ込みました。
しかし宇宙人はドアの外から押し入ろうとしてきます。
その時モーガンが喘息の発作を起こしてしまいました。
グラハムは言いようもない不安に駆られます。
なんとか落ち着くようなだめながら、自身も眠りにつきました。
夢にコリーンが出てきました。
レイの居眠り運転によって起きた事故で、コリーンは車と木に挟まれています。
まだ意識はありましたが助かる状態ではなく、駆け付けたグラハムと最期の会話を交わしました。
翌朝グラハムが目覚めると、撃退方法が判明したのか、宇宙人が引き揚げ始めたというラジオニュースが流れています。
グラハムたちは外をうかがい、地下室から出ました。
しかしモーガンをリビングのソファに寝かせて一瞬目を離した隙に、宇宙人が姿を現しました。
モーガンを抱きかかえています。
よく見ると指がなく、グラハムが指を切り落としたあの宇宙人だとわかります。
グラハムはコリーンの最期の言葉を思い出しました。
「見て」「打って。」
壁に掛けられたバットに気付きました。
そしてメリルに「フルスイングしろ」と呟きます。
しかし宇宙人が手から白い霧のようなものを発し、それをモーガンの顔に吹きかけました。
フルスイングしたバットが直撃し、宇宙人が倒れます。
そこに棚の上に置かれていたコップの水がかかり、宇宙人は焼ただれたようになりました。
水が弱点だとわかり、グラハムたちは家中に置かれた水を宇宙人に浴びせていきます。
そして宇宙人は息絶えました。
すぐにモーガンの処置をします。
ほどなくしてモーガンは目を覚ましました。
喘息の発作によって気道が塞がれており、毒ガスを吸わずにすんだのです。
これらのことはただの偶然か?サインだったのか?グラハムは自問自答しました。
時が流れ季節が変わり、グラハムは牧師に復職していました。
サイン を観た感想
一見すると宇宙人の侵略によるパニックムービーのようなストーリーですが、世界全体の混乱はニュース映像でしか流れず、ある一家から見た宇宙人侵略をメインに描いています。
演出などはハラハラドキドキのホラーのようですが、最後に一家を救ったのが亡き妻の言葉であったり、絶望の後グラハムが一度は捨てた信仰心を取り戻すなど、家族愛を強く感じられるヒューマンドラマのようでもあります。
宇宙人の姿は「THE 宇宙人」でB級感たっぷり。
でも初めて姿を現すシーンではなぜかすごく不気味で恐ろしく、ぞくっとした自分に驚きました。
「シックス・センス」のあの衝撃ほどではないですが、ラストで全てがきれいに繋がるまとめかたは、シャマラン監督、さすがです。
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