映画「ブレイブ—群青戦記—」のネタバレ&あらすじと結末を徹底解説|本広克行

映画「ブレイブ—群青戦記—」

監督:本広克行 2021年3月に東宝から配給

ブレイブ—群青戦記—の主要登場人物

西野蒼(新田真剣佑)
本作の主人公。運動神経抜群なのに、賞や名誉には興味がない歴史オタクの弓道部員。

瀬野遥(山崎紘菜)
蒼、考太の幼馴染で、男勝りな性格のヒロイン。弓道部では全国大会4位の実力を持っている。

松本考太(鈴木伸之)
剣道部主将で、全国大会優勝経験がある。

不破瑠衣(渡邊圭祐)
一年前に行方不明になった、謎の男子高校生。

松平元康(三浦春馬)
後の徳川家康。織田軍に捕まった仲間を助けたい蒼達と手を組む。

ブレイブ—群青戦記— の簡単なあらすじ

この作品は、週刊ヤングジャンプ連載の笠原真樹の人気漫画『群青戦記 グンジョーセンキ』を原作とした実写化作品です。

ある日突然、落雷と共に、星徳学院高等学校の生徒達は、学校ごと戦国時代にタイムスリップしてしまいます。

鎧姿の武士に次々と生徒が殺され、パニックの中、簗田政綱という武将に仲間を人質に取られた蒼達は、今度は松平元康に捕らえられてしまいます。

蒼は元康と取引し、自分達が先陣を務めることで織田軍を攪乱し、元康の任務の手助けをすると約束します。

そして、蒼達は、仲間を助け、元の時代に戻るために奮闘するのでした。

ブレイブ—群青戦記— の起承転結

【起】ブレイブ—群青戦記— のあらすじ①

悪夢の始まり

部活の強豪校で知られる星徳学院高等学校の中庭には、巨大な霊石がまつられています。

ある日、学校の屋上から不破瑠衣という男子生徒が飛び降り、行方不明になるという事件がありました。

その1年後のある日、突然校庭に雷が落ち、雨が降り始めました。

さらに、校舎内には1月なのに大量のセミが姿を現し、生徒達は不信感を募らせました。

その直後、部活中の生徒の前に突然鎧姿の兵士が現れ、ひとりの生徒を斬りつけました。

一瞬でパニックになった生徒達は逃げまどいますが、どんどん増え続けるゾンビのような兵士達に、なすすべもなく、次々と殺されていきます。

地獄絵図のような状況に、蒼と遥も茫然と立ち尽くしてしまいますが、幼馴染の考太の機転で、生き残った者達はグラウンドに集められました。

そこへ、簗田政綱(やなだまさつな)と名乗る武将が現れ、数人の生徒を人質に連れ去りました。

その直後、また別の武将がやってきて、蒼達は体育館に囚われの身になるのでした。

【承】ブレイブ—群青戦記— のあらすじ②

元康との取引

歴史オタクの蒼は、自分達が学校ごと桶狭間の戦い直前の戦国時代にタイムスリップしてしまったことをみんなに話します。

血の気の多い運動部員達は、すぐに仲間を助けに行こうとしますが、無策で動くと殺されるだけだと考太に諫められ、代表で考太と蒼が、自分を捕らえた松平元康に取引を持ち掛けます。

未来から来たという蒼の言葉を最初は訝しげに聞いていた元康でしたが、刀を向けられても動じない蒼の姿勢に理解を示しました。

蒼は、自分達の仲間を助けることで、元康が命じられた大高城への兵糧入れを成功させると言いますが、元康は「自分達の手を汚さないのは都合が良すぎる」と突っぱね、蒼達に先陣を切って人質のいる丸根砦を攻めるよう、命令しました。

その作戦を聞いた野球部、アメフト部、空手部など、腕に自信のある部員達が次々と名乗りを上げ、遥も参加することにしましたが、言い出しっぺの蒼は、あまり乗り気ではありませんでした。

ですが、彼をリーダーと認識していた元康の平和を願う気持ちに感化された蒼は、自分も参加を決意するのでした。

【転】ブレイブ—群青戦記— のあらすじ③

丸根砦への奇襲

武器を用意し、万全の体制で砦に向かう選抜軍でしたが、途中で織田軍に襲われてしまいます。

次々と仲間が倒されていく中、遥が連れ去られそうになり、考太と蒼は必死で抵抗します。

ですが、蒼が矢を放つのを躊躇した間に、考太が斬りつけられ、命を落としてしまいます。

遥も連れ去られ、茫然とする蒼は、残った仲間と失意のまま戻ってきました。

考太の墓の前で泣き崩れる蒼を見かねた元康は、ひとりの死を大に扱う蒼の姿勢を褒め、改めて目の前にいる仲間を守れと激励するのでした。

一方、丸根砦に囚われた遥は、素顔を晒した簗田政綱の正体が、1年前に行方不明になった不破瑠衣だと気づきました。

彼は、一足先に戦国時代に来ていて、あまり顔が知られていない簗田政綱になりすまし、自分の知る歴史を塗り替えようと企んでいました。

再び奇襲策を練り直す蒼達は、ドローンを使って丸根砦周辺を調査し、3つのグループに分かれて再び砦を目指すことにしました。

学校に残った生徒達は、タイムスリップの原因を探っていましたが、それが霊石に雷が落ちたことによって、磁場が発生したからだと推測しました。

【結】ブレイブ—群青戦記— のあらすじ④

再び現代へ

現代に戻れるタイミングが2時間後だと分かった生徒達は、蒼達にそのタイムリミットを伝えます。

あまりの時間の短さに不安を感じながらも、みんなは人質救出に向かいます。

その途中、次々と攻撃を受け、倒されていく仲間達を苦渋の決断で置き去りにしながら、蒼達は人質救出に成功します。

ですが、再び織田軍に退路を塞がれ、絶体絶命のピンチに陥ってしまいます。

そこへ元康軍が現れ、蒼達に加勢します。

その隙に、蒼は仲間達を先に学校へ向かわせようとしますが、不破瑠衣が立ちふさがります。

彼は蒼を殺そうとしましたが、それをかばった元康が銃で撃たれて絶命します。

蒼は自分達の未来がなくなってしまうと取り乱しますが、まだ冷静な遥は不破に向かっていきました。

足を負傷した遥を見て逆上した蒼は、全身全霊で不破に挑み、ついに彼を倒しました。

一方、学校では先に戻った仲間達と残留組の生徒達が、雷の落ちる瞬間を待っていました。

蒼と遥も馬に乗ってギリギリ間に合いますが、蒼はこの時代に残ると言い出します。

全力で拒否しようとする遥でしたが、自分の力を試してみたいという蒼の言葉に、ついに根負けしてしまいます。

そして、蒼は馬にまたがり、森の方へと姿を消しました。

その後、現代に戻った遥は、いつもと変わらない日常を取り戻していました。

そして、何気なく開いたスマホで、徳川家康の若い頃の肖像画が新たに発見されたというニュースを目にします。

そこに映っていた蒼そっくりの徳川家康に、遥は思わず失笑するのでした。

実は、遥と別れた蒼は、織田信長の元へ来ていました。

元康になりすました蒼を見た信長は、一瞬怪訝な顔をしますが、自分の信条に賛同する姿勢と、蒼の真っすぐな瞳を見て、家臣にすることを承諾しました。

そして、その場で蒼は、徳川家康と改名するのでした。

ブレイブ—群青戦記— を観た感想

タイムスリップものはよくありますが、学校ごと移動させるという大胆な発想は、斬新で面白いと思いました。

また、こういう話では、普通は歴史を変えようとすることはタブーとされていますが、それを根底から覆して、自分の知っている歴史を変えてしまおうという不破のエキセントリックな言動にも驚かされます。

序盤のホラー感は、青春群像劇とは思えないほどのインパクトですが、現代人と戦国時代の武士との生きる覚悟の差がリアルに現れていて、とても興味深かったです。

何より、天下の織田信長が脇役扱いという部分が、他の作品にはない魅力のひとつだなと感じました。

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